(戯曲) 『悦(よろこ)びの国』(一幕四場) (連載 第2回)

(連載 第2回)

戸塚 塩原、おまえさっきから、何口ごもっているんだ。俺たちに同調もしないし。なんでホモなんかじゃないとはっきり否定      
   しないんだ。
   今更、実は僕はホモだったんです、なんて自白しようというんじゃないだろうな。
河村 おい、皆(みんな)おかしいよ。もう止(や)めようぜ。
戸塚 野島がああ言っているんだ。止(や)められないだろ。それとも河村、おまえ何か魂胆があって、事実が明らかになるのを 
   押さえようとしているのか。
河村 そんなことないよ。だけど、何か魔女狩りめいたことはまずいんじゃないかと思うからさ。
   同性愛でも異性愛でも人間に変わりはないだろ。
戸塚 魔女狩り? 河村、ホモに肩入れすると、おまえもホモかと疑われるようになるぞ。
荒崎 魔女狩り。言ってくれるじゃないか河村君。ホモに比べたら、よくは知らないが魔女のほうがずっとましのような気がし          
   ないか、塩原。
塩原 (意を決した静かな口調で)野島(間)、野島にはすまなかったと思う。俺のことでそんなに不愉快な思いをし、苦痛を感じ               ていたなら、悪かった。そのことは謝(あやま)る。
   だけど、男が男を好きになること自体、別段やましいことだとは少しも思わない。人間が人間を好きになることがなぜ
   否定されたり、蔑(さげす)まれたりしなければならないんだ。
   ホモかと聞かれたら、ああそうだよ、ホモでどこが悪いんだ、と答えるさ。ヘテロでどこが悪いんだ、というのと同じだ
   よ。

 これらの遣(や)り取りを、少し離れた位置で聞いていた少年A(アルバイトで何かものを届けに来たか、機械類の修理などをしていた風(ふう))が次の戸塚の科白(セリフ)の途中でそっと場を離れる。

戸塚 ゲロを吐いたな。塩原、居直るのはいいが、おまえ自分でホモだと認めたからには、もうこの職場に留(とど)まるつもり
   はないんだろうな。俺はホモだと認めた奴と同じ仕事をする気にはなれないからな。なあ、みんなもそうだろう。野島は
   もちろんそうだよな。
野島 ああ。
荒崎 俺もまったく同感だ。塩原はこの職場で仕事を続ける資格を自分から捨てたとみなす。
沢村 俺も同じ考えだ。
田沢 言うまでもない。ホモなんかと同じ仕事をしていたら、こっちまで見下げられる。

 少年A、仲間三人を連れて現れる。

少年A (塩原を指さしながら、仲間に)こいつホモなんだってさ。変態のオカマなんだって。ホモがよくしゃあしゃあと面
   (つら)晒(さら)していられるよな。ホモも物投げられたら痛いかどうか、試してみようぜ。
少年B ホモって男かよ、女かよ。その中間(ちゅうかん)のお化けか。お化けなら痛さなんてないんじゃねえか。なあ。
少年C ぶつけてみればわかるさ。ホモって金玉持っているのか。あとでこいつをひん剝(む)いて調べてみるか。
少年D 面白れえ。ホモなんて金玉持っていたって役に立たないじゃん。付いていたらもぎ取ってしまうか。
少年A その辺にあるものをぶつけて見ようぜ。急所をねらうのもいいな。痛がるかどうか面白れえ。
少年C やろう。やろう。おじさん達も一緒にやろうぜ。
塩原 卑怯なまねは、やめろ。相手が男だろうが、女だろうが、一人の人間が一人の人間を求めることのどこが変態なんだ。

 少年達、口々に「うるせえ」とどなり散らしながら、塩原に向かって物をぶつけ始める。

少年A 男は女とやるのが当り前なんだよ。大昔から決まりきっているじゃねえか。
少年B そうだ。ホモなんて男になりそこねた化け物だ。ホモなんて全滅させた方が世の中のためだ。
塩原 やめろ。やめるんだ。こんなことをやるおまえ達ヘテロこそ、男以下、人間以下じゃないか。
少年C うるせえんだよ。ホモが何言ったって耳に入らねえ。ホモの言うことなんか、誰も聞かねえよ。

 少年達、更に調子に乗り、互いに煽(あお)り立てながら物を投げつける。
 塩原の軀(からだ)のあちこちに物が当たる。その度が増えるにつれ、塩原の身に着けている衣類の一部分が、或いは一枚全部
 がと、剝(は)がれるように落ちる。

(付記)
第2回を載せました。
表記の仕方が統一できていないところが、まだあるような気がします。
大目に見ていただけたら幸いです。
(2024.1.6)





  





























































































































この記事へのコメント

  • aki

    この様な書込大変失礼致します。日本も当事国となる台湾有事を前に 日本の国防を妨げる国内の反日の危険性が共有される事を願い書込ませて頂きます。

    今や報道は無法国の代弁者となり、日本の国益は悪に印象操作し妨害、反日帰化の多い野党や中韓の悪事は報じない自由で日本人の知る権利を阻む異常な状態です。

    世論誘導が生んだ民主党政権、中韓を利す為の超円高誘導で日本企業や経済は衰退する中、技術を韓国に渡さぬJAXAを恫喝し予算削減、3万もの機密漏洩など数知れぬ韓国への利益誘導の為に働きました。

    メディアに踊らされあの反日政権を生み、当時の売国法や“身を切る改革”に未だ後遺症を残している事、今も隣国上げや文化破壊等、

    日本弱体と利益誘導に励む勢力に二度と国を売らぬ様、各党の方向性を見極め、改憲始め国の成長と強化が重要で、しかし必要なのは、
    日本人として誇りを取り戻し、世界一長く続く自国を守る意識だと多くの方に伝わる事を願います。
    2024年01月08日 08:37