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    <title>荻崎正広World</title>
    <link>https://ogizakiworld.seesaa.net/</link>
    <description>私設美術館「荻崎正広コレクション　ゲイ・アートの家」を運営している荻崎正広(おぎざき・まさひろ)のブログです。</description>
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    <itunes:author>荻崎正広の言葉と画像の空間</itunes:author>
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      <title>荻崎正広短編小説集　『果ての、始まりへ』</title>
      <pubDate>Sat, 07 Mar 2026 15:51:12 +0900</pubDate>
            <description>(第10回作品)  茶色と灰色の家　桐岡(きりおか)はまた歩いて行った。これというほどの疲れはなかった。いつもと同じようにも、心なし違うように思うのも、いつものことだった。どっちの思いにも相応に味わいがあった。「よく遊んだ･･･そう顔に書いてある･･･」すれ違った、八十代の桐岡ほどではないが相当高齢に見える男が、桐岡と束(つか)の間(ま)視線を合わせてそう言うと、立ち止まるでもなく去っていった。初めて見るようにも、どこかで一度は会ったことのある男のようにも思えた。　　今日はま..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
(第10回作品)  茶色と灰色の家
　桐岡(きりおか)はまた歩いて行った。これというほどの疲れはなかった。いつもと同じようにも、心なし違うように思うのも、いつものことだった。どっちの思いにも相応に味わいがあった。「よく遊んだ･･･そう顔に書いてある･･･」すれ違った、八十代の桐岡ほどではないが相当高齢に見える男が、桐岡と束(つか)の間(ま)視線を合わせてそう言うと、立ち止まるでもなく去っていった。初めて見るようにも、どこかで一度は会ったことのある男のようにも思えた。　　今日はまだこれから、二、三人と遊びそうな気がした。現にどうなるかはともかく、歩いている最中は尚(なお)のこと、そう思うのはいつものことだった。風が少し強まり、やや寒くなった。外より、家の中で交合するのに適しているな、と思いながら桐岡はさっきまでとは別の道を歩いて行った。　右手に茶色と灰色がほぼ同じ程合いの家が建っていた。一階のガラス窓の向こうに男が立っていた。眼が合う少し前から、桐岡を見ていたようだった。顔がもうひとつ分かりにくかったものの、眼が合っても男の表情は動かなかった。窓が開いた。「風が出て、冷えてきた。無理するな、入って休んでいけ･･･」男は表情を変えることはなかったが、風に吹き流されないように声を桐岡に届けた。桐岡は改めて立ち止まり、男の顔を真っすぐ眼に止めた。見覚えがあるとは思わなかったが、ふっと引き止め引き入れる深さが伝わってくる顔立ちだった。五十代くらいに見えた。「入口は空いている」男はそう言い窓際から離れた。庭を通り桐岡が入ると、玄関口に男の姿はなかった。「右手の部屋だ」と男の声がした。その部屋のドアが少し開いていた。桐岡が入ると、背もたれのある椅子に向こう向きで男が全裸で腰を下ろし、尻を小気味よく突き出していた。顔はぐいと上げていた。桐岡が予測した恰好(かっこう)に近かった。部屋の中は暖かかった。桐岡が想定した以上に、男の尻は締まって量感に富み、両のたぶがぐいと張り出していた。しかも、そうした尻全体がしっとり和(やわ)らいでいた。いくら長く生きても、そう楽(らく)には有り付けない尻のひとつだった。　桐岡は言葉を発することなく近づくと、両手を添えて開いたその芯(しん)にぴたりと吸い付くや、逸(はや)る舌先を、奥の更にもう一つ奥へとじわじわ潜(もぐ)らせた。戸外(こがい)でより、部屋の中で時間をかけてじっくり味わえば味わうほど、芯(しん)から旨味(うまみ)が止めどもなく滲(にじ)み出てくる尻だった。濃(こま)やかな、どこか絹(きぬ)の織物にも似た風合(ふうあい)の中に、時折、しっとりとした淡さが加わりながら、深みへ更にもう一つ深みへと桐岡の一切(いっさい)を誘い込んだ。「これだけの舌はめったに手に入らない。長く生きている間、舌を無駄には使ってこなかったな。俺の専用の舌にしてもいい。今日と同じ曜日の同じ時間に来れば、何度でもじっくり使ってやる･･･」　男の言葉は、この場にはいない他(ほか)の遠くの誰かに向かって言っているようにも、独り言めいても聞こえた。男の言葉の味わいは、男の尻の中味とぴたり同じだった。　これほど奥深い旨味(うまみ)と風味を湛(たた)えた尻は、桐岡にとっても、いつどこで出合えたか、そうすぐには思い当たらなかった。自身の年齢も含め、これから、そうそう何度も待ち受けているとも思えなかった。
　桐岡はまた歩いていた。帰り際に、男は、桐岡が八十を越えた高齢だということも踏(ふ)まえ、道のことも含め何度かていねいに伝えた。ただ、歩いている最中は、道は覚えられそうに思えたものの、いつもそうだったが、後(のち)になるほど、桐岡には自信が揺らいだ。それどころか、ここはどこなのか、どの道を歩けばどこに出るのか、分からなくなることもそう珍(めずら)しくはなかった。若い頃から、その点はさほど変わらなかった。　　日は落ちたようだった。寒さはさほど覚えなかった。潮時(しおどき)だろう、今日はこれで終わりにしようかなと考えた。ただ、明るくても暗くても、暖かくても寒くても、潮時だと考えながらいつも歩いていた気もする。「何を考えているのかな･･･」不意に声がかかった。不意ではなかった気もした。かけられる少し前に、そんな類(たぐい)の言葉をかけられそうな気もした。言葉をかけた男は、一時(いっとき)立ち止まり、桐岡の顔にじっと眼を注いでから、それ以上言葉を発することなく、桐岡と反対の方向に歩いて行った。見た目より若かった気もした。一時(いっとき)、後を追おうとも考えたが、その考えはさほど長くは続かなかった。長くは続かないだろうことは、初めから分かっていた気もした。　桐岡はまた歩いて行った。疲れを感じないわけではなかったが、今日のような日ならもっと歩いてもよかった。それでいて、「今日のような日」が現にどういう日なのか、取り立てて考えるでもなかった。(了)
(付記)前回から2か月ほど間(ま)が空きました。連載を始めてから10回目という区切り目の回になります。第1回目からは、9か月ほど経っています。区切り目の回だということで、それなりに思い巡らしたのですが、その割には短めで、中味も私(わたし)的には淡々としたものになったようです。それでも、これはこれで一つの区切り目かな、と自身は考えています。もうしばらく続けようかなと思います。お読みいただけたら幸いです。(2026.3.7)








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      <content:encoded><![CDATA[
<div><strong><span style="font-size: 14pt;">(第10回作品)&nbsp; 茶色と灰色の家</span></strong></div><br /><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　桐岡(きりおか)はまた歩いて行った。これというほどの疲れはなかった。いつもと同じようにも、心なし違うように思うのも、いつものことだった。どっちの思いにも相応に味わいがあった。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「よく遊んだ･･･そう顔に書いてある･･･」</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">すれ違った、八十代の桐岡ほどではないが相当高齢に見える男が、桐岡と束(つか)の間(ま)視線を合わせてそう言うと、立ち止まるでもなく去っていった。初めて見るようにも、どこかで一度は会ったことのある男のようにも思えた。　</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　今日はまだこれから、二、三人と遊びそうな気がした。現にどうなるかはともかく、歩いている最中は尚(なお)のこと、そう思うのはいつものことだった。風が少し強まり、やや寒くなった。外より、家の中で交合するのに適しているな、と思いながら桐岡はさっきまでとは別の道を歩いて行った。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　右手に茶色と灰色がほぼ同じ程合いの家が建っていた。一階のガラス窓の向こうに男が立っていた。眼が合う少し前から、桐岡を見ていたようだった。顔がもうひとつ分かりにくかったも</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">のの、眼が合っても男の表情は動かなかった。窓が開いた。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「風が出て、冷えてきた。無理するな、入って休んでいけ･･･」</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">男は表情を変えることはなかったが、風に吹き流されないように声を桐岡に届けた。桐岡は改めて立ち止まり、男の顔を真っすぐ眼に止めた。見覚えがあるとは思わなかったが、ふっと引き止め引き入れる深さが伝わってくる顔立ちだった。五十代くらいに見えた。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「入口</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">は空いている」男はそう言い窓際から離れた。庭を通り桐岡が入ると、玄関口に男の姿はなかった。「</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">右手の部屋だ」と男の声がした。その部屋のドアが少し開いていた。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">桐岡が入ると、背もたれのある椅子に向こう向きで男が全裸で腰を下ろし、尻を小気味よく突き出していた。顔はぐいと上げていた。桐岡が予測した恰好(かっこう)</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">に近かった。部屋の中は暖かかった。桐岡が想定した以上に、男の尻は締まって量感に富み、両のたぶがぐいと</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">張り出していた。しかも、そうした尻全体がしっとり和(やわ)らいでいた。いくら長く生きても、そう楽(らく)には有り付けない尻のひとつだった。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　桐岡は言葉を発することなく近づくと、両手を添えて開いたその芯(しん)にぴたりと吸い付くや、逸(はや)る舌先を、奥の更にもう一つ奥へとじわじわ潜(もぐ)らせた。戸外(こがい)でより、部屋の中で時間をかけてじっくり味わえば味わうほど、芯(しん)から旨味(うまみ)が止めどもなく滲(にじ)み出てくる尻だった。濃(こま)やかな、どこか絹(きぬ)の</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">織物にも似た風合(ふうあい)</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">の中に、時折、しっとりとした淡さが加わりながら、深みへ更にもう一つ深みへと桐岡の一切(いっさい)</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">を誘い込んだ。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「これだけの舌はめったに手に入らない。長く生きている間、舌を無駄には使ってこなかったな。俺の専用の舌にしてもいい。今日と同じ曜日の同じ時間に来れば、何度でもじっくり使ってやる･･･」</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　男の言葉は、この場にはいない他(ほか)の遠くの</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">誰かに向かって言っているようにも、独り言めいても聞こえた。男の言葉の味わいは、男の尻の中味とぴたり同じだった。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　これほど奥深い旨味(うまみ)と風味を湛(たた)えた尻は、桐岡にとっても、いつどこで出合えたか、そうすぐには思い当たらなかった。自身の年齢も含め、これから、そうそう何度も待ち受けているとも思えなかった。</span></span></div><br /><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　桐岡はまた歩いていた。帰り際に、男は、桐岡が八十を越えた高齢だということも踏(ふ)まえ、道のことも含め何度かていねいに伝えた。ただ、歩いている最中は、道は覚えられそうに思え</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">たものの、いつもそうだったが、後(のち)になるほど、桐岡には自信が揺らいだ。それどころか、ここはどこなのか、どの道を歩けばどこに出るのか、分からなくなることもそう珍(めずら)しくはなかった。若い頃から、その点はさほど変わらなかった。　</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　日は落ちたようだった。寒さはさほど覚えなかった。潮時(しおどき)だろう、今日はこれで終わりにしようかなと考えた。ただ、明るくても暗くても、暖かくても寒くても、潮時だと考えながらいつも歩いていた気もする。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「何を考えているのかな･･･」不意に声がかかった。不意ではなかった気もした。かけられる少し前に、そんな類(たぐい)の言葉をかけられそうな気もした。言葉をかけた男は、一時(いっとき)立ち止まり、桐岡の顔にじっと眼を注いでから、それ以上言葉を発することなく、桐岡と反対の方向に歩いて行った。見た目より若かった気もした。一時(いっとき)</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">、後を追おうとも考えたが、その考えはさほど長くは続かなかった。長くは続かないだろうことは、初めから分かっていた気もした。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　桐岡はまた歩いて行った。疲れを感じないわけではなかったが、今日のような日ならもっと歩いてもよかった。それでいて、「今日のような日」が現に</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">どういう日なのか、取り立てて考えるでもなかった。(了)</span></span></div><br /><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">(付記)</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">前回から2か月ほど間(ま)が空きました。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">連載を始めてから10回目という区切り目の回になります。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">第1回目からは、9か月ほど経っています。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">区切り目の回だということで、それなりに思い巡らしたのですが、その割には短めで、中味も私(わたし)的には淡々としたものになったようです。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">それでも、これはこれで一つの区切り目かな、と自身は考えています。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">もうしばらく続けようかなと思います。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">お読みいただけたら幸いです。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">(2026.3.7)</span></span></div><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><a name="more"></a>

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            <category>美術　文学</category>
      <author>荻崎正広の言葉と画像の空間</author>
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      <title>荻崎正広短編小説集　『果ての、始まりへ』</title>
      <pubDate>Tue, 06 Jan 2026 16:59:07 +0900</pubDate>
            <description>(第9回作品)　男は言葉を残して去った 　桐岡(きりおか)は歩いて行った。まだ帰らなくてもよかった。これからどうするかを選べる時間があるのは、いつであれいいことだった。斜め右手に入る道を歩いた。細めの道だった。腰を下ろせる、大きめの木の台がいくつか置かれていた。様々な樹木が何本か集まっていた。「まだやりたいのか･･･」台に腰を下ろしていた男が、独り言めいて、言葉を投げた。高齢だが、八十代の桐岡より、一回り、二回り若く見えた。どちらかといえば小柄だった。「今日は何人と遊んだのか..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
(第9回作品)　男は言葉を残して去った 
　桐岡(きりおか)は歩いて行った。まだ帰らなくてもよかった。これからどうするかを選べる時間があるのは、いつであれいいことだった。斜め右手に入る道を歩いた。細めの道だった。腰を下ろせる、大きめの木の台がいくつか置かれていた。様々な樹木が何本か集まっていた。「まだやりたいのか･･･」台に腰を下ろしていた男が、独り言めいて、言葉を投げた。高齢だが、八十代の桐岡より、一回り、二回り若く見えた。どちらかといえば小柄だった。「今日は何人と遊んだのかな･･･」と、桐岡は返した。「一人だけさ、昼前に･･･」男は短く言った。「それならまだ三、四人はやれるね･･･」桐岡は男に二、三歩近づいて言った。「一人で充分だ。おまえなら三、四人分になりそうだ･･･」そう言うと、男は座ったまま両足をぐいと開いた。桐岡は真っ直ぐ男の腰のあたりに近づき、男のズボンの前を開くと、のけ反りかけている男根を深々と口中に収めた。「俺の言うことなら何でもする、と一目で分かった･･･。もしかすると、昔、会ったことがあるか･･･」「会ったような気もする、初めてのような気もする･･･」男根を更にじわじわ喉元(のどもと)へ届かせながら、言葉の輪郭は蕩(とろ)けていたものの、桐岡は言った。「上も下も全部脱がせろ･･･おまえもそうしろ･･･」と男は付け加えた。何百、何千の男たちと交合を繰り返し、似たり寄ったりの言葉に、飽きることなく、相手によるそのつどの細やかな差異も加わり、桐岡はそのたびに煽(あお)られた。　桐岡は男の衣類を全部脱ぎ取り、傍(かたわ)らの台に置くと、自身のものもその隣りの台に置き、向こう向きで台に座りぐいと突き出されていた男の尻の芯に、濡れた紙めいてぴたっと吸い付いた。「何年か何十年か前･･･これとそっくり同じ恰好(かっこう)で･･･おまえに尻(けつ)の穴を奥の奥まで舐められた･･･思い出した･･･それとも別の男だったか･･･」男は、辺りを吹き抜ける風に助けられるふうに、言葉を切れ切れに流した。「その男は俺だったか･･･他(ほか)の男だったか･･･同じ恰好で俺ともやったし･･･他(ほか)の奴(やつ)ともやった･･･」隙間(すきま)がないくらい舌は張り付いていたものの、桐岡の言葉は二人にどうにか聞き取れた。男の尻の内側の肉の、深度によって細やかに異なる旨(うま)みと軟(やわ)らかさを、桐岡の切れ切れの言葉の音質がそのまま精確に伝えていた。「まず間違いなく、おまえだったな･･･この舐めは他(ほか)の奴(やつ)では無理だ･･･。また、使うぞ。ここでもいいし、別の所でもいい･･･」ここではない、どこか遠くからのように、男の声が流れた。　二人連れの男たちが、直ぐ脇を通り抜けて行った。「奥の奥まで、べろべろ舐められている」「あの舌なら、いつもそばに置いておきたくなるな。いつでも使えるように、俺たちも･･･」男たちの声は風に吹き消されることなく届いた。「よし、尺八」男は軀(からだ)の向きを変え、両足を桐岡の両の肩に置いた。桐岡が尺八を始めると、「この味も他の男たちにはまず出せないな。酷(こく)が何倍も濃い･･･」という男の言葉が、桐岡の口と舌の動きをしっとりなぞりながら流れた。　しばらく二人の間から言葉が絶えた。やや強めの風が、二人の耳元を通り抜けた。近くに生(は)える植物の揺れる音が伝わってきた。「よし、今日はここまでだ。また、使う。ここでもいいし、この先にある公園の四阿(あずまや)でもいい･･･」男はそう言い残し、去っていった。
　陽(ひ)が陰り始めていた。風もやや強くなったようだった。桐岡は男が去っていったのとは反対の方向に歩いて行った。男が去り際に口にした、公園や四阿の記憶が薄っすらあるようにも、まるきりないようにも思えた。どこでかはともかく、いつかまた、あの男に会うかもしれない。会わなくても、仕方ないことだった。そうやって、到底数えきれない数の男たちと交合したり、しなかったりを繰り返してここまで生き延びてきた。八十年を越えてそうやってきた。寿命さえあれば、九十、百と、間違いなく、この先も同じことを繰り返して生きていくだろう･･･。　この身が、同じ性の男の生身(なまみ)を心底(しんそこ)欲しがっていると、自身の性の指向を最初に受け止めた、恐らく七、八歳の幼い時分から、八十を越えた今の歳まで、我が身が欲しがる顔と肌身の男を求めて、それだけを欲しがって、ここまで生きてきた。この世に、それ以外のものがある訳(わけ)もなかった。年をとればとるほど、そう思った。何千回、何万回、切りもなく考えた同じことを、また桐岡は思った。　また、同じことを考えている、おまえには他に考えることがないのか、歩きながら桐岡は自身を茶化した。茶化した回数にも、切りがなかった。風は吹き募(つの)るというほどではなかった。陽はまだ落ちてはいなかった。今日だけでも、まだ、一人、二人、これはという男の生身(なまみ)が待っていそうな気がした。　おまえには、匙(さじ)を投げた。百十歳になってもそうしていろ、という声が届いた･･･。(了)
(付記)年が改まり、今年(2026年)、最初の回になります。年は改まったのに、中味は改まらないな、の声は甘受することにします･･･。最後に述懐(じゅっかい)めいたものも載せました。お読みいただき、感想などお寄せいただけたら幸いです。(2026.1.6)






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]]></itunes:summary>
      <content:encoded><![CDATA[
<div><span style="font-size: 14pt;"><strong>(第9回作品)　男は言葉を残して去った</strong>&nbsp;</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">　桐岡(きりおか)は歩いて行った。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">まだ帰らなくてもよかった。これからどうするかを選べる時間があるのは、いつであれいいことだった。斜め右手に入る道を歩いた。細めの道だった。腰を下ろせる、大きめの木の台がいくつか置かれていた。様々な樹木が何本か集まっていた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「まだやりたいのか･･･」台に腰を下ろしていた男が、独り言めいて、言葉を投げた。高齢だが、八十代の桐岡より、一回り、二回り若く見えた。どちらかといえば小柄だった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「今日は何人と遊んだのかな･･･」と、桐岡は返した。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「一人だけさ、昼前に･･･」男は短く言った。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「それならまだ三、四人はやれるね･･･」桐岡は男に二、三歩近づいて言った。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「一人で充分だ。おまえなら三、四人分になりそうだ･･･」そう言うと、男は座ったまま両足をぐいと開いた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">桐岡は真っ直ぐ男の腰のあたりに近づき、男のズボンの前を開くと、のけ反りかけている男根を深々と口中に収めた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「俺の言うことなら何でもする、と一目で分かった･･･。もしかすると、昔、会ったことがあるか･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「会ったような気もする、初めてのような気もする･･･」男根を更にじわじわ喉元(のどもと)へ届かせながら、言葉の輪郭は蕩(とろ)け</span><span style="font-size: 12pt;">ていたものの、桐岡は言った。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「上も下も全部脱がせろ･･･おまえもそうしろ･･･」と男は付け加えた。何百、何千の男たちと交合を繰り返し、似たり寄ったりの言葉に、飽きることなく、相手によるそのつどの細やかな差異も加わり、桐岡はそのたびに煽(あお)られた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　桐岡は男の衣類を全部脱ぎ取り、傍(かたわ)らの台に置くと、自身のものもその隣りの台に置き、向こう向きで台に座りぐいと突き出されていた男の尻の芯に、濡れた紙めいてぴたっと吸い付いた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「何年か何十年か前･･･これとそっくり同じ恰好(かっこう)で･･･おまえに尻(けつ)の穴を奥の奥まで舐められた･･･思い出した･･･それとも別の男だったか･･･」男は、辺りを吹き抜ける風に助けられるふうに、言葉を切れ切れに流した。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「その男は俺だったか･･･他(ほか)の男だったか･･･同じ恰好で俺ともやったし･･･他(ほか)の奴(やつ)ともやった･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">隙間(すきま)がないくらい舌は張り付いていたものの、桐岡の言葉は二人にどうにか聞き取れた。男の尻の内側の肉の、深度によって細やかに異なる旨(うま)みと軟(やわ)らかさを、桐岡の切れ切れの言葉の音質がそのまま精確に伝えていた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「まず間違いなく、おまえだったな･･･この舐めは他(ほか)の奴(やつ)では無理だ･･･。また、使うぞ。ここでもいいし、別の所でもいい･･･」ここではない、どこか遠くからのように、男の声が流れた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　二人連れの男たちが、直ぐ脇を通り抜けて行った。「奥の奥まで、べろべろ舐められている」「あの舌なら、いつもそばに置いておきたくなるな。いつでも使えるように、俺たちも･･･」男たちの声は風に吹き消されることなく届いた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「よし、尺八」男は軀(からだ)の向きを変え、両足を桐岡の両の肩に置いた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">桐岡が尺八を始めると、「この味も他の男たちにはまず出せないな。酷(こく)が何倍も濃い･･･」という男の言葉が、桐岡の口と舌の動きをしっとりなぞりながら流れた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　しばらく二人の間から言葉が絶えた。やや強めの風が、二人の耳元を通り抜けた。近くに生(は)える植物の揺れる音が伝わってきた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「よし、今日はここまでだ。また、使う。ここでもいいし、この先にある公園の四阿(あずまや)でもいい･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">男はそう言い残し、去っていった。</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">　陽(ひ)が陰り始めていた。風もやや強くなったようだった。桐岡は男が去っていったのとは反対の方向に歩いて行った。男が去り際に口にした、公園や四阿の記憶が薄っすらあるようにも、まるきりないようにも思えた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">どこでかはともかく、いつかまた、あの男に会うかもしれない。会わなくても、仕方ないことだった。そうやって、到底数えきれない数の男たちと交合したり、しなかったりを繰り返してここまで生き延びてきた。八十年を越えてそうやってきた。寿命さえあれば、九十、百と、間違いなく、この先も同じことを繰り返して生きていくだろう･･･。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　この身が、同じ性の男の生身(なまみ)を心底(しんそこ)欲しがっていると、自身の性の指向を最初に受け止めた、恐らく七、八歳の幼い時分から、八十を越えた今の歳まで、我が身が欲しがる顔と肌身の男を求めて、それだけを欲しがって、ここまで生きてきた。この世に、それ以外のものがある訳(わけ)もなかった。年をとればとるほど、そう思った。何千回、何万回、切りもなく考えた同じことを、また桐岡は思った。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　また、同じことを考えている、おまえには他に考えることがないのか、歩きながら桐岡は自身を茶化した。茶化した回数にも、切りがなかった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">風は吹き募(つの)るというほどではなかった。陽はまだ落ちてはいなかった。今日だけでも、まだ、一人、二人、これはという男の生身(なまみ)が待っていそうな気がした。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　おまえには、匙(さじ)を投げた。百十歳になってもそうしていろ、という声が届いた･･･。(了)</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">(付記)</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">年が改まり、今年(2026年)、最初の回になります。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">年は改まったのに、中味は改まらないな、の声は甘受することにします･･･。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">最後に述懐(じゅっかい)めいたものも載せました。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">お読みいただき、感想などお寄せいただけたら幸いです。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">(2026.1.6)</span></div><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><a name="more"></a>

]]><![CDATA[
]]></content:encoded>
            <category>美術　文学</category>
      <author>荻崎正広の言葉と画像の空間</author>
      <guid isPermaLink="false">blog:https://blog.seesaa.jp,ogizakiworld/519623277</guid>
                </item>
        <item>
      <link>https://ogizakiworld.seesaa.net/article/519509983.html</link>
      <title>　荻崎正広短編小説集　『果ての、始まりへ』</title>
      <pubDate>Tue, 23 Dec 2025 17:27:54 +0900</pubDate>
            <description>　(第8回作品)　男は、塀(へい)に両手を付いた  桐岡(きりおか)はまた歩いて行った。道は広めになった。さっきはあれから、ベンチの上で向こう向きで思い切り突き出された男の尻を、奥の更に奥まで舐めまくった。「この形の俺の尻(けつ)が･･･一番旨(うま)いのか･･･」三十六歳だと言った男のその声は、男の尻が直(じか)に発している風(ふう)にも流れた。　それから、男はベンチに座ったまま、かなり長い間、茫(ぼう)っとしていた。「生きている間に、またどこかで会うかもしれないな･･･俺..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
　(第8回作品)　男は、塀(へい)に両手を付いた
  桐岡(きりおか)はまた歩いて行った。道は広めになった。さっきはあれから、ベンチの上で向こう向きで思い切り突き出された男の尻を、奥の更に奥まで舐めまくった。「この形の俺の尻(けつ)が･･･一番旨(うま)いのか･･･」三十六歳だと言った男のその声は、男の尻が直(じか)に発している風(ふう)にも流れた。　それから、男はベンチに座ったまま、かなり長い間、茫(ぼう)っとしていた。「生きている間に、またどこかで会うかもしれないな･･･俺はもう八十を越えているけれど･･･」そう伝えて、桐岡はその男と別れた。記憶に残っているその男の声の方が、直(じか)に聞いた時の声より、濃く伝わってくると桐岡は思った。　水の流れる音がした。その音は、たまにしか聞かないようにも、頻繁(ひんぱん)に耳にするようにも思えた。改めて水の音を耳に入れると、この先まだ十年はおろか、二十年も、ひょっとすると三十年先まで男たちと交合を続けられそうに感じられた。度を越えた妄念が、ひときわ冴(さ)え冴えと桐岡を包んだ。　桐岡は歩いて行った。まだ陽(ひ)はかなり高い位置から射していた。さほど数が多いというほどではなかったが、様々な年齢の男たちが、歩いたり、ベンチに腰を下ろしたり、家々の庭やベランダに、座ったり立ったりしていた。裸に近い男たちもそう珍しくはなかった。見慣れた光景だった。　「年を取るほど切りもなくやりたくなる、顔と眼がそう言っている･･･」道の右手の木製の塀(へい)の近くに立っていた男から声がかかった。「遊んだばかりだとも顔に書いてある･･･」男はそう続けた。　桐岡の眼には、五十前後に見えた。「壮年の盛りこそいくらやりまくってもまだ足りない、眼にそう書いてある･･･」桐岡は歩を緩(ゆる)めて言葉を返した。「今日はもうやり切ったのかな、最後にもう一人だけ、四十も終わりに近い男とやってもいいと思ったかな･･･」男は、陽射しが陰ってきた、風が収まってきた、と言うのと同じ口調で言った。「もう一人だけやりたいな･･･」そう返した桐岡の口調は男よりもっと静かになった。「塀(へい)に眼が行ったな･･･塀に両手を付いて、思い切り突き出された俺の尻(けつ)の穴の一番奥を、よし、と言われるまで、じっくり舐めまくりたい･･･ぴたり当たっただろう･･･」男の声は独り言めいていた。桐岡は眼で頷(うなづ)いた。　男は下半身に穿(は)いていたものを、全部あっさり脱ぎ取り、近くに伸びていた木の枝に掛けると、自身の言葉のとおり、塀に両手を付き、これが極みというところまで尻を突き出し、頭をぐいと上げた。壮年の盛りの、渋みの加わった下半身は、尻にしろ太股(ふともも)にしろ、量感も質感も、やや色白の肌合いも含め、桐岡の予測を文句なく上回っていた。　さっき味わったばかりの、三十半ばの男のそれらに比べ、瑞瑞(みずみず)しい張りはやや薄れている分、中味の濃い肉が厚くびっしり行き渡っている、と見えた。尻全体の形が、桐岡の好みを知っていたかのように四角ぽく張っているのを、真っ先に見て取っていた。長く生きてきても、そう楽(らく)には有り付けない、再上質の尻の一つだった。塀がそれら全部を一段と際立(きわだ)たせていた。　桐岡はその尻の真後ろで中腰になると、入念な手つきで両の尻たぶをじっくり開き、開き切る手前で止め、潜(もぐ)らせた舌先をじわじわ沈めていった。潜り込めない舌の後方も含め、舌全体がその行為に耽(ふけ)った。「間違いなく、俺が今までにやらせた中で、最上の舌遣(づか)いだ。直ぐに分かった･･･」男の口調には何の高ぶりもなく、むしろ沈んでいた。　桐岡の舌の動きは、海の波が岸辺に繰り返し打ち寄せるのにも似ていた。男は波に任せきっていた。波は到底数えきれないくらい寄せては返した。時間が波の動きと一つに溶けて、過ぎていった。
　男は、塀に背中を当てる恰好で立っていた。下半身に衣類をはいていた。桐岡の姿は見当たらなかった。立ち去る時、桐岡が何か口にするのを聞いた気がしたが、確かな記憶はなかった。(了)
(付記)今年(2025年)の最後の回になると思います。毎回、似たり寄ったりの中味だなという声も聞こえてきそうですが･･･。微妙に異なるはずなのを読んでいただけたらと、作者は居直っているようです。来年に入っても、まだ何回か続くはずです。よろしくお願いします。(2025.12.23)



<a></a>

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      <content:encoded><![CDATA[
<div>　<strong><span style="font-size: 14pt;">(第8回作品)　男は、塀(へい)に両手を付いた</span></strong></div><br /><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">&nbsp; 桐岡(きりおか)はまた歩いて行った。道は広めになった。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">さっきはあれから、ベンチの上で向こう向きで思い切り突き出された男の尻を、奥の更に奥まで舐めまくった。「この形の俺の尻(けつ)が･･･一番旨(うま)いのか･･･」三十六歳だと言った男のその声は、男の尻が直(じか)に発している風(ふう)にも流れた。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　それから、男はベンチに座ったまま、かなり長い間、茫(ぼう)っとしていた。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「生きている間に、またどこかで会うかもしれないな･･･俺はもう八十を越えているけれど･･･」そう伝えて、桐岡はその男と別れた。記憶に残っているそ</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">の男の声の方が、直(じか)に聞いた時の声より、濃く伝わってくると</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">桐岡は思った。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　水の流れる音がした。その音は、たまにしか聞かないようにも、頻繁(ひんぱん)に耳にするようにも思えた。改めて水の音を耳に入れると、この先まだ十年はおろか、二十年も、ひょっとすると三十年先まで男たちと交合を続けられそうに感じられた。度を越えた妄念が、ひときわ冴(さ)え冴えと桐岡を包んだ。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　桐岡は歩いて行った。まだ陽(ひ)はかなり高い位置から射していた。さほど数が多いというほどではなかったが、様々な年齢の男たちが、歩いたり、ベンチに腰を下ろしたり、家々の庭やベランダに、座ったり立ったりしていた。裸に近い男たちもそう珍しくはなかった。見慣れた光景だった。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　「年を取るほど切りもなくやりたくなる、顔と眼がそう言っている･･･」</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">道の右手の木製の塀(へい)の近くに立っていた男から声がかかった。「遊んだばかりだとも顔に書いてある･･･」男はそう続けた。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　桐岡の眼には、五十前後に見えた。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「壮年の盛りこそいくらやりまくってもまだ足りない、眼にそう書いてある･･･」桐岡は歩を緩(ゆる)めて言葉を返した。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「今日はもうやり切ったのかな、最後にもう一人だけ、四十も終わりに近い男とやってもいいと思ったかな･･･」</span></span></div><div><span style="font-size: 16px;">男は、陽射しが陰ってきた、風が収まってきた、と</span><span style="font-size: 16px;">言うのと同じ口調で言った。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">「もう一人だけやりたいな･･･」そう返した桐岡の口調は男よりもっと静かになった。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">「塀(へい)に眼が行ったな･･･塀に両手を付いて、思い切り突き出された俺の尻(けつ)の穴の一番奥を、よし、と言われるまで、じっくり舐めまくりたい･･･ぴたり当たっただろう･･･」男の声は独り言めいていた。桐岡は眼で頷(うなづ)いた。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">　男は下半身に穿(は)いていたものを、</span><span style="font-size: 16px;">全部あっさり脱ぎ取り、近くに伸びていた木の枝に掛けると、自身の言葉のとおり、塀に両手を付き、これが極みというところまで尻を突き出し、頭をぐいと上げた。壮年の盛りの、渋みの加わった下半身は、尻にしろ太股(ふともも)にしろ、量感も質感も、やや色白の肌合いも含め、桐岡の予測を文句なく上回っていた。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">　さっき味わったばかりの、三十半ばの男のそれらに比べ、瑞瑞(みずみず)しい張りはやや薄れている分、中味の濃い肉が厚くびっしり行き渡っている、と見えた。尻全体の形が、桐岡の好みを知っていたかのように四角ぽく張っているのを、真っ先に見て取っていた。長く生きてきても、そう楽(らく)には有り付けない、</span><span style="font-size: 16px;">再上質の尻の一つだった。塀がそれら全部を一段と際立(きわだ)たせていた。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">　桐岡はその尻の真後ろで中腰になると、入念な手つきで両の尻たぶをじっくり開き、開き切る手前で止め、潜(もぐ)らせた舌先をじわじわ沈めていった。潜り込めない舌の後方も含め、舌全体がその行為に耽(ふけ)った。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">「間違いなく、俺が今までにやらせた中で、最上の舌遣(づか)いだ。直ぐに分かった･･･」男の口調には何の高ぶりもなく、むしろ沈んでいた。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">　桐岡の舌の動きは、海の波が岸辺に繰り返し打ち寄せるのにも似ていた。男は波に任せきっていた。波は到底数えきれないくらい寄せては返した。時間が波の動きと一つに溶けて、過ぎていった。</span></div><br /><div><span style="font-size: 16px;">　男は、塀に背中を当てる恰好で立っていた。下半身に衣類をはいていた。桐岡の姿は見当たらなかった。立ち去る時、桐岡が何か口にするのを聞いた気がしたが、確かな記憶はなかった。(了</span><span style="font-size: 16px;">)</span></div><br /><div><span style="font-size: 16px;">(付記)</span></div><div><span style="font-size: 16px;">今年(2025年)の最後の回になると思います。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">毎回、似たり寄ったりの中味だなという声も聞こえてきそうですが･･･。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">微妙に異なるはずなのを読んでいただけたらと、作者は居直っているようです。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">来年に入っても、まだ何回か続くはずです。よろしくお願いします。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">(2025.12.23)</span></div><br /><br /><br /><br /><a name="more"></a>

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]]></content:encoded>
            <category>美術　文学</category>
      <author>荻崎正広の言葉と画像の空間</author>
      <guid isPermaLink="false">blog:https://blog.seesaa.jp,ogizakiworld/519509983</guid>
                </item>
        <item>
      <link>https://ogizakiworld.seesaa.net/article/518966397.html</link>
      <title>荻崎正広短編小説集　『果ての、始まりへ』</title>
      <pubDate>Wed, 19 Nov 2025 16:50:56 +0900</pubDate>
            <description>(第7回作品)　若い男が庭の椅子(いす)に座っていた　大気が少しずつひんやりしてきたようだった。もう少し先まで歩こうと桐岡(きりおか)は考えた。誰かが待ち受けているようでもなく、眼を止めるような相手とふっとすれ違いそうな感もなかったものの、歩くだけならその方が楽だった。時折、男たちとすれ違った。誰も一人で歩いていた。「今日は俺で終わりにしろ･･･」声が流れてきた。桐岡は声の方に顔を向けた。少し先の、右手の薄茶色の家の庭の椅子(いす)に、半ズボンを穿(は)いた男が座っていた。声..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
(第7回作品)　若い男が庭の椅子(いす)に座っていた
　大気が少しずつひんやりしてきたようだった。もう少し先まで歩こうと桐岡(きりおか)は考えた。誰かが待ち受けているようでもなく、眼を止めるような相手とふっとすれ違いそうな感もなかったものの、歩くだけならその方が楽だった。時折、男たちとすれ違った。誰も一人で歩いていた。「今日は俺で終わりにしろ･･･」声が流れてきた。桐岡は声の方に顔を向けた。少し先の、右手の薄茶色の家の庭の椅子(いす)に、半ズボンを穿(は)いた男が座っていた。声の感じよりずっと若く見えた。三十代か、もしかすると二十代かもしれなかった。何か飲み物を手にしていた。「俺では年が離れすぎていないかな･･･」桐岡はその家の前まで来て言った。「たまには爺(じい)さんも味があるさ。やってやりまくってその年になったんだからな･･･」「八十を越えて、無駄に年老いただけだが･･･」桐岡は若い男の眼を真直ぐとらえて、言葉を送った。「無駄だったかどうか、舐めさせた後で、俺が判定してやる。ここで使う･･･。通行人に見られたほうがいいんだろう。最初に尺八、次に尻(けつ)の穴。俺が、よしと言ったら終わりだ･･･。そこから入ってこい」　男はどこか沈んだ口調で言葉を投げた。この日だけでも何人かとやった後なのかもしれなかった。自身、やり終えて前の道を歩い行く姿が頭をよぎる中で、桐岡は男の家の庭に入った。とは言え、眼の前の若い男との交合に初めからさほど惹(ひ)かれないということではなかった。それとは別の事柄だった。同じようなことは桐岡には珍しくはなかった。他(ほか)の男たちも似たようなものか、それとも丸きり異なるのか、そこから先を取り立てて考えたことがあるのかないのか･･･、頭に留(と)めるのは、少なくとも、今はそこまでにした。「俺の下半身だけ脱がせてからやれ。爺さんも下だけ全部脱げ」男の口調に歯切れよさが増していた。さっきも感じたが、この若い男の口から流れ出る、「爺(じい)さん」という言葉の発声や語調に、それが何に由来するのか、いつまでも耳に残りそうな艶(つや)と味わいがあった。　桐岡は庭に入り、男に近づくと、男の半ズボンを脱ぎ取り、近くに置かれたもう一つの椅子に掛けた。男は下着は穿(は)いていなかった。桐岡も自身の下半身に穿(は)いていたものを全部脱ぎ、同じ椅子の空いている位置に掛けると、男の前にしゃがみ、男の眼をまっすぐ見上げた。「尺八」と男は短く言った。桐岡は、肉が厚めに張り詰めた男の尻に両手を回しながら、さすがに若く弾(はじ)くように反り返った男根を、一気に深々と頬張(ほおば)った。底深い声を発しながら、男は両足を桐岡の両の肩口に投げ出した。「これが本物の尺八か･･･。爺さん、その年まで無駄には遊んでこなかったな･･･」男の言葉を全部吸い取りながら時間が流れた。通りを行き来する人々が、一人、また一人、二人の交合に眼を投げたりしたが、立ち止まるでもなく、誰もそのまま通り過ぎていった。「よし。次は尻(けつ)の穴」そう言うと、男は向きを変え、椅子の背に両手を置き、椅子に据えた尻をぐいと突き出した。男の尻の、張りと四角ぽい量感のある形が、一層際立った。男はこの恰好の自身の尻が、男たちを一番夢中にさせることがよく分かっていると見えた。「よし、というまで舐めてもいいぞ、爺さん･･･一番奥まで潜(もぐ)り込んで、舐め続けてもいい･･･」「はい」と言うやいなや、桐岡の口唇と舌がその中心にぴたっと吸い付き、舌先は奥へほんの少しでも深みへと潜(もぐ)り込んだ。今日ではない別の日、他(ほか)の男たちに同じことをしている自身の姿が茫(ぼう)と浮かび上がり、今、別の男と交合している最中のように、それも一人や二人ではなく、何人もの男たちが立ち続けに現れたり、消えたりした。それでいて、眼の前の男の尻が薄れることはなく、逆にそれらに煽(あお)られることも含め、一段とのこの弾(はじ)き返すように締まった尻に吸い取られ、ひたすら没入した。　桐岡にはよくあることだった。何人もの男たちの尻が重層することで、一層、真っ最中のこの若い男の尻の深い味わいが引き出される感だった。「爺さん、今までに遊んだ他(ほか)の男の尻が浮かんでいるな。区別がつかなくなっているな。いいことさ。そいつらの尻に助けられて、爺さんの舌の味がぐっと濃くなっている。そうやって、だんだん俺の専用の舌になっていく･･･」若い男自身、これまでに舐めさせた何人もの男たちの舌と思いを重ねている感が伝わってきた。そのために、むしろ一層この男の若さが際立った。「よし、と言うまで、舌先を一番奥に押し付けたままでいろ･･･」どこか遠くからの声のように桐岡には届いた。押し当てたまま、何倍かの時が一度に流れた。逆に何十年かの過去の時が改めて呼び戻されたと感じる脇で、これから何日か先、どこかの別の通りを歩いている自身が濃く現れたりもした。
　桐岡はまた通りを歩いていた。「よし、終わりだ、帰れ･･･」というさっきの若い男の声が何度めなのか心地よく流れた。「俺の尻(けつ)の奥がどうしても忘れられなくなったら、また来てもいい･･･」と続いた。歩いていれば、八十代の高齢になっても、いつも何かへどこかへたどり着いた。歩くと、どこかに入っていける･･･。　日が陰っていた。風が強めに流れた。雨が降るかもしれなかった。歩けるのが心地良かった。(了)
(付記)今回は、三十代(もしかすると二十代か)と八十代という年齢のかけ離れた男たちの交合になりました。鈍感なのかどうか、これも一興かと作者(荻崎)はさほど気に留めていないようです･･･。お読みいただけたら幸いです。(2025.11.19)





<a></a>

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      <content:encoded><![CDATA[
<div><span style="font-size: 14pt;"><strong>(第7回作品)　若い男が庭の椅子(いす)に座っていた</strong></span></div><br /><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　大気が少しずつひんやりしてきたようだった。もう少し先まで歩こうと桐岡(きりおか)は考えた。誰かが待ち受けているようでもなく、眼を止めるような相手とふっとすれ違いそうな感もなかったものの、歩くだけならその方が楽だった。時折、男たちとすれ違った。誰も一人で歩いていた。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「今日は俺で終わりにしろ･･･」声が流れてきた。桐岡は声の方に顔を向けた。少し先の、右手の薄茶色の家の庭の椅子(いす)に、半ズボンを穿(は)いた男が座っていた。声の感じよりずっと若く見えた。三十代か、もしかすると二十</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">代かもしれなかった。何か飲み物を手にしていた。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「俺では年が離れすぎていないかな･･･」桐岡はその家の前まで来て言った。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「たまには爺(じい)さんも味があるさ。</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">やってやりまくってその年になったんだからな･･･」</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「八十を越えて、無駄に年老いただけだが･･･」桐岡は若い男の眼を真直ぐとらえて、言葉を送った。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「無駄だったかどうか、舐めさせた後で、俺が判定してやる。ここで使う･･･。通行人に見られたほうがいいんだろう。最初に尺八、次に尻(けつ)の穴。俺が、よしと言ったら終わりだ･･･。そこから入ってこい」</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　男はどこか沈んだ口調で言葉を投げた。この日だけでも何人かとやった後なのかもしれなかった。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">自身、やり終えて前の道を歩い行く姿が頭をよぎる中で、桐岡は男の家の庭に入った。とは言え、眼の前の若い男との交合に初めからさほど惹(ひ)かれないということではなかった。それとは別の事柄だった。同じようなことは桐岡には珍しくはなかった。他(ほか)の男たちも似たようなものか、それとも丸きり異なるのか、そこから先を取り立てて考えたことがあるのかないのか･･･、頭に留(と)めるのは、少なくとも、今はそこまでにした。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「俺の下半身だけ脱がせてからやれ。爺さんも下だけ全部脱げ」</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">男の口調に歯切れよさが増していた。さっきも感じたが、この若い男の口から流れ出る、「爺(じい)さん」という言葉の発声や語調に、それが何に由来するのか、いつまでも耳に残りそうな艶(つや)と味わいがあった。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　桐岡は庭に入り、男に近づくと、男の半ズボンを脱ぎ取り、近くに置かれたもう一つの椅子に掛けた。男は下着は穿(は)いていなかった。桐岡も自身の下半身に穿(は)いていたものを全部脱ぎ、同じ椅子の空いている位置に掛けると、男の前にしゃがみ、男の眼をまっすぐ見上げた。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「尺八」と男は短く言った。桐岡は、肉が厚めに張り詰めた男の尻に両手を回しながら、さすがに若く弾(はじ)くように反り返った男根を、</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">一気に深々と頬張(ほおば)った。</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">底深い声を発しながら、男は両足を桐岡の両の肩口に投げ出した。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「これが本物の尺八か･･･。爺さん、その年まで無駄には遊んでこなかったな･･･」</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">男の言葉を全部吸い取りながら時間が流れた。通りを行き来する人々が、一人、また一人、二人の交合に眼を投げたりしたが、立ち止まるでもなく、誰もそのまま通り過ぎていった。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「よし。次は尻(けつ)の穴」</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">そう言うと、男は向きを変え、椅子の背に両手を置き、椅子に据えた尻をぐいと突き出した。男の尻の、張りと四角ぽい量感のある形が、一層際立った。男はこの恰好の自身の尻が、男たちを一番夢中にさせることがよく分かっていると見えた。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「よし、というまで舐めてもいいぞ、爺さん･･･一番奥まで潜(もぐ)り込んで、舐め続けてもいい･･･」</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「はい」と言うやいなや、桐岡の口唇と舌がその中心にぴたっと吸い付き、舌先は奥へほんの少しでも深みへと潜(もぐ)り込んだ。今日ではない別の日、他(ほか)の男たちに同じことをしている自身の姿が茫(ぼう)と浮かび上がり、今、別の男と交合している最中のように、それも一人や二人ではなく、何人もの男たちが立ち続けに現れたり、消えたりした。それでいて、眼の前の男の尻が薄れることはなく、逆にそれらに煽(あお)られることも含め、一段とのこの弾(はじ)き返すように締まった尻に吸い取られ、ひたすら没入した。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　桐岡にはよくあることだった。何人もの男たちの尻が重層することで、一層、真っ最中のこの若い男の尻の深い味わいが引き出される感だった。</span></span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「爺さん、今までに遊んだ他(ほか)の男の尻が浮かんでいるな。区別がつかなくなっているな。いいことさ。そいつらの尻に助けられて、爺さんの舌の味がぐっと濃くなっている。そうやって、だんだん俺の専用の舌になっていく･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">若い男自身、これまでに舐めさせた何人もの男たちの舌と思いを重ねている感が伝わってきた。そのために、むしろ一層この男の若さが際立った。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「よし、と言うまで、舌先を一番奥に押し付けたままでいろ･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">どこか遠くからの声のように桐岡には届いた。押し当てたまま、何倍かの時が一度に流れた。逆に何十年かの過去の時が改めて呼び戻されたと感じる脇で、これから何日か先、どこかの別の通りを歩いている自身が濃く現れたりもした。</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">　桐岡はまた通りを歩いていた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「よし、終わりだ、帰れ･･･」というさっきの若い男の声が何度めなのか心地よく流れた。「俺の尻(けつ)の奥がどうしても</span><span style="font-size: 12pt;">忘れられなくなったら、また来てもいい･･･」と続いた。歩いていれば、八十代の高齢になっても、いつも何かへどこかへたどり着いた。歩くと、どこかに入っていける･･･。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　日が陰っていた。風が強めに流れた。雨が降るかもしれなかった。歩けるのが心地良かった。(了)</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">(付記)</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">今回は、三十代(もしかすると二十代か)と八十代という年齢のかけ離れた男たちの交合になりました。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">鈍感なのかどうか、これも一興かと作者(荻崎)はさほど気に留めていないようです･･･。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">お読みいただけたら幸いです。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">(2025.11.19)</span></div><br /><br /><br /><br /><br /><br /><a name="more"></a>

]]><![CDATA[
]]></content:encoded>
            <category>美術　文学</category>
      <author>荻崎正広の言葉と画像の空間</author>
      <guid isPermaLink="false">blog:https://blog.seesaa.jp,ogizakiworld/518966397</guid>
                </item>
        <item>
      <link>https://ogizakiworld.seesaa.net/article/518131421.html</link>
      <title>荻崎正広短編小説集『果ての、始まりへ』</title>
      <pubDate>Sun, 28 Sep 2025 18:02:14 +0900</pubDate>
            <description>荻崎正広短編小説集『果ての、始まりへ』</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
(第6回作品)　白みを増す雪
  雪が心なし多く落ちてきた。一人で歩いていると、雪も道ずれになる、そんなことを今頃の時季は割りに思う気がする。さほど寒さは感じなかったが、向こうから歩いてくる男に何かしら声をかけようと思うこともあった。顔や軀つきをおおよそ見て取った上だった。ただ、現にそうすることが自分でも呆(あき)れるほど多い訳(わけ)でもなかった。雪が降るからと言って、不意に声をかけられて、交合に応じる男が殊更(ことさら)増えるわけでもないだろう、と自身を茶化すことは昔からだった。　道はさほど広くはなかった。向こうから歩いてくる男の姿が眼に入った。桐岡(きりおか)同様傘はさしてはいなかった。五十前後か。顔形も含め、やや小柄な佇(たたず)まいに、好感を覚える男だった。こういうことが取り立てて珍しいという訳(わけ)でもないな、これまではこういう時、実際はどうしていたかな、と改めて思う間(ま)にも、距離が縮まった。眼が合った。「そんなに、しゃぶりたいか。七十、八十を越えて･･･。男と絡(から)んできたばかりのような顔をして･･･」男は立ち止り気味にすれ違う時、桐岡に声を投げた。小声だが、よく通った。「雪が降る日は、八十代の男の口で温(ぬく)もるのもいいかもしれないな･･･」桐岡はやや大きめの声で返した。「行くぞ」男は桐岡の返事を待つでもなく、そのまま同じ方向に歩いて行った。桐岡は向きを変え、さっき来た道を男からやや遅れ気味について行った。三叉路があり、男は左に折れた。「おまえが舐(な)めたがっている、俺の尻(けつ)の穴の一番奥まで舐めさせてやる･･･」振り向くでもなく、雪が止んできたな、というのと同じ感じで男は言った。「最初から尻(けつ)の穴、それとも尺八をしてから･･･」桐岡は言葉を返した。「部屋に入って、おまえの裸を見てから決める」当り前だろうというふうに、男の静かな口調は変わらなかった。何時間か前、二人の男たちと交わった家が今歩いている所から見てどの辺りになるのか、桐岡には分らなかった。男の足が左手に立つ青い家の前で止まった。「ここだ」と男は言い、ドアを開け、桐岡を最初に入れた。室内にはテーブルや幾つかの椅子などが、程よい間隔をあけて置かれていた。男は椅子の一つに腰を下ろすと、「全部脱いで、前も後ろも見せろ」と静かな声で言った。桐岡は手早くすべて脱ぐと、まず正面を向き、男の前に立った。「よし、後ろ」と男の指示を受け、真後ろを向けた。「よし。尺八からだ。その前に俺の着ているものを全部脱がせろ」と男は言い、椅子から立った。桐岡が、下半身、上半身と、男が身に着けていたものをすべて脱がすと、男は両足を開いた恰好(かっこう)で再び椅子に腰を下ろした。やや小柄な男の総身に、締まった筋肉が厚めに行き渡っていた。　桐岡は男の両足の間で四つ這いになるや、反り返っていく男の男根を口中に深々と収めた。男は両足を桐岡の両の肩に置いた。何時間か前、別の部屋でほぼ同じ形でやった尺八の映像が桐岡の中に薄(うっす)ら立ち現れ、眼の前の生身(なまみ)の男の裸と重なったり離れたりすることで、この今の尺八の仕草も味わいも、後押しされるふうに、一段と濃(こま)やかになった。「尺八、今日は、初めてではないな」男はそう言いながら、桐岡の頭に両手を置き、やや力を入れて押さえつけた。「三人目です･･･」と答えた桐岡の声はどうにか通じる言葉になった。「欲張りな口め。おまえの尺八は味が濃くて深い、その上、軽(かろ)やかさもある。これだけの尺八を吹ける男は、そうはいない。その年まで、ただ数多くやりまくっただけではこの味は出ない･･･」　男の言葉を受けて、口だけでなく桐岡の全身が、眼前の男一人のために、何十年も費やして今出現したばかりの尺八吹きになった。「よし。次は尻(けつ)の穴を舐めさせる。その次にまた尺八をさせ、俺の魔羅(まら)をのけ反らせてから、最後におまえの尻(けつ)を掘る。今日はおまえを使い切る･･･」　男は淡々と口にしたその一連の言葉だけで、桐岡の総身を一度で蕩(とろ)かした。その蕩けが元になって、桐岡は八十を越えた今になるまで、やりにやりまくったにもかかわらず、まだ踏み入ったことのない新たな色欲(しきよく)の場に立てると直感した。　男は腰の位置を前にずらし、尻を突き出しながら、両の足を桐岡の両の肩に乗せた。桐岡の口と舌は、男の尻の芯にぴたり吸い付くや、舌先はじわじわ深みへと伸ばされた。同じこの日、何時間か前に届いた、別の男の和らいだ肉の層、更に何十年にも渡ってひたすら貪(むさぼ)り続けた、ひとりひとり細やかに異なる尻の肉の襞(ひだ)という襞がひしめき合いながら、今、桐岡の舌先が奥へ、更に未知の奥へとにじり進むのを手助けした。「おまえの舌には、多くの男たちの尻(けつ)の穴の肉の旨(うま)みが、何重(なんじゅう)にも染み込んでいるのがよくわかる･･･よし、最後だ、尻(けつ)を掘る･･･」　男は最初とほぼ同じ恰好になり、男根の反りと硬さの仕上げを、桐岡の口にさせた。「よし、四つ這いで、尻(けつ)を向けて、思い切り突き上げろ」男は一段と静かに命じた。桐岡はすぐさま向きを変え、尻と顎(あご)を存分に突き上げた。今日二度目のこの姿勢が、何年振りかのように新鮮に感じられる一方で、何十年間、途切れることなくこの姿勢だけを取り続けたような安らぎを覚(おぼ)えた。そう思うことで、これからこの身にもたらされる味わいが、もう一段、高みに上り詰(つ)めることがとうの昔から分かっていた。　高みからもう一歩高みへ、深みからもう一つ先の深みへ、その流れの中に身を丸ごとあずける、そうやってこの年まで生き延びてきた、と改めて感じた。そうすることで、ここまで辛(かろ)うじて生き延びてきた、と思うこともいつものことだった。そう思うことが蕩(とろ)けを一段押し上げることは無論わかっていた。　男は両手を桐岡の両の肩に置くと、据(す)えられた尻をじわじわ掘り進んだ。自身の男根と尻の内側の肉の熟(な)れ具合、馴染(なじ)み具合をじっくり図り、蕩けの度合いを高めていった。男は桐岡の尻の内も外も、余さず使い切ることで、桐岡を連れて、果てへ更に果てへと辿(たど)った。「おまえは体まるごと、俺用の尻(けつ)となって、八十年かけて、今、完成した。いくぞ、この完成したばかりの尻(けつ)に全部飲ませる、おまえも丸ごと連れて行く、一緒に、いけ･･･」低く吠える声とほぼ同時に、男は桐岡の中で噴(ふ)き上げた。やや遅れて桐岡の男根からも、二度三度と放たれた。桐岡も久方ぶりに軀ごと吠えていた。　しばらく経った後(のち)、桐岡は男の家を出た。雪はまだ降っていた。雪が白みを増しているように桐岡には見えた。(了)　
(付記)今回は、室内での絡(から)みが中心になりました。似たような設定がすでに何回かあった気もします。またか、と思われそうですが･･･。(荻崎)(2025.9.28)










<a></a>

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      <content:encoded><![CDATA[
<div><span style="font-size: 14pt;"><strong>(第6回作品)　白みを増す雪</strong></span></div><br /><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">&nbsp; 雪が心なし多く落ちてきた。一人で歩いていると、雪も道ずれになる、そんなことを今頃の時季は割りに思う気がする。さほど寒さは感じなかったが、向こうから歩いてくる男に何かしら声をかけようと思うこともあった。顔や軀つきをおおよそ見て取った上だった。ただ、現にそうすることが</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">自分でも呆(あき)れるほど多い訳(わけ)でも</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">なかった。雪が降るからと言って、不意に声をかけられて、交合に応じる男が殊更(ことさら)増えるわけでもないだろう、と自身を茶化すことは昔からだった。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　道はさほど広くはなかった。向こうから歩いてくる男の姿が眼に入った。桐岡(きりおか)同様傘はさしてはいなかった。五十前後か。顔形も含め、やや小柄な佇(たたず)まいに、好感を覚える男だった。こういうことが取り立てて珍しいという訳(わけ)でもないな、これまではこういう時、</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">実際はどうしていたかな、と改めて思う間(ま)にも、距離が縮まった。眼が合った。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「そんなに、しゃぶりたいか。七十、八十</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">を越えて･･･。男と絡(から)んできたばかりのような顔をして･･･」</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">男は立ち止り気味にすれ違う時、桐岡に声を投げた。小声だが、よく通った。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「雪が降る日は、八十代の男の口で温(ぬく)もるのもいいかもしれないな･･･」桐岡はやや大きめの声で返した。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「行くぞ」男は桐岡の返事を待つでもなく、そのまま同じ方向に歩いて行った。桐岡は向きを変え、さっき来た道を男からやや遅れ気味について行った。三叉路があり、男は左に折れた。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「おまえが舐(な)めたがっている、俺の尻(けつ)の穴の一番奥まで舐めさせてやる･･･」</span></span></div><div><span style="font-size: 12pt;">振り向くでもなく、雪が止んできたな、というのと同じ感じで男は言った。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「最初から尻(けつ)の穴、それとも尺八をしてから･･･」桐岡は言葉を返した。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「部屋に入って、おまえの裸を見てから決める」当り前だろうというふうに、男の静かな口調は変わらなかった。何時間か前、二人の男たちと交わった家が今歩いている所から見てどの辺りになるのか、桐岡には分らなかった。男の足が左手に立つ青い家の前で止まった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「ここだ」と男は言い、ドアを開け、桐岡を最初に入れた。室内にはテーブルや幾つかの椅子などが、程よい間隔をあけて置かれていた。男は椅子の一つに腰を下ろすと、「全部脱いで、前も後ろも見せろ」と静かな声で言った。桐岡は手早くすべて脱ぐと、まず正面を向き、男の前に立った。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「よし、後ろ」と男の指示を受け、真後ろを向けた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「よし。尺八からだ。その前に俺の着ているものを全部脱がせろ」と男は言い、椅子から立った。桐岡が、下半身、上半身と、男が身に着けていたものをすべて脱がすと、男は両足を開いた恰好(かっこう)で再び椅子に腰を下ろした。やや小柄な男の総身に、締まった筋肉が厚めに行き渡っていた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　桐岡は男の両足の間で四つ這いになるや、反り返っていく男の男根を口中に深々と収めた。男は両足を桐岡の両の肩に置いた。何時間か前、別の部屋でほぼ同じ形でやった尺八の映像が桐岡の中に薄(うっす)ら立ち現れ、眼の前の生身(なまみ)の男の裸と重なったり離れたりすることで、この今の尺八の仕草も味わいも、後押しされるふうに、一段と濃(こま)やかになった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「尺八、今日は、初めてではないな」男はそう言いながら、桐岡の頭に両手を置き、やや力を入れて押さえつけた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「三人目です･･･」と答えた桐岡の声はどうにか通じる言葉になった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「欲張りな口め。おまえの尺八は味が濃くて深い、その上、軽(かろ)やかさもある。これだけの尺八を吹ける男は、そうはいない。その年まで、ただ数多くやりまくっただけではこの味は出ない･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　男の言葉を受けて、口だけでなく桐岡の全身が、眼前の男一人のために、何十年も費やして今出現したばかりの尺八吹きになった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「よし。次は尻(けつ)の穴を舐めさせる。その次にまた尺八をさせ、俺の魔羅(まら)をのけ反らせてから、最後におまえの尻(けつ)を掘る。今日はおまえを使い切る･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　男は淡々と口にしたその一連の言葉だけで、桐岡の総身を一度で蕩(とろ)かした。その蕩けが元になって、桐岡は八十を越えた今になるまで、やりにやりまくったにもかかわらず、まだ踏み入ったことのない新たな色欲(しきよく)の場に立てると直感した。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　男は腰の位置を前にずらし、尻を突き出しながら、両の足を桐岡の両の肩に乗せた。桐岡の口と舌は、男の尻の芯にぴたり吸い付くや、舌先はじわじわ深みへと伸ばされた。同じこの日、何時間か前に届いた、別の男の和らいだ肉の層、更に何十年にも渡ってひたすら貪(むさぼ)り続けた、ひとりひとり細やかに異なる尻の肉の襞(ひだ)という襞がひしめき合いながら、今、桐岡の舌先が奥へ、更に未知の奥へとにじり進むのを手助けした。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「おまえの舌には、多くの男たちの尻(けつ)の穴の肉の旨(うま)みが、何重(なんじゅう)にも染み込んでいるのがよくわかる･･･よし、最後だ、尻(けつ)を掘る･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　男は最初とほぼ同じ恰好になり、男根の反りと硬さの仕上げを、桐岡の口にさせた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「よし、四つ這いで、尻(けつ)を向けて、思い切り突き上げろ」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">男は一段と静かに命じた。桐岡はすぐさま向きを変え、尻と顎(あご)を存分に突き上げた。今日二度目のこの姿勢が、何年振りかのように新鮮に感じられる一方で、何十年間、途切れることなくこの姿勢だけを取り続けたような安らぎを覚(おぼ)えた。そう思うことで、これからこの身にもたらされる味わいが、もう一段、高みに上り詰(つ)めることがとうの昔から分かっていた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　高みからもう一歩高みへ、深みからもう一つ先の深みへ、その流れの中に身を丸ごとあずける、そうやってこの年まで生き延びてきた、と改めて感じた。そうすることで、</span><span style="font-size: 12pt;">ここまで辛(かろ)うじて生き延びてきた、と思うこともいつものことだった。そう思うことが蕩(とろ)けを一段押し上げることは</span><span style="font-size: 12pt;">無論わかっていた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　男は両手を桐岡の両の</span><span style="font-size: 12pt;">肩に置くと、据(す)えられた尻をじわじわ掘り進んだ。自身の男根と尻の内側の肉の熟(な)れ具合、馴染(なじ)み具合をじっくり図り、蕩けの度合いを高めていった。男は桐岡の尻の内も外も、余さず使い切ることで、桐岡を連れて、果てへ更に果てへと辿(たど)った。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「おまえは体まるごと、俺用の尻(けつ)となって、八十年かけて、今、</span><span style="font-size: 12pt;">完成した。いくぞ、この完成したばかりの尻(けつ)に全部飲ませる</span><span style="font-size: 12pt;">、おまえも丸ごと連れて行く、一緒に、いけ･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">低く吠える声とほぼ同時に、男は桐岡の中で噴(ふ)き上げた。やや遅れて桐岡の男根からも、二度三度と放たれた。桐岡も久方ぶりに軀ごと吠えていた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　しばらく経った後(のち)、桐岡は男の家を出た。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">雪はまだ降っていた。雪が白みを増しているように桐岡には見えた。(了)　</span></div><br /><div><span style="font-size: 16px;">(付記)</span></div><div><span style="font-size: 16px;">今回は、室内での絡(から)みが中心になりました。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">似たような設定がすでに何回かあった気もします。またか、と思われそうですが･･･。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">(荻崎)</span></div><div><span style="font-size: 16px;">(2025.9.28)</span></div><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><a name="more"></a>

]]><![CDATA[
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            <category>美術　文学</category>
      <author>荻崎正広の言葉と画像の空間</author>
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                </item>
        <item>
      <link>https://ogizakiworld.seesaa.net/article/517791650.html</link>
      <title>荻崎正広短編小説集『果ての、始まりへ』</title>
      <pubDate>Fri, 05 Sep 2025 17:14:44 +0900</pubDate>
            <description>(第5回作品)  技(わざ)も風の中に流れていく　風が少し強まった。日も陰ってきた。気温は低めだったが、まずまずしのぎやすかった。桐岡(きりおか)は左手の高い木の元に置かれた木のベンチに腰を下ろした。座って休むことができる、多くは木製のものが数多く置かれているのは、この街の過ごしやすさの一つだった。かなり長い時間、桐岡は茫(ぼう)と座っていた。飽きなかった。時折、男たちが通った。眼は合うこともあり、合わないこともあった。「日が沈みかけている･･･」高齢の男が近づいてきて、そう..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
(第5回作品)  技(わざ)も風の中に流れていく
　風が少し強まった。日も陰ってきた。気温は低めだったが、まずまずしのぎやすかった。桐岡(きりおか)は左手の高い木の元に置かれた木のベンチに腰を下ろした。座って休むことができる、多くは木製のものが数多く置かれているのは、この街の過ごしやすさの一つだった。かなり長い時間、桐岡は茫(ぼう)と座っていた。飽きなかった。時折、男たちが通った。眼は合うこともあり、合わないこともあった。「日が沈みかけている･･･」高齢の男が近づいてきて、そう口にした。桐岡と同じ八十代ほどに見えたが、何歳か上かもしれなかった。老いが、衰(おとろ)えを上回る渋みとなっている顔立ちだった。「最初は尺八がいいか･･･」男は《日が沈みかけている》と初めに話しかけてきたのとそっくり同じ口調で言い、桐岡の正面に立ち、下腹を突き出した。やや強めに風が吹き抜けた。桐岡はすぐさま男の男根を取り出し、一気に喉元(のどもと)近くまで頬張(ほおば)った。「尺八の腕前は飛び切りだと、一目でわかった･･･」男はそう言いながら、桐岡の頭に回した両手を支えにし、男根を中心に、自身の下腹を存分に差し込み、荒々しさも交えながら、思うがままに動かした。「俺の魔羅(まら)を蕩(とろ)かす、年期の入ったいい口だ･･･俺の専用の口にしてもいいくらいだ･･･褒美(ほうび)に尻(けつ)の穴もたっぷり舐めさせてやる･･･」　男はそう言うと、ズボンや下着を一気に下ろし、ベンチの端に両手を突き、張りも厚みも、これと言って老いの表れていない尻を、思い切りよく突き出した。桐岡はすぐさま、その中心にぴたりと吸い付いてから、尖(とが)らせた舌先を先頭に、奥へもっと奥へ、じわじわ極みまでもぐり込んだ。奥まるほど、旨(うま)みの褒賞(ほうしょう)は大きかった。襞(ひだ)という襞を残す隈(くま)なく舐め取り味わうことで、一時(いっとき)、また一時と、時間がいつもより濃く流れるのも感じ取った。　日が更に傾き、風が少し強まり、やや冷えた。「互いに充分年を取っているが、どこかでまた会うかも知れないな･･･」男はそう言って、去っていった。男は振り向くことはなかったが、桐岡は男の後姿を眼で追った。眼で追うことで、味わったばかりの男の男根と、尻の外と中の分厚い旨(うま)みを、自身のうちに、もう一度、更にもう一度、じっくり染み込ませることができた。
　桐岡はまた歩いて行った。今日はこのくらいで終わりにしようかな、という思いを長引かせること自体を半分楽しみながら歩いた。自身の家のあるはずの方向に歩いても、別の方に歩いてもよかった。そのどっちでもない道があるなら、その道でもよかった。　道の右手に生えた大きな木の根元近くに、男が一人立っていた。桐岡より一回りも二回りも若かった。しばらく眼が合ったままだった。「長い積み重ねが眼と尻に一番表れている･･･」男は桐岡にそう声を投げた。「この木に両手を置いて、尻を思い切り突き出してくれ･･･」男は静かな声で続けた。ためらうことは何もなかった。桐岡はそのとおりにした。桐岡と相手の男との交合の形が、ついさっきとは正反対になったことが、桐岡には面白かった。この相手の男は、さっきの光景は、おそらく、眼にしていないに違いなかった。見ていたら、一言(ひとこと)、二言(ふたこと)、多分、口にしただろう。ただ、仮に見られていたとしても、桐岡には何の支障もなかった。相手の男にしてもきっと同じだっただろう。　男は桐岡からズボンと下着を手早く脱がし取るや、桐岡の両の尻たぶを思い切りよく開き、尻の芯にぴたり吸い付いた。一時(いっとき)間(ま)を置き、男の舌先がじわじわ潜(もぐ)り込みながら這(は)いまわり、また少し奥に、更に奥にと潜り這いまわった。男の舌の動きの精細さと、桐岡の尻の内側の肉の、壁と襞(ひだ)の張りのあるやわらかさが、申し分なく蕩(とろ)け合っていた。　もしも、さっき桐岡が交わった高齢の男が、この男と桐岡に、自身の尻の穴の舐め比べをさせたら、間違いなくこの男の方が数段上だ、と言ったと思う。そのくらいこの男の技(わざ)は長(た)けていた。これほどの技をどこでどのようにして身につけたのか、精妙に熟達しつつ、しかも初々(ういうい)しさがあった。「一度では惜しいから、次に、更に次に、取っておきたいくらいだ、この舌は･･･」と、桐岡の真率な声が流れ落ちた。　風がまた強まり、日が沈んでいた。男はふっと立ち上がると、「いつかまたこの木の下にいるかもしれない･･･」という声を残し、振り返ることなく去っていった。桐岡は男の後姿に茫(ぼう)と眼をやってから、男とは違う方向に歩いて行った。男の舌の感触が、濃くなったり薄くなったりしながら、長く保たれた。　この先もっと生き延びれば、あれを越える舌や技(わざ)との出合いがあるだろうか･･･。いつか桐岡自身の舌がそうなっているかどうか。ともかく、生き延びるさ。改めて自身に告げた。今までも、そうやって生き続けてきた･･･。　風はやや弱まった。桐岡はまた歩いて行った。　(了)
(付記)今回は、すべて野外での場面です。主人公(語り手)の桐岡(きりおか)が、交合を進める側と、相手の技(わざ)を受けとめる側の、両方を、短時間の中で行う形になりました。<a href="https://www7a.biglobe.ne.jp/~ogizaki/jikoshokai.htm">「自己紹介(Self-Introduction)」</a>のページにも書きましたが、この(2025年)8月で、私(荻崎)は80歳になりました。この小説の主人公桐岡と同じ80代ということになります･･･。(荻崎)(2025.9.5)







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      <content:encoded><![CDATA[
<div><strong><span style="font-size: 14pt;">(第5回作品)&nbsp; 技(わざ)も風の中に流れていく</span></strong></div><br /><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　風が少し強まった。日も陰ってきた。気温は低めだったが、まずまずしのぎやすかった。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">桐岡(きりおか)は左手の高い木の元に置かれた木のベンチに腰を下ろした。座って休むことができる、多くは木製のものが数多く置かれているのは、この街の過ごしやすさの一つだった。</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">かなり長い時間、桐岡は茫(ぼう)と座っていた。飽きなかった。</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">時折、男たちが通った。眼は合うこともあり、合わないこともあった。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「日が沈みかけている･･･」高齢の男が近づいてきて、そう口にした。桐岡と同じ八十代ほどに見えたが、何歳か上かもしれなかった。老いが、衰(おとろ)えを上回る渋みとなっている顔立ちだった。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「最初は尺八がいいか･･･」</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">男は《日が沈みかけている》と初めに話しかけてきたのとそっくり同じ口調で言い、桐岡の正面に立ち、下腹を突き出した。やや強めに風が吹き抜けた。桐岡はすぐさま男の男根を取り出し、一気に喉元(のどもと)近くまで頬張(ほおば)った。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「尺八の腕前は飛び切りだと、一目でわかった･･･」男はそう言いながら、桐岡の頭に回した両手を支えにし、男根を中心に、自身の下腹を存分に差し込み、荒々しさも交えながら、思うがままに動かした。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「俺の魔羅(まら)を蕩(とろ)かす、年期の入ったいい口だ･･･俺の専用の口にしてもいいくらいだ･･･褒美(ほうび)に尻(けつ)</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">の穴もたっぷり</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">舐めさせてやる･･･」</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　男はそう言うと、ズボンや下着を一気に下ろし、ベンチの端に両手を突き、張りも厚みも、これと言って老いの表れていない尻を、思い切りよく突き出した。桐岡はすぐさま、その中心にぴたりと吸い付いてから、尖(とが)らせた舌先を先頭に、奥へもっと奥へ、じ</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">わじわ極みまでもぐり込んだ。奥まるほど、旨(うま)みの褒賞(ほうしょう)は</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">大きかった。襞(ひだ)という襞を残す隈(くま)なく舐め取り味わうことで、一時(いっとき)、また一時と、時間がいつもより濃く流れるのも感じ取った。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　日が更に傾き、風が少し強まり、やや冷えた。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「互いに充分年を取っているが、どこかでまた会うかも知れないな･･･」</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">男はそう言って、去っていった。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">男は振り向くことはなかったが、桐岡は男の後姿を眼で追った。眼で追うことで、味わったばかりの男の男根と、尻の外と中の分厚い旨(うま)みを、自身のうちに、もう一度、更にもう一度、じっくり染み込ませることができた。</span></span></div><br /><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　桐岡はまた歩いて行った。今日はこのくらいで終わりにしようかな、という思いを長引かせること自体を半分楽しみながら歩いた。自身の家のあるはずの方向に歩いても、別の方に歩いてもよかった。そのどっちでもない道があるなら、その道でもよかった。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　道の右手に生えた大きな木の根元近くに、男が一人立っていた。桐岡より一回りも二回りも若かった。しばらく眼が合ったままだった。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「長い積み重ねが眼と尻に一番表れている･･･」男は桐岡にそう声を投げた。「この木に両手を置いて、尻を思い切り突き出してくれ･･･」男は静かな声で続けた。ためらうことは何もなかった。桐岡はそのとおりにした。桐岡と相手の男との交合の形が、ついさっきとは正反対になったことが、桐岡には面白かった。この相手の男は、さっきの光景は、おそらく、眼にしていないに違いなかった。見ていたら、一言(ひとこと)、</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">二言(ふたこと)、多分、口にしただろう。ただ、仮に見られていたとしても、桐岡には何の支障もなかった。相手の男にしてもきっと同じだっただろう。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　男は桐岡からズボンと下着を手早く脱がし取るや、桐岡の両の尻たぶを思い切りよく開き、尻の芯にぴたり吸い付いた。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">一時(いっとき)間(ま)を置き、男の舌先がじわじわ潜(もぐ)り込みながら這(は)いまわり、また少し奥に、更に奥にと潜り這いまわった。男の舌の動きの精細さと、桐岡の尻の内側の肉の、壁と襞(ひだ)の</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">張りのあるやわらかさが、申し分なく蕩(とろ)け合っていた。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　もしも、さっき桐岡が交わった高齢の男が、この男と桐岡に、自身の尻の穴の舐め比べをさせたら、間違いなくこの男の方が数段上だ、と言ったと思う。そのくらいこの男の技(わざ)は長(た)けていた。これほどの技をどこでどのようにして身につけたのか、精妙に熟達しつつ、しかも初々(ういうい)しさがあった。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">「一度では惜しいから、次に、更に次に、取っておきたいくらいだ、この舌は･･･」と、桐岡の真率な声が流れ落ちた。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　風がまた強まり、日が沈んでいた。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">男はふっと立ち上がると、「いつかまたこの木の下にいるかもしれない･･･」という声を残し、振り返ることなく去っていった。桐岡は男の後姿に茫(ぼう)と眼をやってから、男とは違う方向に歩いて行った。男の舌の感触が、濃くなったり薄くなったりしながら、長く保たれた。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　この先もっと生き延びれば、あれを越える舌や技(わざ)との出合いがあるだろうか･･･。いつか桐岡自身の舌がそうなっているかどうか。ともかく、生き延びるさ。改めて自身に告げた。今までも、そうやって生き続けてきた･･･。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">　風はやや弱まった。桐岡はまた歩いて行った。　(了)</span></span></div><br /><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">(付記)</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">今回は、すべて野外での場面です。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">主人公(語り手)の桐岡(きりおか)が、交合を進める側と、相手の技(わざ)を受けとめる側の、両方を、短時間の中で行う形になりました。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;"><a href="https://www7a.biglobe.ne.jp/~ogizaki/jikoshokai.htm">「自己紹介(Self-Introduction)」</a>のページ</span></span><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">にも書きましたが、この(2025年)8月で、私(荻崎)は80歳になりました。</span></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">この小説の主人公桐岡と同じ80代ということになります･･･。</span></span></div><div><span style="font-size: 16px;">(荻崎)</span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><span style="font-size: 12pt;">(2025.9.5)</span></span></div><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><a name="more"></a>

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            <category>美術　文学</category>
      <author>荻崎正広の言葉と画像の空間</author>
      <guid isPermaLink="false">blog:https://blog.seesaa.jp,ogizakiworld/517791650</guid>
                </item>
        <item>
      <link>https://ogizakiworld.seesaa.net/article/517072254.html</link>
      <title>荻崎正広短編小説集　『果ての、始まりへ』</title>
      <pubDate>Mon, 18 Aug 2025 18:27:11 +0900</pubDate>
            <description>(第4回作品)　肌身(はだみ)の記憶へ、その向こうへ　桐岡(きりおか)は歩いて行った。十字路になっていた。その辺りは葉を落としていない木が多かった。直前まで右に曲がるつもりで、左に入った。ありふれたことだった。思いがけない展開になるかなと、そのたびに幾らかなりと懲(こ)りずに思ったりするものの、何があるのでもなかった。　道の左側のほうに建物が多く、右側には木々が多かった。桐岡は左寄りを歩いた。そのほうが、絡みたくなる男を眼にできる度合いが、幾(いく)らかなりと高そうに思えた。..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
(第4回作品)　肌身(はだみ)の記憶へ、その向こうへ
　桐岡(きりおか)は歩いて行った。十字路になっていた。その辺りは葉を落としていない木が多かった。直前まで右に曲がるつもりで、左に入った。ありふれたことだった。思いがけない展開になるかなと、そのたびに幾らかなりと懲(こ)りずに思ったりするものの、何があるのでもなかった。　道の左側のほうに建物が多く、右側には木々が多かった。桐岡は左寄りを歩いた。そのほうが、絡みたくなる男を眼にできる度合いが、幾(いく)らかなりと高そうに思えた。桐岡は歩調を落とした。右側ほどではないものの、ていねいに眼をやると、左手の家々にも、植物が少ないわけではなかった。　二階建ての青い建物があった。居住者がいるのかどうか、静まっていた。植物は少ないながら、庭もあった。二階で、人影が動いた。窓が小さめに開いた。「何十年も昔、俺の魔羅(まら)にむしゃぶりついた奴(やつ)だな･･･」男が声を投げ落とした。桐岡は立ち止まり、真っ直ぐ眼を向けた。記憶がうっすら動きかけたものの、しっかりした像には結び付かなかった。「部屋の中で、それとも外で･･･」と桐岡は言葉を投げ上げた。「林の中。水も流れていた･･･」一時(いっとき)間(ま)を置いて、男の声が落ちた。長い間には、多くの男たちと木々が茂った所でも交合していた。確かな記憶とは結び付かなかったものの、今は男の記憶のほうに自身を預けることにした。投げかけている男の目元に、遠目ながら、静かで哀しげな潤(うるお)いがあった。年は、八十を越えた桐岡より、一回り以上、下に見えた。「入れ」と男は短く言った。一呼吸置いて、「あの時より何倍もしゃぶらせてやる。尻(けつ)の穴も、奥までべろべろ舐めさせてやる･･･二階だ･･･一階のドアは空いている」と付け加えた。桐岡は頷(うなづ)いて、入り口に向かった。冷えた風が吹き抜けた。　一階のドアを開けると、木の階段があった。上がると部屋の前に出た。「入れ」と内側から声が流れた。ドアを開けると、男が真裸で正面を向いて立っていた。取り立てて大振りではなかったが、男根が形よく反り返っていた。桐岡はドアを閉めるや、一発で深々と頬張(ほおば)り、舌を絡(から)めた。「尺八に一段と磨(みが)きがかかったな･･･」男の声が真上から落ちた。「おまえはあの頃も、尺八の名手だったからな･･･」男の言葉に煽(あお)られて、桐岡の喉元が男の亀頭に更にじわりと迫った。舌全体がとろとろ巻き付き、男の記憶が確かだとすれば、何十年か離れていた男根と口腔と舌が、一発で再(ふたた)び蕩(とろ)けあった。「よし、尻(けつ)の穴に潜(もぐ)り込め。おまえの今の尻(けつ)舐めの技(わざ)を全部見せろ･･･」男はそう言うと、軀の向きを変え、桐岡の口の前に尻を突き出した。桐岡の記憶からは消えていたが、均質な肉が固めに幅広に盛り上がる一方で、同じ肉がそのまま内側へしっとり張りつめている、と見えた。恐らく、当時から、桐岡の好みのこういう最上質に近い尻だったから、男の記憶が確かだとすれば、何十年も昔、桐岡は一心にむしゃぶり付いたのだろう。　高齢に差し掛かろうとしている今も、普段、男は体操などで、相応に軀を鍛(きた)えていると見えた。その点は、桐岡も同じだった。　桐岡は、突き出された尻の両たぶをていねいに開き、中芯に舌をぴたり押し当てた。男の言葉どおりだとすれば、一度は交合したものの、その後は縁がないままに流れた何十年かの時が、つながった二人の軀を改めて静かに行き来するふうだった。男は向きを変え、部屋に置かれたひじ掛けの付いた木の椅子に腰を沈めると、「おまえも全部脱げ」と言い、脱ぎ終えた桐岡が男の前で四つ這いになると、右足を桐岡の口の前に突き出し、「足から舐めろ」と命じた。桐岡は最初は男の右足を、続いて左足を、それぞれ両手で受けると、指を一本一本口に収め、舌を絡め、足裏に舌をじっくり這わせた。「よし。もう一回、尻(けつ)の穴。その次に尺八･･･」男は一段と静かな口調で言い、椅子の上で尻を迫(せ)り出し、両の足をぐいと開いた。桐岡は両手を男の両の尻たぶに置くと、尻を更に開き、突き出した舌を、さっきより一段と濃(こま)やかに尻の中芯に押し当てた。「この方が、じっくり味わえるだろう。何十年も有り付けなかった俺の尻(けつ)の穴の肉を、奥まで思う存分舐めまくれ。おまえの中を俺の尻(けつ)の穴の肉でいっぱいにしろ･･･」男は口にしている事柄とは裏腹に、静かな声で淡々と言った。「はい」という言葉を、舌をとおして男の尻の一番奥まった肉の中に染み込ませた桐岡の眼が、じっとり涙でにじんだ。　男の手は抱(かか)えていた自身の足から離れ、足も尻も桐岡に全部預けていた。桐岡の舌と男の尻の内側の肉が、すっかり睦(むつ)み合って、どこへなのか一緒にたどり着こうとしているふうだった。そこがどこなのか判然としないながらも、行くところまで行けばよかった。この尻とこの舌なら、どこへでも行けそうな気がした。ほの暗いながら行き止まりではなく、行けば行くほどもっと奥まで誘われていた。「こんな舌があったのか･･･引き返したほうがいいのか･･･俺をどこへ連れて行くんだ･･･」男の口から言葉が切れ切れに伝い落ちた。「今日は尻(けつ)はここまででいい･･･尺八に変えろ･･･」男はうわごとめいて口にした。　桐岡の舌と口が男の尻の芯から静かに離れ、初(しょ)っぱなから反り返り続け、猛々(たけだけ)しさと潤(うるお)いの両面が、ともに極みまで行き渡った男根を深々と頬張(ほおば)った。「この舌と口は、一度か二度にした方がいいのか･･･明日(あした)から他(ほか)の男にやらせても、味気なく、物足りなくなってしまう･･･おまえも俺も、先のことは分からない･･･」男の口から流れ出る一語一語に、桐岡の口と舌と唾液の旨味(うまみ)がしっとり絡(から)みついていた。「おまえは日ごとこの街のどこかを迷い歩く･･･俺も時折どこへともなく迷い出る･･･」男は一時(いっとき)眠ったようにも見えた。桐岡の口元と舌にもふっと眠気めいたものが流れた。「元気そうだが、おまえは俺以上に高齢だ･･･叶(かな)うかな･･･今よりもっと年を取ったおまえの口と舌が俺をどこへ連れて行くか･･･その日は来るのか、来ないか･･･」いったん目覚めた男の声に、一段と濃い眠気が染み込んでいった。男はそのまま眠ったようだった。　桐岡は男から離れ、静かに部屋を出た。
　もう一度ここに来ることがあるかどうか、ひんやりした風が続けて吹き抜けると、さっきまでのことが、あれはいつのことだったか、どこでのことだったかと、自身に改めて聞いてみるふうな色合いがにじみ出るのには慣れていた。　充分すぎるくらい高齢になったからだ、と言い逃れはできないさ、おまえは昔からそうだったという声のほうが、芯が通っていると感じられた。歩けるうちは、どこへでも、どこまででも歩けばいい、という聞き慣れた声が聞こえてくるのは心強かった。歩いて行っても、どこまで行っても、誰が待っているわけでもないことも、とうに分かっていた。　さっきの男は、二人があの部屋にいたどこかの時点で、桐岡が初めて会った男だと気づいていたのではと、歩きながら桐岡は思った。口にはしなかったものの、そう感じ取りながら、男は交合を続けたのではと、桐岡は考えた。自分にとっても、男にとっても、どっちでも構わないことさ、よくあることだ、と桐岡は意外なくらいあっさり受け入れた。　一段とひんやりした風が吹き抜けた。うっすら雪が混じっていた。冷え冷えとした中を歩き続けるのは、いくつもの思いが一度に静まり心地よかった。十年先の中を、今、歩いているとも思えた。十年前の中を歩いている、そう思うことも珍しくはなかった。これからも、思う所へ、どこへでも歩ける、と桐岡はまた思った。　(了)
(付記)今回は、主(おも)に部屋の中という設定から、二人の交合の場面が多くなりました。そうした点では、第一回作品『身(み)も時も蕩(とろ)けだす』に似ているようです。語り手(主人公)の桐岡と、交合する相手の男の状況(記憶など)が逆転した感がありますが･･･。人は、最期(さいご)に、交合の果ての果てで、どこへたどり着き、どこへ消えていくのか･･･と改めて思ったりします。(荻崎)(2025.8.18)






<a></a>

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      <content:encoded><![CDATA[
<div><span style="font-size: 14pt;"><strong>(第4回作品)　肌身(はだみ)の記憶へ、その</strong></span><span style="font-size: 14pt;"><strong>向こうへ</strong></span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">　桐岡(きりおか)は歩いて行った。十字路になっていた。その辺りは葉を落としていない木が多かった。直前まで右に曲がるつもりで、左に入った。</span><span style="font-size: 12pt;">ありふれたことだった。思いがけない展開になるかなと、そのたびに幾らかなりと懲(こ)りずに思ったりするものの、何があるのでもなかった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　道の左側のほうに建物が多く、右側には木々が多かった。桐岡は左寄りを歩いた。そのほうが、絡みたくなる男を眼にできる度合いが、幾(いく)らかなりと高そうに思えた。桐岡は歩調を落とした。右側ほどではないものの、ていねいに眼をやると、左手の家々にも、植物が少ないわけではなかった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　二階建ての青い建物があった。居住者がいるのかどうか、静まっていた。植物は少ないながら、庭もあった。二階で、人影が動いた。窓が小さめに開いた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「何十年も昔、俺の魔羅(まら)にむしゃぶりついた</span><span style="font-size: 12pt;">奴(やつ)だな･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">男が声を投げ落とした。</span><span style="font-size: 12pt;">桐岡は立ち止まり、真っ直ぐ眼を向けた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">記憶がうっすら動きかけたものの、しっかりした像には結び付かなかった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「部屋の中で、それとも外で･･･」と桐岡は言葉を投げ上げた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「林の中。水も流れていた･･･」一時(いっとき)間(ま)を置いて、男の声が落ちた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">長い間には、多くの男たちと木々が茂った所でも交合していた。確かな記憶とは結び付かなかったものの、今は男の記憶のほうに自身を預けることにした。投げかけている男の目元に、遠目ながら、静かで哀しげな潤(うるお)いがあった。年は、八十を越えた桐岡より、一回り以上、下に見えた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「入れ」と男は短く言った。一呼吸置いて、「あの時より何倍もしゃぶらせてやる。尻(けつ)</span><span style="font-size: 12pt;">の穴も、奥までべろべろ舐めさせてやる･･･二階だ･･･一階のドアは空いている」と付け加えた。桐岡は頷(うなづ)いて、入り口に向かった。冷えた風が吹き抜けた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　一階のドアを開けると、木の階段があった。上がると部屋の前に出た。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「入れ」と内側から声が流れた。ドアを開けると、男が真裸で正面を向いて立っていた。取り立てて大振りではなかったが、男根が形よく反り返っていた。桐岡はドアを閉めるや、一発で深々と頬張(ほおば)り、舌を絡(から)めた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「尺八に一段と磨(みが)きがかかったな･･･」男の声が真上から落ちた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「おまえはあの頃も、尺八の名手だったからな･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">男の言葉に煽(あお)られて、桐岡の喉元が男の亀頭に更にじわりと迫った。舌全体がとろとろ巻き付き、男の記憶が確かだとすれば、何十年か離れていた男根と口腔と舌が、一発で再(ふたた)び蕩(とろ)けあった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「よし、尻(けつ)の穴に潜(もぐ)り込め。</span><span style="font-size: 12pt;">おまえの今の尻(けつ)舐めの技(わざ)を全部見せろ･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">男はそう言うと、軀の向きを変え、桐岡の口の前に尻を突き出した。桐岡の記憶からは消えていたが、均質な肉が固めに幅広に盛り上がる一方で、同じ肉がそのまま内側へしっとり張りつめている、と見えた。恐らく、当時から、桐岡の好みのこういう最上質に近い尻だったから、男の記憶が確かだとすれば、何十年も昔、桐岡は一心にむしゃぶり付いたのだろう。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　高齢に差し掛かろうとしている今も、普段、男は体操などで、相応に軀を鍛(きた)えていると見えた。その点は、桐岡も同じだった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　桐岡は、</span><span style="font-size: 12pt;">突き出された尻の両たぶをていねいに開き、中芯に舌をぴたり押し当てた。男の言葉どおりだとすれば、一度は交合したものの、その後は縁がないままに流れた何十年かの時が、つながった二人の軀を改めて静かに行き来するふうだった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">男は向きを変え、部屋に置かれたひじ掛けの付いた木の椅子に腰を沈めると、「おまえも全部脱げ」と</span><span style="font-size: 12pt;">言い、脱ぎ終えた桐岡が男の前で四つ這いになると、右足を桐岡の口の前に突き出し、「足から舐めろ」と命じた。桐岡は最初は男の右足を、続いて左足を、それぞれ両手で受けると、指を一本一本口に収め、舌を絡め、足裏に舌をじっくり這わせた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「よし。もう一回、尻(けつ)の穴。その次に尺八･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">男は一段と静かな口調で言い、椅子の上で尻を迫(せ)り出し、両の足をぐいと開いた。桐岡は両手を男の両の尻たぶに置くと、尻を更に開き、突き出した舌を、さっきより一段と濃(こま)やかに尻の中芯に押し当てた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「この方が、じっくり味わえるだろう。何十年も有り付けなかった俺の尻(けつ)の穴の肉を、奥まで思う存分舐めまくれ。おまえの中を俺の尻(けつ)の穴の肉でいっぱいにしろ･･･」男は口にしている事柄とは裏腹に、静かな声で淡々と言った。「はい」という言葉を、舌をとおして男の尻の一番奥まった肉の中に染み込ませた桐岡の眼が、じっとり涙でにじんだ。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　男の手は抱(かか)えていた自身の足から離れ、足も尻も桐岡に全部預けていた。桐岡の舌と男の尻の内側の肉が、すっかり睦(むつ)み合って、どこへなのか一緒にたどり着こうとしているふうだった。そこがどこなのか判然としないながらも、行くところまで行けばよかった。この尻とこの舌なら、どこへでも行けそうな気がした。ほの暗いながら行き止まりではなく、行けば行くほどもっと奥まで誘われていた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「こんな舌があったのか･･･引き返したほうがいいのか･･･俺をどこへ連れて行くんだ･･･」男の口から言葉が切れ切れに伝い落ちた。「今日は</span><span style="font-size: 12pt;">尻(けつ)はここまででいい･･･尺八に変えろ･･･」男はうわごとめいて口にした。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　桐岡の舌と口が男の尻の芯から静かに離れ、初(しょ)っぱなから反り返り続け、猛々(たけだけ)しさと潤(うるお)いの両面が、ともに極みまで行き渡った男根を深々と頬張(ほおば)った。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「この舌と口は、一度か二度にした方がいいのか･･･明日(あした)から他(ほか)の男にやらせても、味気なく、物足りなくなってしまう･･･おまえも俺も、先のことは分からない･･･」男の口から流れ出る一語一語に、桐岡の口と舌と唾液の旨味(うまみ)がしっとり絡(から)みついていた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「おまえは日ごとこの街のどこかを迷い歩く･･･俺も時折どこへともなく迷い出る･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">男は一時(いっとき)眠ったようにも見えた。桐岡の口元と舌にもふっと眠気めいたものが流れた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「元気そうだが、おまえは俺以上に高齢だ･･･叶(かな)うかな･･･今よりもっと年を取ったおまえの口と舌が俺をどこへ連れて行くか･･･その日は来るのか、来ないか･･･」いったん目覚めた男の声に、一段と濃い眠気が染み込んでいった。男はそのまま眠ったようだった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　桐岡は男から離れ、静かに部屋を出た。</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">　もう一度ここに来ることがあるかどうか、ひんやりした風が続けて吹き抜けると、さっきまでのことが、あれはいつのことだったか、どこでのことだったかと、自身に改めて聞いてみるふうな色合いがにじみ出るのには慣れていた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　充分すぎるくらい高齢になったからだ、と言い逃れはできないさ、おまえは昔からそうだったという声のほうが、芯が通っていると感じられた。歩けるうちは、どこへでも、どこまででも歩けばいい、という聞き慣れた声が聞こえてくるのは心強かった。歩いて行っても、どこまで行っても、誰が待っているわけでもないことも、とうに分かっていた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　さっきの男は、二人があの部屋にいたどこかの時点で、桐岡が初めて会った男だと気づいていたのではと、歩きながら桐岡は思った。口にはしなかったものの、そう感じ取りながら、男は交合を続けたのではと、桐岡は考えた。自分にとっても、男にとっても、どっちでも構わないことさ、よくあることだ、と桐岡は意外なくらいあっさり受け入れた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　一段とひんやりした風が吹き抜けた。うっすら雪が混じっていた。冷え冷えとした中を</span><span style="font-size: 12pt;">歩き続けるのは、いくつもの思いが一度に静まり心地よかった。十年先の中を、今、歩いているとも思えた。十年前の中を歩いている、そう思うことも珍しくはなかった。これからも、思う所へ、どこへでも歩ける、と桐岡はまた思った。　(了)</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">(付記)</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">今回は、主(おも)に部屋の中という設定から、二人の交合の場面が多くなりました。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">そうした点では、第一回作品『身(み)も時も蕩(とろ)けだす』に似ているようです。語り手(主人公)の桐岡と、交合する相手の男の状況(記憶など)が逆転した感がありますが･･･。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">人は、最期(さいご)に、交合の果ての果てで、どこへたどり着き、どこへ消えていくのか･･･と改めて思ったりします。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">(荻崎)</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">(2025.8.18)</span></div><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><a name="more"></a>

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            <category>美術　文学</category>
      <author>荻崎正広の言葉と画像の空間</author>
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      <link>https://ogizakiworld.seesaa.net/article/516745309.html</link>
      <title>荻崎正広短編小説集 『果ての、始まりへ』</title>
      <pubDate>Sat, 12 Jul 2025 17:03:23 +0900</pubDate>
            <description>(第3回作品)  木の中の声  桐岡(きりおか)は立ち止まった場所から引き返した。道の端(はし)に丈(たけ)の低い木々が続いていた。結局いつも一人で歩いている。歩いていればいいのだと考えた。歩いていれば、どこかにたどり着く。どこにたどり着かなくても、自分を見離さなくてもいい、自分をどこかに運び続ければいいんだ。いつもと変わらない思いが浮かんだ。　どんより曇っていたが、雨は落ちていなかった。人通りはさほど多くはなかった。桐岡同様多くは一人で歩いていた。疲れたら道端のベンチに座れ..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
(第3回作品)  木の中の声
  桐岡(きりおか)は立ち止まった場所から引き返した。道の端(はし)に丈(たけ)の低い木々が続いていた。結局いつも一人で歩いている。歩いていればいいのだと考えた。歩いていれば、どこかにたどり着く。どこにたどり着かなくても、自分を見離さなくてもいい、自分をどこかに運び続ければいいんだ。いつもと変わらない思いが浮かんだ。　どんより曇っていたが、雨は落ちていなかった。人通りはさほど多くはなかった。桐岡同様多くは一人で歩いていた。疲れたら道端のベンチに座ればいい、そう思いながら、立ち止まることなく歩いた。　左手に生える、周辺と同様さほど高くはない木の元に立っている男がいた。五十代ほどか。どちらかというと小柄に見えた。男は右手を木の幹に置いていたが、取り立てて何を見ているというふうではなかった。桐岡が好ましく感じる顔形だった。「この木が気に入っているようですね･･･」男にやや距離を置いた位置で、桐岡は声にした。男は桐岡に眼を向けたものの、無言のまま姿勢を変えなかった。表情も変わらなかった。　一時(いっとき)間(ま)を置いてから、「行くぞ」と男は小声で口にし、顔を軽く振り、道の前方に向けた。「この道はよく通るんですか」と桐岡はやや前を行く男に言った。男から声は返らなかったが、薄茶色のズボンを通して男の尻の筋肉がこりこりっと動くのが、桐岡の眼に入った。「見知らぬ奴(やつ)に声をかけることに慣れているんだな」男は歩幅を落とし、不意に言葉を口にした。桐岡は男の尻の辺りに投げていた視線を戻し、「時々です･･･さっきは、うるせえな、と荒く言われるかと思った･･･」と返した。男はそれ以上言葉を投げるでもなく、桐岡を誘ったことなど覚えていないふうに歩を運んでいた。「そんなに俺の尻の穴に吸い付きたいのか･･･」辺りの木の葉が一枚舞い落ちるように、男は小声で淡々と口にした。「ぶっ続けで、三十分･･･」男に追いついてから桐岡は言った。「図に乗るんじゃねぇ」と男はやはり静かな声で返した。「舐めたがる人が多そうですね･･･」と桐岡が言った。「楽な姿勢でじっくり舐めさせることに慣れている気がする･･･俺のような八十歳を越えた爺(じい)さんより、若い奴に舐めさせた方が気持ちがいい、と言われそうだな･･･」言葉は返されることなく、薄く色づいた木の葉が一枚、二枚と舞い落ちた。　男の視線が斜め右の方に向けられた。前方に、右に入る道があった。桐岡にはその道に薄っすら覚えがあるようにも思えたものの、他(ほか)の道の記憶だったかもしれない。男はやや狭くなったその道に入った。木々が増えたようだった。「高齢の奴(やつ)にじっくり奥まで長い時間舐めさせると、気が休まり、疲れも取れる･･･」不意の男の声は、風が一(ひと)吹き耳元を流れるようだった。「最高は何時間舐めさせたのかな･･･」と桐岡が聞くと、「放っておくと、何時間でも舐めていそうだな、おまえは･･･。尺八と尻(けつ)の穴、交互にゆっくり使うぞ」と男は一段と淡々と返した。　男は左に曲がった。木々の間にいくつかの建物が見えた。太めの木々が枝葉を広く伸ばしていた。男は次の角をまた左に曲がった。一本の木の幹と枝葉に男の姿が一時(いっとき)隠れた。それきり男の姿は見えなくなった。周囲に男が入ったかもしれない建物は見当たらなかった。何度か眼を凝(こ)らしたが、辺りに人の姿はなかった。しばらくこの場に佇(たたず)んでいれば、あの男がふっと現れるようにも思えた。「何、ぼうっとしているんだ･･･」と男の声が耳に入った気もした。見回したが、誰もいなかった。風の音だったかもしれない。立ち続ければ、「こっちだよ」と男の声が続きそうだった。　右手の奥まった場所に建っている家の二階から、「ここだ」と男が手を振る姿が浮かんだ。誰も立ってはいなかった。風の音ではないと先手を打つ中で、「待たしたな･･･」という男の声がやや大きめに聞こえた気もした。期待を抑えつつ見回したが、当然のように誰も見当たらなかった。　あの男とは似ても似つかない顔形と体形の男が、さっきあの男と桐岡が歩いてきた道の方へ行くのが見えた。よくあることさ、と踏ん切りをつけなければならなかった。どのくらい前になるのか、木の下に立っていたあの男に初めて声をかけた時から、こうなることは分かっていただろうという声は桐岡にはずっと聞こえていた。そうした声を聞きつつ、そうした声の後(あと)を追うように男と言葉をやり取りしていただろう、おまえは、という別の声も耳にしていた気がする。　帰ろうと桐岡は思った。とりあえず、最初に男に声をかけた木の所に足が向かうのは分かっていた。あそこまで迷わず行けるかどうか･･･。　すれ違ったり、追い越したりする男たちに、一人二人ふっと思いが移ったりしなかった訳(わけ)でもなかったが、あの男に寄せたものとは到底比べられなかった。歩いていれば、歩き続ければ、忘れられるさ･･･。風が耳元を吹き抜けるように、そうした言葉が自身の内を吹き抜けるまで歩けばいいことだった。「そんなに欲しかったか･･･。おまえは俺の尻(けつ)の中を舐められるなら、何でもするという眼をしていたな。今日、初めて見た時から･･･」男の声が、桐岡の内と外を、二度、三度と流れた。　さっきの木が生えていた。どこか違う木のようにも思えたものの、他(ほか)に思い当たる木は見当たらなかった。何日も前の出来事のようにも感じられた。立ち続ければ、「なんだ、ここにいたのか･･･」と、あの男が現れそうに感じられるのかどうか、自分の中の声をとりあえず聞こうと考えた。木の下に立っていればいいことだった。他のことをするより今は楽だった。　木の幹に尻で寄り掛かったり、右手を付いたりした。何かが木の中に流れ込み、自身が少しだけ軽くなると感じることができるかもしれなかった。軽くなる訳(わけ)がないという声も、木の中にならほんのわずか流し込めるかもしれない･･･。束(つか)の間(ま)であれ自身を軽くすることが必要に感じられた。「どこをうろついていたんだ。いつまでも待っている訳(わけ)ではないからな･･･」　ここにいれば、そう言いながらあの男がふっと立ち現れるのではないかという思いにいつまでも寄りかかりそうな自身と、もう離れなければならなかった。いつだって自分を置き去りにするしかないさという声を残して、桐岡は去った。　(了)

(付記)語り手(主人公)が、桐岡(きりおか)という同一の名前という事もあり、第1回、第2回との関わりが分かりにくい面がありそうですね。重なりつつも、一応単独の作品としてお読みいただけたらと思います。(荻崎)(2025.7.12)










<a></a>

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      <content:encoded><![CDATA[
<div><span style="font-size: 14pt;"><strong>(第3回作品)&nbsp; 木の中の声</strong></span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">&nbsp; 桐岡(きりおか)は立ち止まった場所から引き返した。道の端(はし)に丈(たけ)の低い木々が続いていた。結局いつも一人で歩いている。歩いていればいいのだと考えた。歩いていれば、どこかにたどり着く。どこにたどり着かなくても、自分を見離さなくてもいい、自分をどこかに運び続ければいいんだ。いつもと変わらない思いが浮かんだ。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　どんより曇っていたが、雨は落ちていなかった。人通りはさほど多くはなかった。桐岡同様多くは一人で歩いていた。疲れたら道端のベンチに座ればいい、そう思いながら、立ち止まることなく歩いた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　左手に生える、周辺と同様さほど高くはない木の元に立っている男がいた。五十代ほどか。どちらかというと小柄に見えた。男は右手を木の幹に置いていたが、取り立てて何を見ているというふうではなかった。桐岡が好ましく感じる顔形だった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「この木が気に入っているようですね･･･」男にやや距離を置いた位置で、桐岡は声にした。男は桐岡に眼を向けたものの、無言のまま姿勢を変えなかった。表情も変わらなかった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　一時(いっとき)間(ま)を置いてから、「行くぞ」と男は小声で口にし、顔を軽く振り、道の前方に向けた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「この道はよく通るんですか」と桐岡はやや前を行く男に言った。男から声は返らなかったが、薄茶色のズボンを通して男の尻の筋肉がこりこりっと動くのが、桐岡の眼に入った。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「見知らぬ奴(やつ)に声をかけることに慣れているんだな」男は歩幅を落とし、不意に言葉を口にした。桐岡は男の尻の辺りに投げていた視線を戻し、「時々です･･･さっきは、うるせえな、と荒く言われるかと思った･･･」と返した。男はそれ以上言葉を投げるでもなく、桐岡を誘ったことなど覚えていないふうに歩を運んでいた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「そんなに俺の尻の穴に吸い付きたいのか･･･」辺りの木の葉が一枚舞い落ちるように、男は小声で淡々と口にした。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「ぶっ続けで、三十分･･･」男に追いついてから桐岡は言った。「図に乗るんじゃねぇ」と男はやはり静かな声で返した。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「舐めたがる人が多そうですね･･･」と桐岡が言った。「楽な姿勢でじっくり舐めさせることに慣れている気がする･･･俺のような八十歳を越えた爺(じい)さんより、若い奴に舐めさせた方が気持ちがいい、と言われそうだな･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">言葉は返されることなく、薄く色づいた木の葉が一枚、二枚と舞い落ちた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　男の視線が斜め右の方に向けられた。前方に、右に入る道があった。桐岡にはその道に薄っすら覚えがあるようにも思えたものの、</span><span style="font-size: 12pt;">他(ほか)の道の記憶だったかもしれない。男はやや狭くなったその道に入った。木々が増えたようだった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「高齢の奴(やつ)にじっくり奥まで長い時間舐めさせると、気が休まり、疲れも取れる･･･」不意の男の声は、風が一(ひと)吹き耳元を流れるようだった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「最高は何時間舐めさせたのかな･･･」と桐岡が聞くと、「放っておくと、何時間でも舐めていそうだな、おまえは･･･。尺八と尻(けつ)の穴、交互にゆっくり使うぞ」と男は一段と淡々と返した。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　男は左に曲がった。木々の間にいくつかの建物が見えた。太めの木々が枝葉を広く伸ばしていた。男は次の角をまた左に曲がった。一本の木の幹と枝葉に男の姿が一時(いっとき)隠れた。それきり男の姿は見えなくなった。周囲に男が入ったかもしれない建物は見当たらなかった。何度か眼を凝(こ)らしたが、辺りに人の姿はなかった。しばらくこの場に佇(たたず)んでいれば、あの男がふっと現れるようにも思えた。「何、ぼうっとしているんだ･･･」と男</span><span style="font-size: 12pt;">の声が耳に入った気もした。見回したが、誰もいなかった。風の音だったかもしれない。立ち続ければ、</span><span style="font-size: 12pt;">「こっちだよ」と男の声が続きそうだった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　右手の奥まった場所に建っている家の二階から、「ここだ」と男が手を振る姿が浮かんだ。誰も立ってはいなかった。</span><span style="font-size: 12pt;">風の音ではないと先手を打つ中で、「待たしたな･･･」という男の声がやや大きめに聞こえた気もした。期待を抑えつつ見回したが、当然のように誰も見当たらなかった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　あの男とは似ても似つかない顔形と体形の男が、さっきあ</span><span style="font-size: 12pt;">の男と桐岡が歩いてきた道の方へ行くのが見えた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">よくあることさ、と踏ん切りをつけなければならなかった。どのくらい前になるのか、木の下に立っていたあの男に初めて声をかけた時から、こうなることは分かっていただろうという声は桐岡にはずっと聞こえていた。そうした声を聞きつつ、そうした声の後(あと)を追うように男と言葉をやり取りしていただろう、おまえは、という別の声も耳にしていた気がする。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　帰ろうと桐岡は思った。とりあえず、最初に男に声をかけた木の所に足が向かうのは分かっていた。あそこまで迷わず行けるかどうか･･･。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　すれ違ったり、追い越したりする男たちに、一人二人ふっと思いが移ったりしなかった訳(わけ)でもなかったが、あの男に寄せたものとは到底比べられなかった。歩いていれば、歩き続ければ、忘れられるさ･･･。風が耳元を吹き抜けるように、そうした言葉が自身の内を吹き抜けるまで歩けばいいことだった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「そんなに欲しかったか･･･。おまえは俺の尻(けつ)の中を舐められるなら、何でもするという眼をしていたな。今日、初めて見た時から･･･」男の声が、桐岡の内と外を、二度、三度と流れた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　さっきの木が生えていた。どこか違う木のようにも思えたものの、他(ほか)</span><span style="font-size: 12pt;">に思い当たる木は見当たらなかった。何日も前の出来事のようにも感じられた。立ち続ければ、「なんだ、ここにいたのか･･･」と、あの男が現れそうに感じられるのかどうか、自分の中の声をとりあえず聞こうと考えた。</span><span style="font-size: 12pt;">木の下に立っていればいいことだった。他のことをするより今は楽だった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　木の幹に尻で寄り掛かったり、右手を付いたりした。何かが木の中に流れ込み、自身が少しだけ軽くなると感じることができるかもしれなかった。軽くなる訳(わけ)がないという声も、木の中にならほんのわずか流し込めるかもしれない･･･。束(つか)の間(ま)であれ自身を軽くすることが必要に感じられた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「どこをうろついていたんだ。いつまでも待っている訳(わけ)ではないからな･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　ここにいれば、そう言いながらあの男がふっと立ち現れるのではないかという思いにいつまでも寄りかかりそうな自身と、もう離れなければならなかった。いつだって自分を置き去りにするしかないさという声を残して、桐岡は去った。　(了)</span></div><br /><br /><div><span style="font-size: 12pt;">(付記)</span></div><div><span style="font-size: 16px;">語り手(主人公)が、桐岡(きりおか)という同一の名前という事もあり、第1回、第2回との関わりが分かりにくい面がありそうですね。重なりつつも、一応単独の作品としてお読みいただけたらと思います。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">(荻崎)</span></div><div><span style="font-size: 16px;">(2025.7.12)</span></div><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><a name="more"></a>

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            <category>美術　文学</category>
      <author>荻崎正広の言葉と画像の空間</author>
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      <link>https://ogizakiworld.seesaa.net/article/516282615.html</link>
      <title>荻崎正広短編小説集　『果ての、始まりへ』</title>
      <pubDate>Mon, 30 Jun 2025 17:10:49 +0900</pubDate>
            <description>(第2回作品)　風が吹く裸　前方の右側に、さほど広いとは見えなかったが、木々が茂る公園風な場所が見えた。男は立ち止まることなく、その公園の中に入っていった。来慣れている場所にも見えた。男は四十代程(ほど)だった。　桐岡(きりおか)は一時(いっとき)立ち止まってから、男の歩いて行く方向に少し歩度を落として進んだ。まばらながら人影があった。右手の、木々が一段と濃く茂っている辺りに男は入っていった。細い道が通じている先に、狭いが三角形に見える空き地があり、木のベンチが二脚置かれてい..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
(第2回作品)　風が吹く裸
　前方の右側に、さほど広いとは見えなかったが、木々が茂る公園風な場所が見えた。男は立ち止まることなく、その公園の中に入っていった。来慣れている場所にも見えた。男は四十代程(ほど)だった。　桐岡(きりおか)は一時(いっとき)立ち止まってから、男の歩いて行く方向に少し歩度を落として進んだ。まばらながら人影があった。右手の、木々が一段と濃く茂っている辺りに男は入っていった。細い道が通じている先に、狭いが三角形に見える空き地があり、木のベンチが二脚置かれていた。男は左側に置かれたベンチに腰を下ろした。辺りに人影はなかった。「俺をしゃぶりたくて、後(あと)を付けて来たんだろう･･･」取り立てて桐岡の方に眼を向ける風でもなく男は言った。咎(とが)める口調ではなく、声も小さめだった。桐岡はすぐさま男に近づくと、男の前にしゃがみ、両手を男の腰に回し、口をズボン越しに男の男根の位置に押し当ててから、男の眼を真っ直ぐ見上げた。「爺(じい)さんの割には元気だな･･･」男は桐岡の眼の中に言葉を落とした。桐岡は男のベルトを緩めてズボンを膝までずり下げ、男根と尻が剝(む)き出しになる恰好(かっこう)にしてから、両手を男の両の尻たぶに回し、男根を深々と頬(ほお)張った。男の尻に直(じか)に手を置きながら、最初の尺八をしたかった。何日か前、後(あと)を付けて入った別の男の部屋で交合した時の最初の方の映像と、今の眼前の情景が自然に重なった。口や手に当たる肉の弾(はじ)き返すような感触に通じるものがあった。口腔(こうこう)、舌、唇、両の掌(てのひら)、指が、男の生きのいい前と後ろの肉にしっとりやや強めに絡んだ。「これほどの尺八は初めてだ。長い年月をかけて技(わざ)を磨いたな･･･」男は桐岡の頭に両手を置き、男根に深々と押し付けたり、緩めたりしながら、そう口にした。桐岡は尺八を続けながら、男のズボンを更にずり下げ、男の両足から脱ぎ取った。「片足をここに乗せて」と男に言い、男の右足をベンチの上に載せる恰好(かっこう)にした。男は桐岡が何をしたがっているかを察し、しゃがんだ桐岡の眼前に、剝(む)き出しになった尻をぐいと突き出した。「わっ」と抑えた声を出し、桐岡は両手で思い切り男の両の尻たぶを開き、露(あら)わになった尻の芯に舌をぴたっと押し当てた。　さっきも浮かんだが、何日か前、五十代だと語った男の部屋で、その男が造ったこれに似た姿態の映像が、桐岡自身が予想した以上に、濃く浮かび上がった。それが手伝い、今、現に押し当てている尻の内側の肉が一段旨(うま)みを増した。その旨みをもっと欲しがり、桐岡の舌先は一層深くもぐりこんだ。「そんなに旨いか･･･」静かな声が男の口から流れ落ちた。その声が周囲の木々の枝から離れる葉に似ているなと、一心に舐めつつ桐岡は思った。「おまえの尻(けつ)の穴の舐め方は極上(ごくじょう)品だ。尺八も飛び切りの一級品だが、濃(こま)やかさが一段と加わっている･･･」男の声は、何枚かの木の葉が同時に枝を離れるのに似て、更に淡々と響いた。その声に促されて、桐岡の舌先は尻の内側の肉をしっとり絡め取りながら、じわりと更に奥に届いた。「もっと奥まで舐めやすい恰好を作ってやる･･･」男はそう言うと、自らズボンとトランクスを脱ぎ取りベンチに掛けると、靴は履いたままベンチの端で仰向けになり、両手で両足を抱え、丸ごとぐいと尻を晒(さら)した。しゃがんだ桐岡の口元の辺りと男の尻のわずかな間を、風が一吹き二吹き流れるのを桐岡は感じ取った。芯の奥を中心に男の尻が一新されたと感じられた。　何かしら厳(おごそ)かで自身の総身も清新になるのを感じながら、桐岡は両手で尻の芯を存分に開き、舌と唇の多くの面をぴたりと押し当てた。とろとろしながらきりっと締まった分厚い味わいが、静かに押し寄せた。これを越える味わいを持った男の尻をこの先、手に入れることができるのかという思いが、舌先を流れると、味わいが一層深みとこくを増した。それに煽(あお)られ、桐岡の舌が更にじわり奥に届いた。周りの木々の間を流れているよりもう一段澄んだ風が、男の軀の中を流れ、繋(つな)がった桐岡の軀にも流れた。こんなに澄み切った風に、この先何度吹かれることができるのかなという思念が桐岡の舌先に押し寄せ、舌は更に一層男の奥に潜(もぐ)った。その舌先からも真新しい風が生まれ、男と桐岡の軀の隅々まで吹き渡る、そんな感覚にそそのかされて、桐岡の眼が薄っすら涙で滲(にじ)んだ。「おまえに舐めさせていると、軀じゅうが澄み切っていく･･･」そう口にしてから、男は軀を一転させ、うつ伏せになり、ベンチの端で尻をぐいと突き上げてから、「この恰好でも舐めたいんだろう･･･」と口にした。その声に誘われて、風がまた一吹き流れた。男が体勢を変えたことで、舌と尻の内の触れる肉が細やかに変わった。再び薄っすらにじんだ桐岡の目元を新たに風が流れた。風が吹くままに舐めていればいい。風に流されるままにいれば、いつでもこの男の尻にたどり着くことができる･･･。風はこの男の尻の奥処(おくが)から生じ、繋がった二つの軀の中を吹き放題だった。辺りに木の葉が一段と舞っていた。「おまえは放っておくと延々と舐め続けるな･･･今日は尻(けつ)はこのくらいにしておけ･･･後は手と口で行かせろ」男はそう言いながら、軀を再び一転させ、ベンチの端(はし)で半身を仰向けにし、両足は地面に置いた。一層太々しくなった男根が下腹に触れんばかりに反り返っていた。　桐岡は眼前の男根をもっと深くもっと深くと喉元まで誘い込めば込むほど、何日か前に交合した男の住む建物があれから見当たらなくなったと同じように、今度はこの公園を見つけられなくなるのかなという思いに駆り立てられた。「おおうっ」と男の口から切羽詰まったような声が流れた。ベンチの上を風が走り、木の葉が何枚か後を追った。二人の足元にも黄土色の木の葉が落ちた。風の流れに沿うように、桐岡は男の男根に濃(こま)やかに右手を絡(から)めた。「いくぞ･･･」という男の声は、芯の強い風の音を思わせた。
　公園の出入り口まで一緒に歩いてから、男は去って行った。去り際に、「いつか俺を見かけたら、また後を付けてもいいぞ」と淡々と男は言った。風が男の後を追って、一吹き流れた。(了)

(付記)前回、第一回の付記でも書きましたが、もともとは長い作品の一部ですが、単独の作品として読んでいただけたらと思います。語り手(主人公)の名前は、今回以降も、同じ桐岡(きりおか)になると思います。感想などお寄せいただけたら幸いです。(荻崎)(2025.6.30)





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      <content:encoded><![CDATA[
<div><span style="font-size: 14pt;"><strong>(第2回作品)　風が吹く裸</strong></span></div><br /><div>　<span style="font-size: 12pt;">前方の右側に、さほど広いとは見えなかったが、木々が茂る公園風な場所が見えた。男は立ち止まることなく、その公園の中に入っていった。来慣れている場所にも見えた。男は四十代程(ほど)だった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　桐岡(きりおか)は一時(いっとき)立ち止まってから、男の歩いて行く方向に少し歩度を落として進んだ。</span><span style="font-size: 12pt;">まばらながら人影があった。右手の、木々が一段と濃く茂っている辺りに男は入っていった。細い道が通じている先に、狭いが三角形に見える空き地があり、木のベンチが二脚置かれていた。男は左側に置かれたベンチに腰を下ろした。辺りに人影はなかった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「俺をしゃぶりたくて、後(あと)を付けて来たんだろう･･･」取り立てて桐岡の方に眼を向ける風でもなく男は言った。咎(とが)める口調ではなく、声も小さめだった。桐岡はすぐさま男に近づくと、男の前にしゃがみ、両手を男の腰に回し、口をズボン越しに男の男根の位置に押し当ててから、男の眼を真っ直ぐ見上げた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「爺(じい)さんの割には元気だな･･･」男は桐岡の眼の中に言葉を落とした。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">桐岡は男のベルトを緩めてズボンを膝までずり下げ、男根と尻が剝(む)き出しになる恰好(かっこう)にしてから、両手を男の両の尻たぶに回し、男根を深々と頬(ほお)張った。男の尻に直(じか)に手を置きながら、最初の尺八をしたかった。何日か前、後(あと)を付けて入った別の男の部屋で交合した時の最初の方の映像と、今の眼前の情景が自然に重なった。口や手に当たる肉の弾(はじ)き返すような感触に通じるものがあった。口腔(こうこう)、舌、唇、両の掌(てのひら)、指が、男の生きのいい前と後ろの肉にしっとりやや強めに絡んだ。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「これほどの尺八は初めてだ。長い年月をかけて技(わざ)を磨いたな･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">男は桐岡の頭に両手を置き、男根に深々と押し付けたり、緩めたりしながら、そう口にした。桐岡は尺八を続けながら、男のズボンを更にずり下げ、男の両足から脱ぎ取った。「片足をここに乗せて」と男に言い、男の右足をベンチの上に載せる恰好(かっこう)にした。男は桐岡が何をしたがっているかを察し、しゃがんだ桐岡の眼前に、剝(む)き出しになった尻をぐいと突き出した。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「わっ」と抑えた声を出し、桐岡は両手で思い切り男の両の尻たぶを開き、露(あら)わになった尻の芯に舌をぴたっと押し当てた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　さっきも浮かんだが、何日か前、五十代だと語った男の部屋で、その男が造ったこれに似た姿態の映像が、桐岡自身が予想した以上に、濃く浮かび上がった。それが手</span><span style="font-size: 12pt;">伝い、今、現に押し当てている尻の内側の肉が一段旨(うま)みを増した。その旨みをもっと欲しがり、桐岡の舌先は一層深くもぐりこんだ。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「そんなに旨いか･･･」静かな声が男の口から流れ落ちた。その声が周囲の木々の枝から離れる葉に似ているなと、一心に舐めつつ桐岡は思った。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「おまえの尻(けつ)の穴の舐め方は極上(ごくじょう)品だ。尺八も飛び切りの一級品だが、濃(こま)やかさが一段と加わっている･･･」男の声は、何枚かの木の葉が同時に枝を離れるのに似て、更に淡々と響いた。その声に促されて、桐岡の舌先は尻の内側の肉をしっとり絡め取りながら、じわりと更に奥に届いた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「もっと奥まで舐めやすい恰好を作ってやる･･･」男はそう言うと、自らズボンとトランクスを脱ぎ取りベンチに掛けると、靴は履いたままベンチの端で仰向けになり、両手で両足を抱え、丸ごとぐいと尻を晒(さら)した。しゃがんだ桐岡の口元の辺りと男の尻のわずかな間を、風が一吹き二吹き流れるのを桐岡は感じ取った。芯の奥を中心に男の尻が一新されたと感じられた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　何かしら厳(おごそ)かで自身の総身も清新になるのを感じながら、桐岡は両手で尻の芯を存分に開き、舌と唇の多くの面をぴたりと押し当てた。とろとろしながらきりっと締まった分厚い味わいが、静かに押し寄せた。これを越える味わいを持った男の尻をこの先、手に入れることができるのかという思いが、舌先を流れると、味わいが一層深みとこくを増した。それに煽(あお)られ、桐岡の舌が更にじわり奥に届いた。周りの木々の間を流れているよりもう一段澄んだ風が、男の軀の中を流れ、繋(つな)がった桐岡の軀にも流れた。こんなに澄み切った風に、この先何度吹かれることができるのかなという思念が桐岡の舌先に押し寄せ、舌は更に一層男の奥に潜(もぐ)った。その舌先からも真新しい風が生まれ、男と桐岡の軀の隅々まで吹き渡る、そんな感覚にそそのかされて、桐岡の眼が薄っすら涙で滲(にじ)んだ。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「おまえに舐めさせていると、軀じゅうが澄み切っていく･･･」そう口にしてから、男は軀を一転させ、うつ伏せになり、ベンチの端で尻をぐいと突き上げてから、「この恰好でも舐めたいんだろう･･･」と口にした。その声に誘われて、風がまた一吹き流れた。男が体勢を変えたことで、舌と尻の内の触れる肉が細やかに変わった。再び薄っすらにじんだ桐岡の目元を新たに風が流れた。風が吹くままに舐めていればいい。風に流されるままにいれば、いつでもこの男の尻にたどり着くことができる･･･。風はこの男の尻の奥処(おくが)から生じ、繋がった二つの軀の中を吹き放題だった。辺りに木の葉が一段と舞っていた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「おまえは放っておくと延々と舐め続けるな･･･今日は尻(けつ)はこのくらいにしておけ･･･後は手と口で行かせろ」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">男はそう言いながら、軀を再び一転させ、ベンチの端(はし)で半身を仰向けにし、両足は地面に置いた。一層太々しくなった男根が下腹に触れんばかりに反り返っていた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　桐岡は眼前の男根をもっと深くもっと深くと喉元まで誘い込めば込むほど、何日か前に交合した男の住む建物があれから見当たらなくなったと同じように、今度はこの公園を見つけられなくなるのかなという思いに駆り立てられた。「おおうっ」と男の口から切羽詰まったような声が流れた。ベンチの上を風が走り、木の葉が何枚か後を追った。二人の足元にも黄土色の木の葉が落ちた。風の流れに沿うように、桐岡は男の男根に濃(こま)やかに右手を絡(から)めた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「いくぞ･･･」という男の声は、芯の強い風の音を思わせた。</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">　公園の出入り口まで一緒に歩いてから、男は去って行った。去り際に、「いつか俺を見かけたら、また後を付けてもいいぞ」と淡々と男は言った。風が男の後を追って、一吹き流れた。(了)</span></div><br /><br /><div><span style="font-size: 12pt;">(付記)</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">前回、第一回の付記でも書きましたが、もともとは長い作品の一部ですが、単独の作品として読んでいただけたらと思います。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">語り手(主人公)の名前は、今回以降も、同じ桐岡(きりおか)になると思います。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">感想などお寄せいただけたら幸いです。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">(荻崎)</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">(2025.6.30)</span></div><br /><br /><br /><br /><br /><br /><div><span style="font-size: 12pt;">&nbsp; </span></div><a name="more"></a>

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            <category>美術　文学</category>
      <author>荻崎正広の言葉と画像の空間</author>
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                </item>
        <item>
      <link>https://ogizakiworld.seesaa.net/article/515823772.html</link>
      <title>荻崎正広短編小説集　『果ての、始まりへ』</title>
      <pubDate>Wed, 11 Jun 2025 17:42:51 +0900</pubDate>
            <description>　(第1回作品)　身(み)も時も蕩(とろ)けだす　桐岡(きりおか)は、また街を歩いていた。夕方が近いな、と思った。この日、いつも以上に何人もの男たちと絡(から)み合ったようにも、誰の肌身にも有り付くことなく、ずっと一人で歩いていたとも思えた。とは言え、そう思うことはこの日に限らず、よくあることだった。　どうであれ、見放すことなくこの身に寄り添っていけばいい、そうすれば、いつか、えっ、こんな男が同じ街にいて、俺を受け入れようとしているという場面を前にすることができる･･･。今ま..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
　(第1回作品)　身(み)も時も蕩(とろ)けだす
　桐岡(きりおか)は、また街を歩いていた。夕方が近いな、と思った。この日、いつも以上に何人もの男たちと絡(から)み合ったようにも、誰の肌身にも有り付くことなく、ずっと一人で歩いていたとも思えた。とは言え、そう思うことはこの日に限らず、よくあることだった。　どうであれ、見放すことなくこの身に寄り添っていけばいい、そうすれば、いつか、えっ、こんな男が同じ街にいて、俺を受け入れようとしているという場面を前にすることができる･･･。今までのように過ごせばいい、自分を見離しさえしなければ、そこへ行き付く。　あっ、以前、入ったことがある家ではないか、と桐岡の足が止まりかけた。周辺にも見覚えがある気がした。入ったのは何十年も前とも、まだ十年は経っていないとも、確かではなかった。足を止め、じっくり見廻した。　屋根が濃い青、ドアは焦げ茶色の、二階建ての家だった。庭には丈(たけ)の高い植物が多かった。ただ、年齢や顔形など中にどんな男がいたのか、その男と何を行ったか、思い浮かばなかった。やったことは他(ほか)の男たちの場合と大して違いはないさ、思い浮かべられなくても仕方がないよ、という声の行く先を追うようにして、桐岡は二階の窓に眼をやった。　いつの間(ま)にベランダに出たのか、手すりに両手を付いて立っている男と眼が合った。ただ、相手の顔が分かっても、記憶がくっきり浮かび出ることはなかった。「そんなに、俺と、やりたいのか･･･昔一度、やったことがある、などと、言いたそうな、眼をしているな･･･作り話が、好きなのか･･･」　男が言葉を、投げやりというのとは異なるものの、途切れがちに落とした。男は桐岡の眼には五十前後に見えた。歳月だけは止めどもなく過ぎ去っていく、今こうしている間(あいだ)にも、という当たり前の感懐(かんかい)が、男の言葉と束(たば)になって桐岡に降りかかった。「何十年か前、一度、中でやったことがあるような気がして･･･ありもしない、でたらめな記憶かもしれない･･･」と桐岡は言葉を上に投げた。「そんな作り話をしてまで、俺の尻(しり)の穴に舌を潜(もぐ)り込ませたいのか。八十を越えていそうな、白髪(しらが)頭になっても･･･」男の言葉は沈んだ口調になった分、滑らかになっていた。「少し経ってから、一階の玄関のドアを開けろ。俺が下半身だけ裸で尻を突き出している。両手で穴を開いて、その場で奥の奥までじっくり舐めろ。よし、と俺が言ったら、すぐに立ち去れ」男の声には、桐岡に聞かせるというより、独(ひと)り言めいた感があった。それにもかかわらず、よく響いた。　やや長めかなと感じられる間(ま)を置いてから、桐岡は玄関に向かい、ドアを開いた。板敷きの上で、さっきの言葉どおり、男が四つ這いの向こう向きの恰好(かっこう)で、裸の尻を突き出していた。背中は落とし気味だった。全体に四角ぽく肉の張った、一発で桐岡を蕩(とろ)かすかなり大振りの尻だった。桐岡の予測とほぼ重なる形だった。何年、何十年か前、一度むしゃぶりついたことのある尻だという確信が、桐岡を包んだ。ただ、それ以外のどんな記憶もぼやけたままだった。　桐岡は男の真後ろで中腰になると、さっきベランダで男が言ったとおり、肉が厚めに締まった両の尻たぶを両手でじわじわ開き、その中心にぴたりと吸い付いたまま、舌を奥の更に奥へと潜り込ませた。「昔、これと同じ吸い付き方をした男がいた気もする。爺(じい)さん、さっき言ったことは、丸きり作り話というわけではないかもしれないな･･･」　男は桐岡の舌の動きをなぞるように、一語一語ゆっくり言葉を出した。桐岡の舌と唇の動きが輪をかけて濃(こま)やかになった。八十歳を越えて舐め続け、百歳を越えて一段と舐め続ける･･･。この世に他のことがあるわけもなかった。初めから分かり切った当たり前のことだった。「よし」　男の声が流れ、尻が離れた。桐岡は玄関のドアを開け、外に出た。一枚のドアが男の尻と桐岡の口を容赦なく遮断しながら、むしろ一段と濃く接着させたとも一時(いっとき)思えた。桐岡はさっきと同じと思える道を再び歩いて行った。今の男の家とその周辺のたたずまいを殊更(ことさら)に確かめようとはしなかった気がする。確かめられないのは、いつものことだった。　歩き続けさえすれば、別の男のもっといい尻にだって有り付くことができる･･･。そう思えるから、まだ、いくらでも、百歳を越えても歩き続けることができる。(了)
(付記)2018年の5月から2025年の5月まで、思いつくままに7年近く書き続けた、未完の小説作品(400字詰めの原稿用紙に換算すると、300枚ほどになる)の中から、当ブログに何編かを連載することにしました。もともとは一つの作品として書き継いだものですが、今回は、その中から何箇所(かしょ)かを選び、それぞれ独立した短編小説作品(掌編(しょうへん))と言った方がいいくらいの短さですが)として載せることにしました。全体の題は、『果ての、始まりへ』ですが、今回作品の題は、『身(み)も時も蕩(とろ)けだす』です。いつごろまでに全体を書き終えるか、今の時点では見通せませんが･･･。お読みいただき、感想などお寄せいただけたら幸いです。(荻崎)(2025.6.11)





<a></a>

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      <content:encoded><![CDATA[
<div>　<strong><span style="font-size: 14pt;">(第1回作品)　身(み)も時も</span></strong><strong><span style="font-size: 14pt;">蕩(とろ)けだす</span></strong></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">　桐岡(きりおか)は、また街を歩いていた。夕方が近いな、と思った。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">この日、いつも以上に何人もの男たちと絡(から)み合ったようにも、誰の肌身にも有り付くことなく、ずっと一人で歩いていたとも思えた。とは言え、そう思うことはこの日に限らず、よくあることだった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　どうであれ、見放すことなくこの身に寄り添っていけばいい、そうすれば、いつか、えっ、こんな男が同じ街にいて、俺を受け入れようとしているという場面を前にすることができる･･･。今までのように過ごせばいい、自分を見離しさえしなければ、そこへ行き付く。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　あっ、以前、入ったことがある家ではないか、と桐岡の足が止まりかけた。周辺にも見覚えがある気がした。入ったのは何十年も前とも、まだ十年は経っていないとも、確かではなかった。足を止め、じっくり見廻した。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　屋根が濃い青、ドアは焦げ茶色の、二階建ての家だった。庭には丈(たけ)の高い植物が多かった。ただ、年齢や顔形など中にどんな男がいたのか、その男と何を行ったか、思い浮かばなかった。やったことは他(ほか)の男たちの場合と大して違いはないさ、思い浮かべられなくても仕方がないよ、</span><span style="font-size: 12pt;">という声の行く先を追うようにして、桐岡は二階の窓に眼をやった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　いつの間(ま)にベランダに出たのか、手すりに両手を付いて立っている男と眼が合った。ただ、相手の</span><span style="font-size: 12pt;">顔が分かっても、記憶がくっきり浮かび出ることはなかった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「そんなに、俺と、やりたいのか･･･昔一度、やったことがある、などと、言いたそうな、眼をしているな･･･作り話が、好きなのか･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　男が言葉を、投げやりというのとは異なるものの、途切れがちに落とした。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">男は桐岡の眼には五十前後に見えた。歳月だけは止めどもなく過ぎ去っていく、今こうしている間(あいだ)にも、という当たり前の感懐(かんかい)が、男の言葉と束(たば)になって桐岡に降りかかった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「何十年か前、一度、中でやったことがあるような気がして･･･ありもしない、でたらめな記憶かもしれない･･･」と桐岡は言葉を上に投げた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「そんな作り話をしてまで、俺の尻(しり)の穴に舌を潜(もぐ)り込ませたいのか。八十を越えていそうな、白髪(しらが)頭になっても･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">男の言葉は沈んだ口調になった分、滑らかになっていた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「少し経ってから、一階の玄関のドアを開けろ。俺が下半身だけ裸で尻を突き出している。両手で穴を開いて、その場で奥の奥までじっくり舐めろ。よし、と俺が言ったら、すぐに立ち去れ」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">男の声には、桐岡に聞かせるというより、独(ひと)り言めいた感があった。それにもかかわらず、よく響いた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　やや長めかなと感じられる間(ま)を置いてから、桐岡は玄関に向かい、ドアを開いた。板敷きの上で、さっきの言葉どおり、男が四つ這いの向こう向きの恰好(かっこう)で、裸の尻を突き出していた。背中は落とし気味だった。全体に四角ぽく肉の張った、一発で桐岡を蕩(とろ)かすかなり大振りの尻だった。桐岡の予測とほぼ重なる形だった。何年、何十年か前、一度むしゃぶりついたことのある尻だという確信が、桐岡を包んだ。ただ、それ以外のどんな記憶もぼやけたままだった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　桐岡は男の真後ろで中腰になると、さっきベランダで男が言ったとおり、肉が厚めに締まった両の尻たぶを両手でじわじわ開き、その中心にぴたりと吸い付いたまま、舌を奥の更に奥へと潜り込ませた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「昔、これと同じ吸い付き方をした男がいた気もする。爺(じい)さん、さっき言ったことは、丸きり作り話というわけではないかもしれないな･･･」</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　男は桐岡の舌の動きをなぞるように、一語一語ゆっくり言葉を出した。桐岡の舌と唇の動きが輪をかけて濃(こま)やかになった。八十歳を越えて舐め続け、百歳を越えて一段と舐め続ける･･･。この世に他のことがあるわけもなかった。初めから分かり切った当たり前のことだった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「よし」　男の声が流れ、尻が離れた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">桐岡は玄関のドアを開け、外に出た。一枚のドアが男の尻と桐岡の口を容赦なく遮断しながら、むしろ一段と濃く接着させたとも一時(いっとき)思えた。桐岡はさっきと同じと思える道を再び歩いて行った。今の男の家とその周辺のたたずまいを殊更(ことさら)に確かめようとはしなかった気がする。確かめられないのは、いつものことだった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　歩き続けさえすれば、別の男のもっといい尻にだって有り付くことができる･･･。そう思えるから、まだ、いくらでも、百歳を越えても歩き続けることができる。(了)</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">(付記)</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">2018年の5月から2025年の5</span><span style="font-size: 12pt;">月まで、思いつくままに7年近く書き続けた、未完の小説作品(400字詰めの原稿用紙に換算すると、300枚ほどになる)の中から、当ブログに何編かを連載することにしました。もともとは一つの作品として書き継いだものですが、今回は、その中から何箇所(かしょ)かを選び、それぞれ独立した短編小説作品(掌編(しょうへん))と言った方がいいくらいの短さですが)として載せることにしました。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">全体の題は、『果ての、始まりへ』ですが、今回作品の題は、『身(み)も時も蕩(とろ)けだす』です。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">いつごろまでに全体を書き終えるか、今の時点では見通せませんが･･･。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">お読みいただき、感想などお寄せいただけたら幸いです。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">(荻崎)</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">(2025.6.11)</span></div><br /><br /><br /><br /><br /><br /><a name="more"></a>

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            <category>美術　文学</category>
      <author>荻崎正広の言葉と画像の空間</author>
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      <link>https://ogizakiworld.seesaa.net/article/513951159.html</link>
      <title>開館20周年記念に</title>
      <pubDate>Sun, 11 May 2025 15:45:41 +0900</pubDate>
            <description>　(私設美術館)「荻崎正広コレクション　ゲイ・アートの家」は、この2025年4月17日(木)で、開館20周年になります。これを記念(!)して、私(荻崎)が所持している、円谷順一(えんや・じゅんいち)(「大阪のおっちゃん」と呼ばれた)(1971年、54歳で死去)が所有しいてたと思われるスライド映写機を用いて、円谷が作成したと推測されるスライドを上映すことにしました。左の画像は、その映写機と、スライドです。(スライドは、とりあえず5枚載せました）上映を希望される方は、来館されたと..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
　<img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E38396E383ADE382B0E794A8E698A0E58699E6A99F1-thumbnail2.JPG" alt="&#x30D6;&#x30ED;&#x30B0;&#x7528;&#x6620;&#x5199;&#x6A5F;1.JPG" width="256" height="192" border="0" />(私設美術館)「<a href="https://www7a.biglobe.ne.jp/~ogizaki/">荻崎正広コレクション　ゲイ・アートの家</a>」は、この2025年4月17日(木)で、開館20周年になります。これを記念(!)して、私(荻崎)が所持している、円谷順一(えんや・じゅんいち)(「大阪のおっちゃん」と呼ばれた)(1971年、54歳で死去)が所有しいてたと思われるスライド映写機を用いて、円谷が作成したと推測されるスライドを上映すことにしました。左の画像は、その映写機と、スライドです。(スライドは、とりあえず5枚載せました）上映を希望される方は、来館されたときに、お伝えください。(しばらくの間、上映しようと考えています）部屋の襖(ふすま)を用い、その上に白い画用紙を画鋲(がびょう)でとめたものをスクリーン代わりにするという、応急的で安易なやりかたですが(!)、ご容赦ください。希望される方には、短時間ですが、何枚か上映します。円谷写真の理解の一助になればと考えています。
(この記事は、最初の心づもりでは、私のホームページの最初に、文章だけ(画像なしで)載せようと考えていたのですが、ホームページの更新がなぜかできないことになったため、更新が可能な当ブログに載せることにしました。画像があった方が親切で分かりやすいことは確かですね。それはともかく、早く、ホームページの更新が可能になればいいのですが･･･)(2025.4.12)
《追記》私のホームページ、更新できるようになりました。ほっとしています。(2025.5.11)





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      <content:encoded><![CDATA[
<div><span style="font-size: 12pt;">　<img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E38396E383ADE382B0E794A8E698A0E58699E6A99F1-thumbnail2.JPG" alt="ブログ用映写機1.JPG" width="256" height="192" align="left" border="0" onclick="location.href = 'https://ogizakiworld.seesaa.net/upload/detail/image/E38396E383ADE382B0E794A8E698A0E58699E6A99F1-thumbnail2.JPG.html'; return false;" style="cursor:pointer;" /></span></div><div><span style="font-size: 12pt;">(私設美術館)「<a href="https://www7a.biglobe.ne.jp/~ogizaki/">荻崎正広コレクション　ゲイ・アートの家</a>」は、この2025年4月17日(木)で、開館20周年になります。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">これを記念(!)して、私(荻崎)が所持している、円谷順一(えんや・じゅんいち)(「大阪のおっちゃん」と呼ばれた)(1971年、54歳で死去)が所有しいてたと思われるスライド映写機を用いて、円谷が作成したと推測されるスライドを上映すことにしました。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">左の画像は、その映写機と、スライドです。(スライドは、とりあえず5枚載せました）</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">上映を希望される方は、来館されたときに、お伝えください。(しばらくの間、上映しようと考えています）</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">部屋の襖(ふすま)を用い、その上に白い画用紙を画鋲(がびょう)でとめたものをスクリーン代わりにするという、応急的で安易なやりかたですが(!)、ご容赦ください。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">希望される方には、短時間ですが、何枚か上映します。円谷写真の理解の一助になればと考えています。</span></div><br /><div><span style="font-size: 16px;">(この記事は、最初の心づもりでは、私のホームページの最初に、文章だけ(画像なしで)載せようと考えていたのですが、ホームページの更新がなぜかできないことになったため、更新が可能な当ブログに載せることにしました。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">画像があった方が親切で分かりやすいことは確かですね。それはともかく、早く、ホームページの更新が可能になればいいのですが･･･)</span></div><div><span style="font-size: 16px;">(2025.4.12)</span></div><br /><div><span style="font-size: 16px;">《追記》</span></div><div><span style="font-size: 16px;">私のホームページ、更新できるようになりました。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">ほっとしています。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">(2025.5.11)</span></div><br /><br /><br /><br /><br /><br /><a name="more"></a>

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            <category>美術　文学</category>
      <author>荻崎正広の言葉と画像の空間</author>
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                </item>
        <item>
      <link>https://ogizakiworld.seesaa.net/article/510386085.html</link>
      <title>立川アキラ　『心身を蕩(とろ)かす尻の群(む)れ』</title>
      <pubDate>Sat, 22 Feb 2025 16:54:16 +0900</pubDate>
            <description>(その5)(最終回)  「淫乱浴場記」の中の熟した尻(後半）今回が、立川(たちかわ)アキラ作品の最終回になる。『淫乱浴場記』(あすかともゆき原作　立川アキラ挿絵)の第七話「社員旅行で絶倫社長に欲情す」(雑誌「ジーメン」No.77　2002年8月号)((有)ジープロジェクト刊)と、最終話(第十一話)「スーパー銭湯で色狂いの男たちに欲情す」(No.104  2004年11月号)(同)を取り上げる。第七話は、主人公の健太(25才）と兄貴分の大介(30才)が勤務している下町の工務店の..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
(その5)(最終回)  「淫乱浴場記」の中の熟した尻(後半）
<a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.7720P.121.JPG" target="_blank"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.7720P.121-thumbnail2.JPG" alt="No.77 P.121.JPG" width="192" height="256" border="0" /></a>今回が、立川(たちかわ)アキラ作品の最終回になる。『淫乱浴場記』(あすかともゆき原作　立川アキラ挿絵)の第七話「社員旅行で絶倫社長に欲情す」(雑誌「ジーメン」No.77　2002年8月号)((有)ジープロジェクト刊)と、最終話(第十一話)「スーパー銭湯で色狂いの男たちに欲情す」(No.104  2004年11月号)(同)を取り上げる。第七話は、主人公の健太(25才）と兄貴分の大介(30才)が勤務している下町の工務店の、社長(40代後半)を含め社員総勢五人が、伊豆半島にあるH温泉に、慰安旅行に行った時の出来事が描かれている。中でも、健太と社長の初めての交合(大介公認のもと)が中心だ。(健太は、前回<a href="https://ogizakiworld.seesaa.net/article/509449277.html">（その4）</a>で取り上げた、自衛官との交合が大介に知られ、一カ月以上も禁欲生活を強いられているという設定だ）社長は、「Lサイズの浴衣が窮屈に見える巨漢」で、「頑丈そうな毛深い太腿(ふともも)」の持ち主だ。(ともに、P.114)。「よし。それじゃ、湯船の縁に両手を着いてごらん。足を開いて尻を上げるんだ」(P.120)「そうか、早く入れてほしいのか。大介君の言うように君は根っからの色狂いなんだな」(同)「色っぽい尻だ。たっぷりとぶち込ませてもらうことにしよう」(同)「極太の性器が肛門を最大限に割り裂きながら直腸の奥へ突進する。エラの張った亀頭が猛烈な力で前立腺にぶち当たる。快感を通り越した衝撃に首筋が硬直する。･･･」(P.121)  左上段の画像は、これらが関わった場面を描いている。(湯船の縁はこの画像では切れているが)。健太の尻を掘っている真っ只中(ただなか)の社長の、厚めの筋肉が締まりに締まった尻たぶと太股(ふともも)が見ものだ。一方、当画像ではもうひとつ分かりにくいが、前回(その4)の三段目に載せた若い健太の尻は、この社長の尻に一回り輪をかけて大振りだった。(両者の構図の違いもあるだろうが）壮年の社長の渋く頑健な尻と太股、一方、若い健太のみずみずしく締まったそれら。二十年程の年齢の差もまず間違いなく考慮され、舌を巻くくらい見事に両者は描き分けられている、と私(荻崎)には思える。私は普段、この社長のような大柄な男には色情(しきじょう)を覚えないことが多いが、尻だけ味わっていいと仮に言われたら、一も二もなく吸い付くだろう。そんな旨(うま)い話や場面があればだが(!)。
<a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.10420P.315.JPG" target="_blank"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.10420P.315-thumbnail2.JPG" alt="No.104 P.315.JPG" width="256" height="192" border="0" /></a>　左二段目の画像は、最終話(第11話）「スーパー銭湯で色狂いの男たちに欲情す」(「ジーメン」No.104　2004年11月刊)の、P.315から撮った。最終話は、「淫乱浴場記」の最後を締めくくるのにふさわしく、郊外のスーパー銭湯を舞台に、餌食(えじき)になった健太と、何人もの男たちとの壮絶とも言えそうな交合が、次から次へと繰り広げられる。実は、兄貴の大介が、健太には知らせることなく、出会い系サイトに、「･･･見つけたら思いきりいじめてやってください」(P.311)と書き込でいたことがきっかけだった。背中に般若の刺青を入れた四十半ばに見える男と、二十代の体育会系短髪野郎に二本差しで尻を掘られながら、更に、三十代半ばの大学教授風な男の性器をしゃぶる。それだけでは到底終わらず、大介との交合も含め、居合わせた何人もの男たちと次から次と交わり続ける･･･。「兄貴に犯され続けた長い年月の果てに、俺の肛門は蜜(みつ)がしたたる果実のように完熟した。･･･」(P.314)その完熟した尻や口に男たちが群がり酔いしれる。兄貴の大介は、上記の社長の時と同様、自分以外の男たちと、自分にひたすら従順な健太のあるがままの交合の姿を見ることで、自身の健太への欲情が一段と味わいを濃くし、深まることが分かっている。健太もそうした大介の、一筋縄では行かない欲望の有り様を疾(と)うに見抜いている。私(荻崎)は、左二段目画像の中の、取り分け健太の見開かれた両の眼に引き付けられる。当画像では、眼の細部までは分かりにくいが、幾人もの男たちによって総身にもたらされた歓楽の全部を、一滴も漏らさず味わいつくしている健太自身のあるがままが、この両眼にそっくり表れている。そればかりか、歓楽という乗り物に身を委(ゆだ)ね、この世の時空の果ての果てまで行き着き、再びここに戻ってきた、そんな眼のようにも思えてくる･･･。無論、半(なか)ばは私の妄想だが。ともかく、これほどまでの眼を、マンガや絵画など描かれたものにしろ、生身(なまみ)の人間の眼にしろ、見た記憶が私に果たしてあったかどうか･･･。仮に見たことがあったとしても、すぐには思い出せない、としか今の私には言いようがない。　健太は、兄貴分の大介からにしろ、その他、交合した多くの男たちからにしろ、一見、彼らから言われ命じられるままに自身の軀を差し出し、彼らの欲望のままに、ひたすら素直に従っている風でいて、その実、自身の底知れない色欲(しきよく)や歓楽(かんらく)の充足のために、必要不可欠となる彼らの生身(なまみ)を、思う存分使いまくっている･･･。しかもそのことに無自覚ではなく、二十代半ばの年齢にして、そうした自身の心身のあるがままの姿がよく見え、それを少しも捻(ね)じ曲げることなく、率直に受け入れ、どこまでも担い続けようとしている･･･。そう私には思える。やや強引な言い回しながら、上記の画像の中の、見開かれた健太の一抹(いちまつ)哀しみをにじませた両の眼が、そう告(つ)げている･･･。　因(ちな)みに、この画像では、上段画像同様、健太の尻の形はもう一つよく分からない。
 「D.D.T」と題された立川アキラ作品(絵と物語ともに)が、「ジーメン」誌(当104号も含め)や「爆弾」誌(前回の(その4)の最初の方で少し触れた）に、毎号ではないが、掲載されている。今回(その1)から(その5)で言及した立川作品とはがらりと異なり、物語も画風も、何かしら時空には一切捉われないといった、自由自在な感が伝わってくる。ただ私(荻崎)は、絵にも物語自体にも、感興を覚えない。

(付記)全部で五回に渡って、立川アキラ作品を取り上げましたが、今回が最終回です。最後までたどり着くことができ、とりあえずほっとしています。いつか、まだ読んでいない立川作品を眼にし、感興を覚えたら、何かの形で、再度取り上げることがあるかもしれません。全五回のどの回でもいいですが、感想などお寄せいただき、そうか、そういう読み方もできるんだというふうなことに出合えたら、幸いです。(2025.2.22)


















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]]></itunes:summary>
      <content:encoded><![CDATA[
<div><strong><span style="font-size: 14pt;">(その5)(最終回)&nbsp; 「淫乱浴場記」の中の熟した尻(後半）</span></strong></div><br /><div><strong style="font-size: 12pt;"><a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.7720P.121.JPG" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.7720P.121-thumbnail2.JPG" alt="No.77 P.121.JPG" width="192" height="256" align="left" border="0" onclick="location.href = 'https://ogizakiworld.seesaa.net/upload/detail/image/No.7720P.121-thumbnail2.JPG.html'; return false;" style="cursor:pointer;" /></a></strong></div><div><span style="font-size: 12pt;">今回が、立川(たちかわ)アキラ作品の最終回になる。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">『淫乱浴場記』(あすかともゆき原作　立川アキラ挿絵)の第七話「社員旅行で絶倫社長に欲情す」(雑誌「ジーメン」No.77　2002年8月号)((有)ジープロジェクト刊)と、最終話(第十一話)「スーパー銭湯で色狂いの男たちに欲情す」(No.104&nbsp; 2004年11月号)(同)を取り上げる。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">第七話は、主人公の健太(25才）と兄貴分の大介(30才)が勤務している下町の工務店の、社長(40代後半)を含め社員総勢五人が、伊豆半島にあるH温泉に、慰安旅行に行った時の出来事が描かれている。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">中でも、健太と社長の初めての交合(大介公認のもと)が中心だ。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">(健太は、前回<a href="https://ogizakiworld.seesaa.net/article/509449277.html">（その4）</a>で取り上げた、自衛官との交合が大介に知られ、一カ月以上も禁欲生活を強いられているという設定だ）</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">社長は、「Lサイズの浴衣が窮屈に見える巨漢」で、「頑丈そうな毛深い太腿(ふともも)」の持ち主だ。(ともに、P.114)。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「よし。それじゃ、湯船の縁に両手を着いてごらん。足を開いて尻を上げるんだ」(P.120)</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「そうか、早く入れてほしいのか。大介君の言うように君は根っからの色狂いなんだな」(同)</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「色っぽい尻だ。たっぷりとぶち込ませてもらうことにしよう」(同)</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「極太の性器が肛門を最大限に割り裂きながら直腸の奥へ突進する。エラの張った亀頭が猛烈な力で前立腺にぶち当たる。快感を通り越した衝撃に首筋が硬直する。･･･」(P.121)</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">&nbsp; 左上段の画像は、これらが関わった場面を描いている。(湯船の縁はこの画像では切れているが)。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">健太の尻を掘っている真っ只中(ただなか)の社長の、厚めの筋肉が締まりに締まった尻たぶと太股(ふともも)が見ものだ。一方、当画像ではもうひとつ分かりにくいが、前回(その4)の三段目に載せた若い健太の尻は、この社長の尻に</span><span style="font-size: 12pt;">一回り輪をかけて大振りだった。(両者の構図の違いもあるだろうが）</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">壮年の社長の渋く頑健な尻と太股、一方、若い健太のみずみずしく締まったそれら。二十年程の年齢の差もまず間違いなく考慮され、舌を巻くくらい見事に両者は描き分けられている、と私(荻崎)には思える。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">私は普段、この社長のような大柄な男には色情(しきじょう)を覚えないことが多いが、尻だけ味わっていいと仮に言われたら、一も二もなく吸い付くだろう。そんな旨(うま)い話や場面があればだが(!)。</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;"><a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.10420P.315.JPG" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.10420P.315-thumbnail2.JPG" alt="No.104 P.315.JPG" width="256" height="192" align="left" border="0" onclick="location.href = 'https://ogizakiworld.seesaa.net/upload/detail/image/No.10420P.315-thumbnail2.JPG.html'; return false;" style="cursor:pointer;" /></a></span></div><div>　左<span style="font-size: 12pt;">二段目の画像は、最終話(第11話）「スーパー銭湯で色狂いの男たちに欲情す」(「ジーメン」No.104</span>　<span style="font-size: 12pt;">2004年11月刊)の、P.315から撮った。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">最終話は、「淫乱浴場記」の最後を締めくくるのにふさわしく、郊外のスーパー銭湯を舞台に、餌食(えじき)になった健太と、</span><span style="font-size: 12pt;">何人もの</span><span style="font-size: 12pt;">男たちとの壮絶とも言えそうな交合が、次から次へと繰り広げられる。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">実は、兄貴の大介が、健太には知らせることなく、出会い系サイトに、「･･･見つけたら思いきりいじめてやってください」(P.311)と書き込でいたことがきっかけだった。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">背中に般若の刺青を入れた四十半ばに見える男と、二十代の体育会系短髪野郎に二本差しで尻を掘られながら、更に、三十代半ばの大学教授風な男の性器をしゃぶる。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">それだけでは到底終わらず、大介との交合も含め、居合わせた何人もの男たちと次から次と交わり続ける･･･。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「兄貴に犯され続けた長い年月の果てに、俺の肛門は蜜(みつ)がしたたる果実のように完熟した。･･･」(P.314)</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">その完熟した尻や口に男たちが群がり酔いしれる。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">兄貴の大介は、上記の社長の時と同様、自分以外の男たちと、自分にひたすら従順な健太のあるがままの交合の姿を見ることで、自身の健太への欲情が一段と味わいを濃くし、深まることが分かっている。健太もそうした大介の、一筋縄では行かない欲望の有り様を疾(と)うに見抜いている。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">私(荻崎)は、左二段目画像の中の、取り分け健太の見開かれた両の眼に引き付けられる。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">当画像では、眼の細部までは分かりにくいが、幾人もの男たちによって総身にもたらされた歓楽の全部を、一滴も漏らさず味わいつくしている健太自身のあるがままが、この両眼にそっくり表れている。そればかりか、歓楽という乗り物に身を委(ゆだ)ね、この世の時空の果ての果てまで行き着き、再びここに戻ってきた、そんな眼のようにも思えてくる･･･。無論、半(なか)ばは私の妄想だが。ともかく、これほどまでの眼を、マンガや絵画など描かれたものにしろ、生身(なまみ)の人間の眼にしろ、見た記憶が私に果たしてあったかどうか･･･。仮に見たことがあったとしても、すぐには思い出せない、としか今の私には言いようがない。</span></div><div>　<span style="font-size: 12pt;">健太は、兄貴分の大介からにしろ、その他、交合した多くの男たちからにしろ、一見、彼らから言われ命じられるままに自身の軀を差し出し、彼らの欲望のままに、ひたすら素直に従っている風でいて、その実、自身の底知れない色欲(しきよく)や歓楽(かんらく)の充足のために、必要不可欠となる彼らの生身(なまみ)を、思う存分使いまくっている･･･。しかもそのことに無自覚ではなく、二十代半ばの年齢にして、そうした自身の心身のあるがままの姿がよく見え、それを少しも捻(ね)じ曲げることなく、率直に受け入れ、どこまでも担い続けようとしている･･･。そう私には思える。やや強引な言い回しながら、上記の画像の中の、見開かれた健太の一抹(いちまつ)哀しみをにじませた両の眼が、</span><span style="font-size: 12pt;">そう告(つ)げている･･･。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　因(ちな)みに、この画像では、上段画像同様、健太の尻の形はもう一つよく分からない。</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">&nbsp;「D.D.T」と題された立川アキラ作品(絵と物語ともに)が、「ジーメン」誌(当104号も含め)や「爆弾」誌(前回の(その4)の最初の方で少し触れた）に、毎号ではないが、掲載されている。今回(その1)から(その5)で言及した立川作品とはがらりと異なり、物語も画風も、何かしら時空には一切捉われないといった、自由自在な感が伝わってくる。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">ただ私(荻崎)は、絵にも物語自体にも、感興を覚えない。</span></div><br /><br /><div><span style="font-size: 12pt;">(付記)</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">全部で五回に渡って、立川アキラ作品を取り上げましたが、今回が最終回です。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">最後までたどり着くことができ、とりあえずほっとしています。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">いつか、まだ読んでいない立川作品を眼にし、感興を覚えたら、何かの形で、再度取り上げることがあるかもしれません。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">全五回のどの回でもいいですが、感想などお寄せいただき、そうか、そういう読み方もできるんだというふうなことに出合えたら、幸いです。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">(2025.2.22)</span></div><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><a name="more"></a>

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            <category>美術　文学</category>
      <author>荻崎正広の言葉と画像の空間</author>
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                </item>
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      <link>https://ogizakiworld.seesaa.net/article/509449277.html</link>
      <title>立川アキラ　『心身を蕩(とろ)かす尻の群(む)れ』</title>
      <pubDate>Sat, 01 Feb 2025 15:36:04 +0900</pubDate>
            <description>(その4)  「淫乱浴場記」の中の熟した尻(前半） 　今回の(その4)、次回の(その5)の二回にわたって、あすかともゆき原作、挿絵 立川(たちかわ)アキラの『淫乱浴場記』を取り上げたい。あすかともゆき原作作品は、当ブログの(その1) 「止めどなく吸い寄せられる尻」の後半でも取り上げている。本作品は、雑誌「ジーメン」((有）ジープロジェクト)のNo.65(2001年8月刊)(第一話と二話が載る。同一号に二話が載るのは、この号のみ）からNo.104(2004年11月刊)(第十一話..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
(その4)  「淫乱浴場記」の中の熟した尻(前半）<a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.7120P.81.JPG" target="_blank"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.7120P.81-thumbnail2.JPG" alt="No.71 P.81.JPG" width="192" height="256" border="0" /></a> 　今回の(その4)、次回の(その5)の二回にわたって、あすかともゆき原作、挿絵 立川(たちかわ)アキラの『淫乱浴場記』を取り上げたい。あすかともゆき原作作品は、当ブログの<a href="https://ogizakiworld.seesaa.net/article/504645262.html">(その1) 「止めどなく吸い寄せられる尻」</a>の後半でも取り上げている。本作品は、雑誌「ジーメン」((有）ジープロジェクト)のNo.65(2001年8月刊)(第一話と二話が載る。同一号に二話が載るのは、この号のみ）からNo.104(2004年11月刊)(第十一話になる最終話)にかけて断続的に連載された。全11話。(指摘するまでもないだろうが、「浴場記」の「浴場」は「欲情」と重ね合わせられている）(更にこれらとは別に、「爆男」Vol.6 (2006年2月刊)((株)古川書房刊)に載る、同題で the comicと記された号(第一話が載る)を所持している。(本作品が掲載されている号で、所持している「爆男」誌は、この号のみ。原作と作画(と書かれている）は上記の両者と同じ。)
　私(荻崎)は、新たに入手した号も含め、最終的には、『淫乱浴場記』の全部を、「ジーメン」誌で読むことができた。ただ、これらの中で、No.67(2001年10月刊)とNo.69(2001年12月刊)の二冊はなかなか眼にすることができなかったが、(国会図書館にも置いてないようだった）、プライドハウス東京(新宿一丁目)でコピーすることができた。最初、ここに電話で問い合わせた際は、まず置いてないだろうなと思いながらだったので、保管されていると聞いてひどくびっくりした。助かった。寄贈されることも含め、「ジーメン」以外にも他のゲイ雑誌なども相当数保管されているようだ。ありがたいことに、「所蔵書籍目録」もいただくことができた。
　左上段の画像は、第五話(「垢すり個室でノンケ親父に浴場す」(「欲情」ではなく「浴場」と書かれている）の最初のページ(P.81)、(No.71)( 2002年2月号)から撮った。(ちなみに、同号には、上記当ブログ(その1)の前半で取り上げた、「連環」(原作、挿絵ともに立川アキラ）も載っている)。左側で、うつ伏せているのが、本作の主人公の、健太。(25才)(彼の年齢は、No.98  P.249　参照)。彼が兄貴と呼ぶ大介(30才)ともども、下町の小さな工務店(従業員は6人)に勤めている。画像では、健太の、しっとりと厚めに締まり、やや丸みを帯びた両の尻たぶが、その尻に見合った背中ともども安らいでいる。ちなみに、右側の男は、大介ではなく、二人が正月に訪れた、北陸のＹ温泉の、副題に書かれた、垢すりのノンケ親父だろうと思う。立川アキラが描く多くの年上の男たち同様、私(荻崎)は顔には引かれないものの、胸や腹を始め、分厚くみずみずしく締まった軀には見ごたえがある。
<a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.7520P.257.JPG" target="_blank"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.7520P.257-thumbnail2.JPG" alt="No.75 P.257.JPG" width="192" height="256" border="0" /></a>　左二段目の画像は、第六話「ガス給湯器修理で浴情す」(「浴情」と書かれている)(No.75)(2002年6月号）のP.257から撮った。「現役自衛官に威圧的に凌辱されるド淫乱野郎、健太」、と最初のページ(P.252)に、編集部側の言葉が入っているが、主人公の健太が、ガス給湯器の修理の仕事で足を運んだマンションの浴室で、自衛官の男の毛深い尻の穴を舐める「舐肛」(しこう)の場面だ。最初は尺八だったが、「よし。今度は後ろだ。ケツ穴を嘗めてみろ」(P.256)と男は命じ、それまでは大介のものも含め、一度も肛門を舐めた経験のない健太を困惑させた。しかし、やがて、「どうだ、どんな味がする?俺のケツ穴は美味(うま)いだろ?」(P.257)と自衛官に聞かれると、「う、美味いです、お客さんのケツ穴は、アア、美味(おい)しいです」(P.258)と、口走るまでになっていた。奥の襞(ひだ)まで、健太の舌先が届く･･･。その健太が、舌を毛が密生する肛門の内側へぐっと差し入れている様を、画像はよく捉えている。「･･･俺は唇までをも肛門に接触させる。舌先で襞の一本一本をなぞり、唾液で濡れた唇で音を立てて吸い付いた。」(P.258)と、健太の精魂のこもった舐めっぷりが、精細に表現されている。
<a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.7520P.259.JPG" target="_blank"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.7520P.259-thumbnail2.JPG" alt="No.75 P.259.JPG" width="192" height="256" border="0" /></a>　左三段目の画像は、おなじ第六話のP.259から撮った。上記の舐肛に続き、自衛官の極太(ごくぶと)の性器に尻を掘りまくられる場面。ユニットバス形式の浴室が狭いために、洋式便器の上に大きな尻を落とした自衛官の太腿(ふともも)の上にまたがって、顔が向き合う形で、健太が自分から尻を落としていく騎乗位の形だ。自衛官の極太の陰茎にも十二分に見合う、健太のたくましく盛り上がった尻の両たぶが圧巻だ。尻に続く太股(もも)も含め、分厚い肉が行き渡り、みずみずしく張りつめている。この尻なら、飛び切りの、極上(ごくじょう)の味に違いない。「兄ちゃん、いいぞ。こんなケツ穴は初めてだ」(P.259)「もっとケツを振れ。俺がイクまで休むんじゃねえぞ」(P.260)ともに、「獲物を貪(むさぼ)る野獣のような顔付きになって」(P.260)、掘りまくっている自衛官の言葉だ。「男の全身の筋肉が硬直した。その緊張が解けた直後、生暖かい体液が直腸の粘膜を叩くのを俺は感じた。」(P.260) 。 自衛官が、健太のこの極上の尻の中へ射精した時点は、こう表現されている。
帰宅した健太には、何があったか敏感に察した大介の、言葉よる折檻(せっかん)がまず降りかかる。
　<a href="https://ogizakiworld.seesaa.net/article/506955331.html">前回(そ</a><a href="https://ogizakiworld.seesaa.net/article/506955331.html">の3)</a>の最後の画像も、大きな尻だったが、相当年配の男の尻だった。今回の健太の尻の方が、張りも含め一回り大きく、しかも、引き締まって、見るからに若々しい。年齢も考慮し、尻を描き分けていると私には見える･･･。さすが立川アキラだと感じ入る。　私(荻崎)には、『淫乱浴場記』全十一話の中で、この第六話が最高峰に思える。舐肛が描かれていることも、なにがしかは関わっているかもしれないが(!)、文章や筋全体の密度が濃く、緊迫感があり、しかも、作品全体に濃い色情や情感が行き渡っている･･･。
なお、文中に用いた「舐肛」については、「<a href="https://ogizakiworld.seesaa.net/article/202010article_1.html">舐肛(しこう）から荘子(そうし)へ　いつか、色欲(しきよく)の最深奥(さいしんおう)へ</a>」(2020.11.21)を参照していただけたらと思う。
(付記)今回もまた、間(ま)が空いてしまいましたが、(その4)を載せました。自身の好みの尻が多いこともあり、書くのにてこずりつつ、楽しめました。感想などお寄せいただけたら幸いです。(2025.2.1)












<a></a>

]]></itunes:summary>
      <content:encoded><![CDATA[
<div><span style="font-size: 14pt;"><strong>(その4)&nbsp; 「淫乱浴場記」の中の熟した尻(前半）</strong></span></div><div><span style="font-size: 14pt;"><strong><a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.7120P.81.JPG" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.7120P.81-thumbnail2.JPG" alt="No.71 P.81.JPG" width="192" height="256" align="left" border="0" onclick="location.href = 'https://ogizakiworld.seesaa.net/upload/detail/image/No.7120P.81-thumbnail2.JPG.html'; return false;" style="cursor:pointer;" /></a></strong></span></div><div>&nbsp;　<span style="font-size: 12pt;">今回の(その4)、次回の(その5)の二回にわたって、あすかともゆき原作、挿絵 立川(たちかわ)アキラの『淫乱浴場記』を取り上げたい。あすかともゆき原作作品は、当ブログの<a href="https://ogizakiworld.seesaa.net/article/504645262.html">(その1) 「止めどなく吸い寄せられる尻」</a>の後半でも取り上げている。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">本作品は、雑誌「ジーメン」((有）ジープロジェクト)の</span><span style="font-size: 12pt;">No.65(2001年8月刊)(第一話と二話が載る。同一号に二話が載るのは、この号のみ）からNo.104(2004年11月刊)(第十一話になる最終話)にかけて断続的に連載された。全11話。(指摘するまでもないだろうが、「浴場記」の「浴場」は「欲情」と重ね合わせられている）</span></div><div><span style="font-size: 16px;">(更にこれらとは別に、「爆男」Vol.6 (2006年2月刊)((株)古川書房刊)に載る、同題で the comicと記された号(第一話が載る)を所持している。(本作品が掲載されている号で、所持している「爆男」誌は、この号のみ。原作と作画(と書かれている）は上記の両者と同じ。)</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">　私(荻崎)は、新たに入手した号も含め、最終的には、『淫乱浴場記』の全部を、「ジーメン」誌で読むことができた。ただ、これらの中で、No.67(2001年10月刊)とNo.69(2001年12月刊)の二冊はなかなか眼にすることができなかったが、(国会図書館にも置いてないようだった）、プライドハウス東京(新宿一丁目)でコピーすることができた。最初、ここに電話で問い合わせた際は、まず置いてないだろうなと思いながらだったので、保管されていると聞いてひどくびっくりした。助かった。寄贈されることも含め、「ジーメン」以外にも他のゲイ雑誌なども相当数保管されているようだ。ありがたいことに、「所蔵書籍目録」もいただくことができた。</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">　左上段の画像は、第五話(「垢すり個室でノンケ親父に浴場す」(「欲情」ではなく「浴場」と書かれている）の最初のページ(P.81)、(No.71)( 2002年2月号)から撮った。(ちなみに、同号には、上記当ブログ(その1)の前半で取り上げた、「連環」(原作、挿絵ともに立川アキラ）も載っている)。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">左側で、うつ伏せているのが、本作の主人公の、健太。(25才)(彼の年齢は、No.98&nbsp; P.249　参照)。彼が兄貴と呼ぶ大介(30才)ともども、下町の小さな工務店(従業員は6人)に勤めている。画像では、健太の、しっとりと厚めに締まり、やや丸みを帯びた両の尻たぶが、その尻に見合った背中ともども安らいでいる。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">ちなみに、右側の男は、大介ではなく、二人が正月に訪れた、北陸のＹ温泉の、副題に書かれた、垢すりのノンケ親父だろうと思う。立川アキラが描く多くの年上の男たち同様、私(荻崎)は顔には引かれないものの、胸や腹を始め、分厚くみずみずしく締まった軀には見ごたえがある。</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;"><a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.7520P.257.JPG" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.7520P.257-thumbnail2.JPG" alt="No.75 P.257.JPG" width="192" height="256" align="left" border="0" onclick="location.href = 'https://ogizakiworld.seesaa.net/upload/detail/image/No.7520P.257-thumbnail2.JPG.html'; return false;" style="cursor:pointer;" /></a></span></div><div>　<span style="font-size: 12pt;">左二段目の画像は、第六話「ガス給湯器修理で浴情す」(「浴情」と書かれている)(No.75)(2002年6月号）のP.257から撮った。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「現役自衛官に威圧的に凌辱されるド淫乱野郎、健太」、と最初のページ(P.252)に、編集部側の言葉が入っているが、主人公の健太が、ガス給湯器の修理の仕事で足を運んだマンションの浴室で、自衛官の男の毛深い尻の穴を舐める「舐肛」(しこう)の</span><span style="font-size: 12pt;">場面だ。最初は尺八だったが、「よし。今度は後ろだ。ケツ穴を嘗めてみろ」(P.256)と男は命じ、それまでは大介のものも含め、一度も肛門を舐めた経験のない健太を困惑させた。しかし、やがて、</span><span style="font-size: 12pt;">「どうだ、どんな味がする?俺のケツ穴は美味(うま)いだろ?」(P.257)と自衛官に聞かれると、「う、美味いです、お客さんのケツ穴は、アア、美味(おい)しいです」(P.258)と、口走るまでになっていた。奥の襞(ひだ)まで、健太の舌先が届く･･･。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">その健太が、舌を毛が密生する肛門の内側へぐっと差し入れている様を、画像はよく捉えている。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">「･･･俺は唇までをも肛門に接触させる。舌先で襞の一本一本をなぞり、唾液で濡れた唇で音を立てて吸い付いた。」(P.258)と、健太の精魂のこもった舐めっぷりが、精細に表現されている。</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;"><a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.7520P.259.JPG" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/No.7520P.259-thumbnail2.JPG" alt="No.75 P.259.JPG" width="192" height="256" align="left" border="0" onclick="location.href = 'https://ogizakiworld.seesaa.net/upload/detail/image/No.7520P.259-thumbnail2.JPG.html'; return false;" style="cursor:pointer;" /></a></span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　左三段目の画像は、おなじ第六話のP.259から撮った。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">上記の舐肛に続き、自衛官の極太(ごくぶと)の性器に尻を掘りまくられる場面。ユニットバス形式の浴室が狭いために、洋式便器の上に大きな尻を落とした自衛官の太腿(ふともも)の上にまたがって、顔が向き合う形で、健太が</span><span style="font-size: 16px;">自分から尻を落としていく騎乗位の形だ。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">自衛官の極太</span><span style="font-size: 16px;">の陰茎にも十二分に見合う、健太のたくましく盛り上がった尻の両たぶが圧巻だ。尻に続く太股(もも)も含め、分厚い肉が行き渡り、みずみずしく張りつめている。この尻なら、飛び切りの、極上(ごくじょう)の味に違いない。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">「兄ちゃん、いいぞ。こんなケツ穴は初めてだ」(P.259)</span></div><div><span style="font-size: 16px;">「もっとケツを振れ。俺がイクまで</span><span style="font-size: 16px;">休むんじゃねえぞ」(P.260)</span></div><div><span style="font-size: 16px;">ともに、「獲物を貪(むさぼ)る野獣のような顔付きになって」(P.260)、掘りまくっている自衛官の言葉だ。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">「男の全身の筋肉が硬直した。その緊張が解けた直後、生暖かい体液が直腸の粘膜を叩くのを俺は感じた。」(P.260) 。 自衛官が、健太のこの極上の尻の中へ射精した時点は、こう表現されている。</span></div><br /><div><span style="font-size: 16px;">帰宅した健太には、何があったか敏感に察した大介の、言葉よる折檻(せっかん)がまず降りかかる。</span></div><br /><div><span style="font-size: 16px;">　<a href="https://ogizakiworld.seesaa.net/article/506955331.html">前回(そ</a></span><span style="font-size: 16px;"><a href="https://ogizakiworld.seesaa.net/article/506955331.html">の3)</a>の最後の画像も、大きな尻だったが、相当年配の男の尻だった。今回の健太の尻の方が、張りも含め一回り大きく、しかも、引き締まって、見るからに若々しい。年齢も考慮し、尻を描き分けていると私には見える･･･。さすが立川アキラだと感じ入る。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">　私(荻崎)には、『淫乱浴場記』全十一話の中で、この第六話が最高峰に思える。舐肛が描かれていることも、なにがしかは関わっているかもしれないが(!)、文章や筋全体の密度が濃く、緊迫感があり、しかも、作品全体に濃い色情や情感が行き渡っている･･･。</span></div><br /><div><span style="font-size: 16px;">なお、文中に用いた「舐肛」については、「<a href="https://ogizakiworld.seesaa.net/article/202010article_1.html">舐肛(しこう）から荘子(そうし)へ　いつか、色欲(しきよく)の最深奥(さいしんおう)へ</a>」(2020.11.21)を参照していただけたらと思う。</span></div><br /><div><span style="font-size: 16px;">(付記)</span></div><div><span style="font-size: 16px;">今回もまた、間(ま)が空いてしまいましたが、(その4)を載せました。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">自身の好みの尻が多いこともあり、書くのにてこずりつつ、楽しめました。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">感想などお寄せいただけたら幸いです。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">(2025.2.1)</span></div><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><a name="more"></a>

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]]></content:encoded>
            <category>美術　文学</category>
      <author>荻崎正広の言葉と画像の空間</author>
      <guid isPermaLink="false">blog:https://blog.seesaa.jp,ogizakiworld/509449277</guid>
                </item>
        <item>
      <link>https://ogizakiworld.seesaa.net/article/506955331.html</link>
      <title>立川アキラ　『心身を蕩(とろ)かす尻の群(む)れ』</title>
      <pubDate>Sun, 22 Dec 2024 15:52:23 +0900</pubDate>
            <description>(その3)　極(きわ)みへ行く尻　今回は立川アキラ作品の中の、『輪唱』を主(おも)に取り上げることにした。雑誌「ジーメン」No79(2002年10月号）(ジープロジェクト(刊）)に載り、私(荻崎)がこれまでに読んだ、中でも、原作、挿絵ともに立川作品の中で、一番深みと高みに到達したと思える作品だ。画面左上段の画像は、P.116から撮った。同ページの右下に載っているが、全体に黒味が濃く、見えにくいこともあって、何度か読み眼にしたはずだが、初めのうちは、危うく、素通りしかねないほど..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
(その3)　極(きわ)みへ行く尻<a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E8BCAAP.11628E4BDBFE381862928129.JPG" target="_blank"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E8BCAAP.11628E4BDBFE381862928129-thumbnail2.JPG" alt="&#x8F2A;P.116(&#x4F7F;&#x3046;)(1).JPG" width="192" height="256" border="0" /></a>　今回は立川アキラ作品の中の、『輪唱』を主(おも)に取り上げることにした。雑誌「ジーメン」No79(2002年10月号）(ジープロジェクト(刊）)に載り、私(荻崎)がこれまでに読んだ、中でも、原作、挿絵ともに立川作品の中で、一番深みと高みに到達したと思える作品だ。画面左上段の画像は、P.116から撮った。同ページの右下に載っているが、全体に黒味が濃く、見えにくいこともあって、何度か読み眼にしたはずだが、初めのうちは、危うく、素通りしかねないほどだった。じっくり眼にすればするほど、尻にしろ、背中や腕にしろ、顔にしろ(もうひとつ分かりにくいが）、この一点の挿絵が湛(たた)える色情(しきじょう)の濃さや深さがじわじわ伝わってくる。『輪唱』という作品全体は、全部で10ページほどで比較的短いのだが、筋の展開を筆頭に、登場人物相互の関係を含め、到底一筋縄(ひとすじなわ)ではいかず、これでもかというくらい入り乱れている。何度読んでも、その感想は変わらないものの、反面、辻褄(つじつま)がよく合い、筋が通っているとも思える不思議な風合(ふうあい)を合わせ持っている。ひょっとすると、作者(立川)自身にとっても、一番得心が行き、愛着の濃い作かもしれないとも思う･･･。終始、父、兄、弟など、ある一家の男たちのやりたい放題の乱交模様が展開する。
　左上段の画像の中の、真裸で後ろ手に縛られている人物は、P.114に「お義兄(にい)さん」という科白(せりふ)があるところから、この一家の中の娘の夫という設定だろうと思われる。子供の頃この義兄からさんざ性的に遊ばれた弟(ノブという名前)が、長じて、一段と濃厚に執拗に仕返しをする場面だ。上にも記したが、尻だけでなく、背中や腕が、更に顔(このページでは、もうひとつ分かりにくいが）も含め、尻とほぼ同じ濃度と密度で、湛(たた)えた分厚い色情を、一つも余さずじわじわ放っているところに、私はくり返し眼を吸い寄せられる。<a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E8BCAAP.11728E4BDBFE381862928229.JPG" target="_blank"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E8BCAAP.11728E4BDBFE381862928229-thumbnail2.JPG" alt="&#x8F2A;P.117(&#x4F7F;&#x3046;)(2).JPG" width="192" height="256" border="0" /></a>　左二段目の画像の、左斜め下のメガネをかけた男が、上段の画像の、真裸でなぶられている当人だ。立川作品の中で、年齢は異(こと)にしていても、割りに眼にすることのある顔だ。この画像の方が、上段の画像より、顔は分かりやすい。立川作品の中で、私(荻崎)が色気を感じる顔の一つだ。普段、メガネをかけた顔は、色気をそがれると感じることが私には割りにあるが、この男の場合は、むしろメガネが色情を更に添えているふうにも見える。メガネをしていなくても、無論、かまわない。　横顔ながら、男くさく、渋く引き締まっている。この顔で、左上段の軀なのだから、文句の付けようがない。もしもハッテンサウナなどで、似た男に出会ったら、私は何のためらいもなく手を出すだろう。　この画像の中の左上の男が、上段の画像で、この画像の左下の男をなぶりになぶっていた男(ノブ)だ。上にも記したが、左下の男の義理の弟になる。本作『輪唱』の最初のページ(P.113)の左上に、更に顔が大きめに載っている。最初のページの方が相応に色気を覚えるが、左下の男を見た私の眼には、あらかた醒(さ)めてしまう。
<a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E8BCAAP.12228E4BDBFE381862928429-f451a.JPG" target="_blank"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E8BCAAP.12228E4BDBFE381862928429-f451a-thumbnail2.JPG" alt="&#x8F2A;P.122(&#x4F7F;&#x3046;)(4).JPG" width="192" height="256" border="0" /></a>　左三段目の画像が、本作品の最後のページ(P.122)になる。左二段目左下の、私の好みの男が、義理の父親のすこぶるでかい尻を容赦なく掘っている場面。前ページP.121の左下に、大きめに描かれた父顔の顔を見ると、私は取り立ててそそられない。掘っている方の私の好みの男も、この画像の顔にはさほど惹(ひ)かれない。このページでは、メガネも彼の色気には貢献していないようだ。このページ自体の最後(この作品全体の一番最後)になる左下に、「その声を聞けばよかったんだよなぁ」という、掘っている男の(恐らく)、やや謎めいたせりふが載っている(画像には入っていないが)。いかにも、本作品の結末らしい。「その声」は、「ほぎっツ･･･」「ぎやッ」「ああッ」などの、掘られまくっている父親の発する、素直(すなお)な善がりの声を指していると私には思えるが、その推測にさほど自信がある訳ではない。ともかく、最後の最後になって輪をかけて謎めいているのは、一段と本作品らしい。ともかく、最初から最後まで、謎(なぞ)と色情が隙間(すきま)なく敷き詰められている作品だ。
　ちなみに、本作品『輪唱』は「爆男COMICS  SMコミックアンソロジー　SMCA001 新装版」(2015年6月　(株)古川書房刊)にも載っている。同書には、『脱獄囚』(作画 立川アキラ  原作 亀谷隆児)という作品も載っている。尻を始め男たちの裸がふんだんに載っているものの、正直、私はさほど惹かれない。量感や質感、加えて情感がもう一つ足りず、どこかしら淡々と流れていると感じられる。『輪唱』を読んだ眼だからという点もあるかもしれない･･･。(なお、『脱獄囚』の原作の亀谷隆児は、前回<a href="https://ogizakiworld.seesaa.net/article/505396331.html">(その2)</a>で取り上げた、『鬼子母神』の作者だ)

(付記)なかなかてこずりましたが、(その3)を載せました。手こずった一因には、取り上げた作品の作柄や風合いもあるような気がします。お読みいただき、感想などお寄せいただけたら幸いです。(2024.12.22)




















<a></a>

]]></itunes:summary>
      <content:encoded><![CDATA[
<div><span style="font-size: 12pt;"><strong>(その3)　極(きわ)みへ行く尻</strong></span></div><div><span style="font-size: 12pt;"><strong><a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E8BCAAP.11628E4BDBFE381862928129.JPG" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E8BCAAP.11628E4BDBFE381862928129-thumbnail2.JPG" alt="輪P.116(使う)(1).JPG" width="192" height="256" align="left" border="0" onclick="location.href = 'https://ogizakiworld.seesaa.net/upload/detail/image/E8BCAAP.11628E4BDBFE381862928129-thumbnail2.JPG.html'; return false;" style="cursor:pointer;" /></a></strong></span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　今回は立川アキラ作品の中の、『輪唱』を主(おも)に取り上げることにした。雑誌「ジーメン」No79(2002年10月号）(ジープロジェクト(刊）)に載り、私(荻崎)がこれまでに読んだ、中でも、原作、挿絵ともに立川作品の中で、一番深みと高みに到達したと思える作品だ。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">画面左上段の画像は、P.116から撮った。同ページの右下に載っているが、全体に黒味が濃く、見えにくいこともあって、何度か読み眼にしたはずだが、初めのうちは、危うく、素通りしかねないほどだった。</span><span style="font-size: 12pt;">じっくり眼にすればするほど、尻にしろ、背中や腕にしろ、顔にしろ(もうひとつ分かりにくいが）、この一点の挿絵が湛(たた)える色情(しきじょう)の濃さや深さがじわじわ伝わってくる。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">『輪唱』という作品全体は、全部で10ページほどで比較的短いのだが、筋の展開を筆頭に、登場人物相互の関係を含め、到底一筋縄(ひとすじなわ)ではいかず、これでもかというくらい入り乱れている。何度読んでも、その感想は変わらないものの、反面、辻褄(つじつま)がよく合い、筋が通っているとも思える不思議な風合(ふうあい)を合わせ持っている。ひょっとすると、作者(立川)自身にとっても、一番得心が行き、愛着の濃い作かもしれないとも思う･･･。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">終始、父、兄</span><span style="font-size: 12pt;">、弟など、ある一家の男たちのやりたい放題の乱交模様が展開する</span>。</div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">　左上段の画像の中の、真裸で後ろ手に縛られている人物は、P.114に「お義兄(にい)さん」という科白(せりふ)があるところから、この一家の中の娘の夫という設定だろうと思われる。子供の頃この義兄からさんざ性的に遊ばれた弟(ノブという名前)が、長じて、一段と濃厚に執拗に仕返しをする場面だ。上にも記したが、尻だけでなく、背中や腕が、更に顔(このページでは、もうひとつ分かりにくいが）も含め、尻とほぼ同じ濃度と密度で、湛(たた)えた分厚い色情を、一つも余さずじわじわ放って</span><span style="font-size: 12pt;">いるところに、私はくり返し眼を吸い寄せられる。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;"><a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E8BCAAP.11728E4BDBFE381862928229.JPG" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E8BCAAP.11728E4BDBFE381862928229-thumbnail2.JPG" alt="輪P.117(使う)(2).JPG" width="192" height="256" align="left" border="0" onclick="location.href = 'https://ogizakiworld.seesaa.net/upload/detail/image/E8BCAAP.11728E4BDBFE381862928229-thumbnail2.JPG.html'; return false;" style="cursor:pointer;" /></a></span></div><div><div>　<span style="font-size: 12pt;">左二段目の画像の、左斜め下のメガネをかけた男が、上段の画像の、真裸でなぶられている当人だ。立川作品の中で、年齢は異(こと)にしていても、割りに眼にすることのある顔だ。この画像の方が、上段の画像より、顔は分かりやすい。立川作品の中で、私(荻崎)が色気を感じる顔の一つだ。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">普段、メガネをかけた顔は、色気をそがれると感じることが私には割りにあるが、この男の場合は、むしろメガネが色情を更に添えているふうにも見える。メガネをしていなくても、無論、かまわない。</span></div><div>　<span style="font-size: 12pt;">横顔ながら、男くさく、渋く引き締まっている。この顔で、左上段の軀なのだから、文句の付けようがない。もしもハッテンサウナなどで、似た男に出会ったら、私は何のためらいもなく手を出すだろう。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　この画像の中の左上の男が、上段の画像で、この画像の左下の男をなぶりになぶっていた男(ノブ)だ。上にも記したが、左下の男の義理の弟になる。本作『輪唱』の最初のページ(P.113)の左上に、更に顔が大きめに載っている。最初のページの方が相応に色気を覚えるが、左下の男を見た私の眼には、あらかた醒(さ)めてしまう。</span></div></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;"><a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E8BCAAP.12228E4BDBFE381862928429-f451a.JPG" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E8BCAAP.12228E4BDBFE381862928429-f451a-thumbnail2.JPG" alt="輪P.122(使う)(4).JPG" width="192" height="256" align="left" border="0" onclick="location.href = 'https://ogizakiworld.seesaa.net/upload/detail/image/E8BCAAP.12228E4BDBFE381862928429-f451a-thumbnail2.JPG.html'; return false;" style="cursor:pointer;" /></a></span>　<span style="font-size: 12pt;">左三段目の画像が、本作品の最後のページ(P.122)になる。左二段目左下の、私の好みの男が、義理の父親のすこぶるでかい尻を容赦なく掘っている場面。</span><span style="font-size: 12pt;">前ページP.121の左下に、大きめに描かれた父顔の顔を見ると、私は取り立ててそそられない。</span><span style="font-size: 12pt;">掘っている方の私の好みの男も、この画像の顔にはさほど惹(ひ)かれない。このページでは、メガネも彼の色気には貢献していないようだ。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">このページ自体の最後(この作品全体の一番最後)になる左下に、「その声を聞けばよかったんだよなぁ」とい</span><span style="font-size: 12pt;">う、掘っている男の(恐らく)、やや謎めいたせりふが載っている(画像には入っていないが)。いかにも、本作品の結末らしい。「その声」は、「ほぎっツ･･･」「ぎやッ」「ああッ」などの、掘られまくっている父親の発する、素直(すなお)な善がりの声を指していると私には思えるが、その推測にさほど自信がある訳ではない。ともかく、最後の最後になって輪をかけて謎めいているのは、一段と本作品らしい。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">ともかく、最初から最後まで、謎(なぞ)と色情が隙間(すきま)なく敷き詰めら</span><span style="font-size: 12pt;">れている作品だ。</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">　ちなみに、本作品『輪唱』は「爆男COMICS&nbsp; SMコミックアンソロジー　SMCA001 新装版」(2015年6月　(株)古川書房刊)にも載っている。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">同書には、『脱獄囚』(作画 立川アキラ&nbsp; 原作 亀谷隆児)という作品も載っている。尻を始め男たちの裸がふんだんに載っているものの、正直、私はさほど惹かれない。量感や質感、加えて情感がもう一つ足りず、どこかしら淡々と流れていると感じられる。『輪唱』を読んだ眼だからという点もあるかもしれない･･･。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">(なお、『脱獄囚』の原作の亀谷隆児は、前回<a href="https://ogizakiworld.seesaa.net/article/505396331.html">(その2)</a>で取り上げた、『鬼子母神』の作者だ)</span></div><br /><br /><div><span style="font-size: 12pt;">(付記)</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">なかなかてこずりましたが、(その3)を載せました。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">手こずった一因には、取り上げた作品の作柄や風合いもあるような気がします。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">お読みいただき、感想などお寄せいただけたら幸いです。</span></div><div><span style="font-size: 16px;">(2024.12.22)</span></div><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><a name="more"></a>

]]><![CDATA[
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            <category>美術　文学</category>
      <author>荻崎正広の言葉と画像の空間</author>
      <guid isPermaLink="false">blog:https://blog.seesaa.jp,ogizakiworld/506955331</guid>
                </item>
        <item>
      <link>https://ogizakiworld.seesaa.net/article/505868524.html</link>
      <title>稲垣征次展『いつだって光があれば』について</title>
      <pubDate>Wed, 04 Dec 2024 15:06:02 +0900</pubDate>
            <description>　現在、上記表題の「稲垣征次展」(Seiji Inagaki Solo Exhibition  As long as there is light)が、銀座のヴァニラ画廊で開催されている。会期は2024.11.27(水)から同12.9(月)まで。(上記の同画廊のホームページにも掲載されているので、参照してください) 私(荻崎)は、初日(11.27（水）)に同展を見た。久方振りの稲垣展で、恐らく長きに渡る画業の集大成的な位置も占めているだろうと予測され、興味があった。彩色された..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
　現在、上記表題の「稲垣征次展」(Seiji Inagaki Solo Exhibition  As long as there is light)が、銀座の<a href="https://www.vanilla-gallery.com/archives/2024/20241127b.html">ヴァニラ画廊</a>で開催されている。会期は2024.11.27(水)から同12.9(月)まで。(上記の同画廊のホームページにも掲載されているので、参照してください) 私(荻崎)は、初日(11.27（水）)に同展を見た。久方振りの稲垣展で、恐らく長きに渡る画業の集大成的な位置も占めているだろうと予測され、興味があった。彩色された作品とモノクロの鉛筆画など、合わせて27点(確か)が展示されていた。　それらの中で、私の目に、最も高度で充実した中味を持つと思えた作品が、画面左上段の画像『風紋』だ。稲垣氏の最高傑作かとも私には思えるほどだ。(少なくとも、これまでに私が目にしたことのある同氏の作品の中で･･･)。(かつて目にし、もっと好いと思えた作品が、いつしか私の記憶の中から消えてしまったという事が、絶対にないとは言い切れないが･･･) 。最高傑作かどうかはともかく、風格があり、作者にとっても会心作だろうと思う。<a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E7A8B2E59EA3E9A2A8E7B48BE69BB8E789A9E3818BE38289E4BDBFE38186.JPG" target="_blank"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E7A8B2E59EA3E9A2A8E7B48BE69BB8E789A9E3818BE38289E4BDBFE38186-thumbnail2.JPG" alt="&#x7A32;&#x57A3;&#x98A8;&#x7D0B;&#x66F8;&#x7269;&#x304B;&#x3089;&#x4F7F;&#x3046;.JPG" width="256" height="192" border="0" /></a>  (余談になるが、同展は、写真撮影不可だったが、私が運営している荻崎正広コレクションで、本展のちらしを置いていることや、画廊側の本展の担当者と以前から関わりがあったことなどで、無理を言って撮影を許可してもらった。感謝!)(少年が描かれていることもあり、画廊側として様々配慮しなければならないだろうと推測される）ただ、折角撮影できたにもかかわらず、私の携帯電話機のレンズの部分が、汚れていたのかどうか、画面に薄い曇りが入っていた。これでは使えないと考え、『日本のゲイ・エロティック・アート　Vol.3　 ゲイ雑誌の発展と多様化する作家たち』(田亀源五郎編)(ポット出版　2018年12月刊）に、同作品が掲載されていたために(P.39)、その画面を撮ったものを用いた。 また、また、という事になってしまうが、私の小さいデジタルカメラのせいなのか、画面の大きな部分を占めている砂浜の色が、原画では黄土色なのだが、この画像では灰色に近くなってしまった。ご容赦いただければと思う。上記書の説明には、「2004年、キャンバスに油彩、455〓530mm」と記されている。(可能なら、本展に足を運ぶか、上記書で見ていただけたら幸いだ）　タイトルにも用いられている、細やかに風紋が走る砂浜に、よく日焼けした褐色の少年が、腰を下ろし、足を投げ出している。伸びやかに、細身に締(し)まった四肢。黒の褌と同じ色の影も砂の上に落ちている。左上には、この画像ではわかりにくいが、竹製だと思われる囲い。更に群青の青空。右手上に広がる昼顔だろうか緑の葉と薄い桃色の花とつぼみ。真夏のしんとした静かさも伝わってくる。欠けるものも逆に多すぎるものも何一つない。ともあれ、作者にとっても愛着の深い作品に違いない。
<a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E98A9BE38292E68C81E381A3E381A6E7AB8BE381A4E5B091E5B9B4E38080E4BDBFE38186.jpg" target="_blank"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E98A9BE38292E68C81E381A3E381A6E7AB8BE381A4E5B091E5B9B4E38080E4BDBFE38186-thumbnail2.jpg" alt="&#x929B;&#x3092;&#x6301;&#x3063;&#x3066;&#x7ACB;&#x3064;&#x5C11;&#x5E74;&#x3000;&#x4F7F;&#x3046;.jpg" width="187" height="260" border="0" /></a>  画面左二段目の作品は、同日、会場で私が撮った作品だか、うっかりして、タイトルをメモすることを忘れてしまった。ちなみに、前述の『日本のゲイ・エロティックアート　Vol.3』には、この作品は載っていない。本展のちらしに載っているが、タイトルは付されていない。上記『風紋』では、少年は横たわっているが、本作では、右手に長い銛(もり)を持ち、波打ち際だろうか、立っている。同じく黒い褌一丁。よく陽に焼けた伸びやかな褐色の細身の総身は同じだ。入道雲がわき立ち、その雲の中に昼顔(あるいは朝顔）だろうか、何輪か花弁が開いている。『風紋』にはない幻想性も加わっているようだ。立っているからという事もあるのか、『風紋』の少年以上に力強く健康的に見える。こうあってほしいという、作者の少年に対する理想像や願望が、自身の少年期への郷愁の念も含め、反映しているに違いない。
  
<img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E5B091E5B9B4E4B889E4BABAE381A8E38392E3839EE383AFE383AAE4BDBFE38186-thumbnail2.jpg" alt="&#x5C11;&#x5E74;&#x4E09;&#x4EBA;&#x3068;&#x30D2;&#x30DE;&#x30EF;&#x30EA;&#x4F7F;&#x3046;.jpg" width="262" height="197" border="0" />　左三段目の画像も、当日私が撮ったものだが、これもタイトルをメモすることを忘れてしまった。鉛筆画。(この作品も、上記『日本のゲイ・エロティックアート　Vo.3』には、載っていない)海辺で遊ぶ、屈託なげな三人の少年たち。真ん中に大輪の向日葵(ひまわり)。三人とも細身ながら締まって伸びやかな身体。その点では上掲の二画像も共通する。三人とも整った顔立ちだ。左手の、駆け足(逃げ足か）をしようとしているふうな少年の、全部は見えない尻の形に味がある。本展に展示されていた、『海辺の少年たち』(1990年作)と題された、海中や海上などで遊ぶ三人の少年たちの作品も味わいがあったが、画像としてはこちらを選んだ。
　ちなみに、上記『日本のゲイ・エロティック・アート　Vol.3　 ゲイ雑誌の発展と多様化する作家たち』には、稲垣征次(1942~)作品の、カラー作品が14点、モノクロ(鉛筆)作品が25点掲載されている。更に、編者の田亀源五郎氏との対談も載っていて、稲垣氏の絵画への思い、シュールレアリスムへの関心、少年美など自身が美しい(エロティック)と捉えるものをそのまま十全に描きたいという意志や感懐などが率直に述べられている。
　また、本展のちらしの中に、稲垣氏の文章が載っている。その中に、人の世を意味する、「金色の闇」(こんじきのやみ）という印象的な言葉が用いられている。「そこは人間のあらゆる欲望が錯綜、錯乱し、渦巻く混沌としての世界･･････「光の泥海」ともいうべき、金色に濁った薄明の闇である。」と書かれ、その中を生きざるを得ない作者にとって、道標となるのが少年美だと述べている。現実にはそれを手に入れることができないからこそ、それを絵に描くのだと、作者の強固な決意と意思が述べられている。(私には、底知れない断念の深さも伝わってくる･･･)
　なお、私が運営している、<a href="https://www7a.biglobe.ne.jp/~ogizaki/">「荻崎正広コレクション　ゲイ・アートの家」</a>では、稲垣氏の原画を、8点所有している。その中で、「金色の闇　ヌードNo.2 (コンドームボーイ)」(2006年、紙に色鉛筆　280〓190mm)(P.47)と「少年ボクサー」(2003年　紙に鉛筆、245〓155mm 『薔薇族』掲載)の二点が、上記『日本のゲイ・エロティック・アート　Vol.3　 ゲイ雑誌の発展と多様化する作家たち』に載っている。ともあれ、稲垣征次氏の作品に、原画はもとより、書物であれ、画像であれ、一点でも多く接していただけたらと、私は思う。
(付記)ヴァニラ画廊での稲垣征次展の会期の残りが一日でも多いうちにと考え、急ぎに急いで書きました(私なりに･･･)。同展への、更には稲垣作品への何らかの道しるべになったら幸いです。(2024.12.4)






<a></a>

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      <content:encoded><![CDATA[
<div><span style="font-size: 12pt;">　現在、上記表題の「稲垣征次展」(Seiji Inagaki Solo Exhibition&nbsp; As long as there is light)が、銀座の<a href="https://www.vanilla-gallery.com/archives/2024/20241127b.html">ヴァニラ画廊</a>で開催されている。会期は2024.11.27(水)から同12.9(月)まで。(上記の同画廊のホームページにも掲載されているので、参照してください)</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">&nbsp;私(荻崎)は、初日(11.27（水）)に同展を見た。久方振りの稲垣展で、恐らく長きに渡る画業の集大成的な位置も占めているだろうと予測され、興味があった。彩色された作品とモノクロの鉛筆画など、合わせて27点(確か)が展示されていた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　それらの中で、私の目に、最も高度で充実した中味を持つと思えた作品が、画面左上段の画像『風紋』だ。稲垣氏の最高傑作かとも私には思えるほどだ。(少なくとも、これまでに私が目にしたことのある</span><span style="font-size: 12pt;">同氏の作品の中で･･･)。(かつて目にし、もっと好いと思えた作品が、いつしか私の記憶の中から消えてしまったという事が、絶対にないとは言い切れないが･･･) 。最高傑作かどうかはともかく、風格があり、作者にとっても会心作だろうと思う。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;"><a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E7A8B2E59EA3E9A2A8E7B48BE69BB8E789A9E3818BE38289E4BDBFE38186.JPG" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E7A8B2E59EA3E9A2A8E7B48BE69BB8E789A9E3818BE38289E4BDBFE38186-thumbnail2.JPG" alt="稲垣風紋書物から使う.JPG" width="256" height="192" align="left" border="0" onclick="location.href = 'https://ogizakiworld.seesaa.net/upload/detail/image/E7A8B2E59EA3E9A2A8E7B48BE69BB8E789A9E3818BE38289E4BDBFE38186-thumbnail2.JPG.html'; return false;" style="cursor:pointer;" /></a></span></div><div>&nbsp; <span style="font-size: 12pt;">(余談になるが、同展は、写真撮影不可だったが、私が運営している荻崎正広コレクションで、本展のちらしを置いていることや、画廊側の本展の担当者と以前から関わりがあったことなどで、無理を言って撮影を許可してもらった。感謝!)(少年が描かれていることもあり、画廊側として様々配慮しなければならないだろう</span><span style="font-size: 12pt;">と推測される）</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">ただ、折角撮影できたにもかかわらず、私の携帯電話機のレンズの部分が、汚れていたのかどうか、画面に薄い曇りが入っていた。これでは使えないと考え、『日本のゲイ・エロティック・アート　Vol.3　 ゲイ雑誌の発展と多様化する作家たち』(田亀源五郎編)(ポット出版　2018年12月刊）に、同作品が掲載されていたために(P.39)、その画面を撮ったものを用いた。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">&nbsp;また、また、という事になってしまうが、私の小さいデジタルカメラのせいなのか、画面の大きな部分を占めている砂浜の色が、原画では黄土色なのだが、この画像では灰色に近くなってしまった。ご容赦いただければと思う。上記書の説明には、「2004年、キャンバスに油彩、455〓530mm」と記されている。(可能なら、本展に足を運ぶか、上記書で見ていただけたら幸いだ）</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">　タイトルにも用いられている、細やかに風紋が走る砂浜に、よく日焼けした褐色の少年が、腰を下ろし、足を投げ出している。伸びやかに、細身に締(し)まった四肢。黒の褌と同じ色の影も砂の上に落ちている。左上には、この画像ではわかりにくいが、竹製だと思われる囲い。更に群青の青空。右手上に広がる昼顔だろうか緑の葉と薄い桃色の花とつぼみ。真夏のしんとした静かさも伝わってくる。欠けるものも逆に多すぎるものも何一つない。ともあれ、作者にとっても愛着の深い作品に違いない。</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;"><a href="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E98A9BE38292E68C81E381A3E381A6E7AB8BE381A4E5B091E5B9B4E38080E4BDBFE38186.jpg" target="_blank" rel="noopener"><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E98A9BE38292E68C81E381A3E381A6E7AB8BE381A4E5B091E5B9B4E38080E4BDBFE38186-thumbnail2.jpg" alt="銛を持って立つ少年　使う.jpg" width="187" height="260" align="left" border="0" onclick="location.href = 'https://ogizakiworld.seesaa.net/upload/detail/image/E98A9BE38292E68C81E381A3E381A6E7AB8BE381A4E5B091E5B9B4E38080E4BDBFE38186-thumbnail2.jpg.html'; return false;" style="cursor:pointer;" /></a></span></div><div>&nbsp; <span style="font-size: 12pt;">画面左二段目の作品は、同日、会場で私が撮った作品だか、うっかりして、タイトルをメモすることを忘れてしまった。ちなみに、前述の『日本のゲイ・エロティックアート　Vol.3』には、この作品は載っていない。本展のちらしに載っているが、タイトルは付されていない。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">上記『風紋』では、少年は横たわっているが、本作では、右手に長い銛(もり)を持ち、波打ち際だろうか、立っている。同じく黒い褌一丁。よく陽に焼けた伸びやかな褐色の細身の総身は同じだ。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">入道雲がわき立ち、その雲の中に昼顔(あるいは朝顔）だろうか、何輪か花弁が開いている。『風紋』にはない幻想性も加わっているようだ。立っているからという事もあるのか、『風紋』の少年以上に力強く健康的に見える。こうあってほしいという、作者の少年に対する理想像や願望が、自身の少年期への郷愁の念も含め、反映しているに違いない。</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">&nbsp;&nbsp;</span></div><br /><div><img src="https://ogizakiworld.up.seesaa.net/image/E5B091E5B9B4E4B889E4BABAE381A8E38392E3839EE383AFE383AAE4BDBFE38186-thumbnail2.jpg" alt="少年三人とヒマワリ使う.jpg" width="262" height="197" align="left" border="0" onclick="location.href = 'https://ogizakiworld.seesaa.net/upload/detail/image/E5B091E5B9B4E4B889E4BABAE381A8E38392E3839EE383AFE383AAE4BDBFE38186-thumbnail2.jpg.html'; return false;" style="cursor:pointer;" />　<span style="font-size: 12pt;">左三段目の画像も、当日私が撮ったものだが、これもタイトルをメモすることを忘れてしまった。鉛筆画。(この作品も、上記『日本のゲイ・エロティックアート　Vo.3』には、載っていない)</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">海辺で遊ぶ、屈託なげな三人の少年たち。真ん中に大輪の向日葵(ひまわり)。三人とも細身ながら締まって伸びやかな身体。その点では上掲の二画像も共通する。三人とも整った顔立ちだ。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">左手の、駆け足(逃げ足か）をしようとしているふうな少年の、全部は見えない尻の形に味がある。本展に展示されていた、『海辺の少年たち』(1990年作)と題された、海中や海上などで遊ぶ三人の少年たちの作品も味わいがあったが、画像としてはこちらを選んだ。</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">　ちなみに、上記『日本のゲイ・エロティック・アート　Vol.3　 ゲイ雑誌の発展と多様化する作家たち』には、稲垣征次(1942~)作品の、カラー作品が14点、モノクロ(鉛筆)作品が25点掲載されている。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">更に、編者の田亀源五郎氏との対談も載っていて、稲垣氏の絵画への思い、シュールレアリスムへの関心、少年美など自身が美しい(エロティック)と捉えるものを</span><span style="font-size: 12pt;">そのまま十全に描きたいという意志や</span><span style="font-size: 12pt;">感懐などが率直に述べられている。</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">　また、本展のちらしの中に、稲垣氏の文章が載っている。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">その中に、人の世を意味する、「金色の闇」(こんじきのやみ）という印象的な言葉が用いられている。「そこは人間のあらゆる欲望が錯綜、錯乱し、渦巻く混沌としての世界･･････「光の泥海」ともいうべき、金色に濁った薄明の闇である。」と書かれ、</span><span style="font-size: 12pt;">その中を生きざるを得ない作者にとって、道標となるのが少年美だと述べている。現実にはそれを手に入れることができないからこそ、それを絵に描くのだと、作者の強固な決意と意思が述べられている。(私には、底知れない断念の深さも伝わってくる･･･)</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">　なお、私が運営している、<a href="https://www7a.biglobe.ne.jp/~ogizaki/">「荻崎正広コレクション　ゲイ・アートの家」</a>では、稲垣氏の原画を、8点所有している。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">その中で、「金色の闇　ヌードNo.2 (コンドームボーイ)」(2006年、紙に色鉛筆　280〓190mm)(P.47)と「少年ボクサー」(2003年　紙に鉛筆、245〓155mm 『薔薇族』掲載)の二点が、上記『日本のゲイ・エロティック・アート　Vol.3　 ゲイ雑誌の発展と多様化する作家たち』に載っている。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">ともあれ、稲垣征次氏の作品に、原画はもとより、書物であれ、画像であれ、一点でも多く接していただけたらと、私は思う。</span></div><br /><div><span style="font-size: 12pt;">(付記)</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">ヴァニラ画廊での稲垣征次展の会期の残りが一日でも多いうちにと考え、急ぎに急いで書きました(私なりに･･･)。同展への、更には稲垣作品への何らかの道しるべになったら幸いです。</span></div><div><span style="font-size: 12pt;">(2024.12.4)</span></div><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><a name="more"></a>

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            <category>美術　文学</category>
      <author>荻崎正広の言葉と画像の空間</author>
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